テラーノベル
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ソファで毛布にくるまったこさめは、まだ赤い目元でひまなつを見上げた。
言いにくそうに口を開き、かすれた声でつぶやく。
「……ねぇ、なつくん……あの、さ……」
「ん?」
「さっき……触られたとこ、すごく気持ち悪くて……。……だから……なつくんに……上書き、してほしいんだけど、」
その言葉に、ひまなつの瞳が大きく揺れた。
普段の冗談めいた調子はどこにもなく、真剣にこさめを見つめる。
「……本気で言ってるのか?」
「……うん。なつくんなら……平気。……なつくんの手で、あの嫌な感じを消してほしい…」
震える声。それでも必死に伝えようとするこさめ。
ひまなつはしばし黙っていたが、やがて深く息を吐き、優しくこさめの頬を両手で包んだ。
「……分かった。ただし、少しでも嫌になったらすぐ言えよ。こさめが安心できるように、俺が少しずつ塗り替えてやる」
こさめは涙を浮かべながらも小さく頷いた。
ひまなつは毛布を少しだけめくり、こさめの手に自分の手を重ねた。
そっと指を絡め、何度も撫でる。――“嫌な手じゃない、これは安心できる俺の手だ”と伝えるように。
「……ここから始めような。俺の温度覚えろよ」
こさめの肩の力が、少しずつ抜けていくのが分かった。
震えていた身体は、やがてひまなつの胸に寄りかかり、小さな安堵の吐息をもらす。
ひまなつは、こさめの震える指先を何度もなぞり、絡め取り、 手の甲に軽く口づける。
こさめは一瞬びくりとしたが、その感触が優しいと分かると、少しずつ頬を赤らめていった。
「……手は、もう嫌じゃない?」
「……うん……平気……」
ひまなつは安心したように微笑み、今度はこさめの肩に触れた。撫でるように、優しく。
先ほどまで痴漢にまさぐられたときの嫌悪感が、少しずつ溶けていく。
「……じゃあ、次はここな」
そう言って、ひまなつはこさめの肩口に唇を落とす。
温かい吐息と柔らかな感触に、こさめは目を閉じ、小さく声を漏らした。
「……ん……あったかい……」
ひまなつは彼女の反応を確かめるように、首筋から鎖骨へとゆっくり口づけを重ねていく。
こさめの表情は苦しげではなく、次第に安心に満ちた柔らかいものへと変わっていった。
「どうだ? ちゃんと嫌な感覚、消えてきたか?」
「……うん……。なつくんの……やさしいの、で……消えてく……」
そう答えたこさめの声は震えていたが、涙はもう流れていなかった。
自らひまなつに腕を回し、胸に顔を埋める。
「もっと……上書き、して……」
その小さな願いに、ひまなつは目を細めて頷き、さらに深く抱きしめた。
ひまなつの唇が首筋をなぞるたび、こさめは身体の奥からじんわりと熱が広がっていくのを感じていた。
最初はただ安心感で胸がいっぱいだったのに、その温もりが次第に別の感覚へと変わっていく。
「……なつくん……くすぐったい……」
「くすぐったい、だけ?」
問いかけと同時に、ひまなつの指先がこさめの腰に触れる。
優しく撫でるような仕草なのに、妙に敏感に感じてしまい、こさめは小さく声を漏らした。
「んっ……あ……」
その反応に、ひまなつはふっと口元を緩める。
「ほら……もう、“嫌”な感じじゃなくなってきただろ?」
こさめは頬を赤く染めながら、こくりと頷いた。
触れられるたびに走る感覚が、さっきの嫌悪感を完全に塗りつぶし、代わりに甘い痺れへと変わっていく。
「……もっと、して……」
自分から願うように、こさめが小さく囁く。
その言葉を聞いたひまなつは、こさめの顎を指先で持ち上げ、今度は正面から唇を重ねた。
舌が触れ合った瞬間、こさめは驚いたように身を震わせ、すぐに縋るように目を閉じた。
「……ん……んぅ……」
深い口づけに溶けるように、こさめの中で不安が消えていく。
代わりに募るのは、抑えきれない熱と、ひまなつをもっと欲しいと思う気持ち。
ひまなつはそんな変化を確かめるように、背中を撫でながらさらに抱き寄せた。
ひまなつはゆっくりと手を滑らせ、こさめの胸元へ触れていった。
服越しに優しく撫でるだけなのに、こさめは「ん……っ」と小さな声を洩らして身体を震わせる。
「……大丈夫」
囁く声は落ち着いていて、それだけで安心させられる。
ひまなつの手が布の下に忍び込み、素肌を掠める。
指先が敏感な場所に触れるたび、こさめはびくっと跳ねてしまう。
「なつくん……なんか……変な感じ……」
「変なんじゃない、気持ちいいんだろ?」
そう言って親指で胸の先端をそっと転がす。
こさめは耐えきれずに声を上げ、思わずひまなつにしがみついた。
「や……っ、でも……嫌じゃない……」
「それでいい……俺だけ感じとけ」
さらにもう一方の手がゆっくりと下腹部へ降りていく。
薄い布越しに秘部へ触れると、こさめは「ひっ……!」と声を洩らし、膝が崩れそうになった。
「もう、ここ……反応してるじゃん」
意地悪く囁きながらも、その指先は乱暴ではなく、優しく撫でるように動く。
「……っ、んんっ……あっ……!」
胸を弄ばれながら、秘部をなぞられる。
二方向から与えられる快感に、こさめの意識は溶けるように霞んでいく。
さっきまで体に残っていた痴漢のいやらしい感触は、もう思い出せない。
今あるのは、ひまなつに触れられて感じる熱と、とろけそうな心地よさだけ。
「……なつくん……もっと……して……」
涙目のまま、それでも甘えるように乞う声を、ひまなつは唇で塞いだ。
ひまなつの指が、下着越しにこさめの秘部をゆっくりと撫でていく。
擦るたびに、布地がすぐに湿りを帯びていくのがわかる。
「……こさめ、濡れてるね」
耳元で囁かれると、こさめは「だって……なつくんが……」と恥ずかしそうに顔を埋める。
布越しの愛撫では足りないと感じたのか、ひまなつは迷いなく指先を下着の中へ滑り込ませる。
直接、柔らかい感触に触れられ、こさめは息を詰めて肩を震わせた。
「ひゃっ……! あっ……そこ……!」
「力抜け。怖くない、俺だけ見てろ」
指先が敏感な部分を円を描くように撫で、時に軽く押し込む。
同時に、もう一方の手は胸を弄び、硬くなった突起を摘んで転がしていく。
二方向から押し寄せる快感に、こさめはもう言葉にならず、ただ甘い声を洩らすしかなかった。
「んっ……あぁ……だめ、もう……っ」
「いいんだよ、我慢すんな。気持ちよくなれ」
ひまなつの指が秘部をゆっくりと出入りし、さらに奥を探る。
濡れた音が小さく響き、こさめの顔は熱に染まって涙さえ浮かんでいる。
「なつく……っ、なんか……きちゃ……っ」
「そのまま……ほら…」
胸を強く弄られながら、敏感な中を擦り上げられた瞬間――
こさめの身体は大きく震え、熱い痙攣に飲み込まれた。
「ぁぁ……っ! あっ、あぁぁ……!」
甘い絶頂の波が押し寄せ、こさめはひまなつの腕の中でぐったりと力を抜いた。
ひまなつはそんな彼を優しく抱き寄せ、背中を撫でながら囁く。
「……気持ちよかった?」
涙混じりの微笑みを浮かべたこさめは、小さく「……うん」と頷いた。
絶頂に達したこさめは、まだ呼吸の整わないまま、ひまなつの胸に顔を押し付けていた。
汗ばんだ身体を抱き寄せられ、背中を優しく撫でられると、安心感で胸がじんと温かくなる。
「……なつくん」
「ん?」
「俺……ずっと、なつくんのことが好きだったんだ」
掠れた声で吐き出すように告げられた言葉に、ひまなつは一瞬だけ目を見開き、そして小さく笑った。
「……やっと言ったな」
「え……?」
顔を上げるこさめに、ひまなつは頬に手を添えて真っ直ぐに見つめる。
「俺だって、おまえのことは前から大事に思ってた」
低い声に一層熱を帯び、ひまなつは唇を舐める。
「女になるのは楽しかったよ。こさめに触れてもらえたしな」
耳元に顔を寄せ、吐息が触れるほどの距離で囁く。
「でも――今は男に戻って、おまえを襲いたい。俺の腕で、おまえを逃げられなくして……全部俺のもんにしたい」
こさめは一瞬ぽかんとした表情を浮かべ、すぐに顔を真っ赤にして「……なつくん、そういう言い方……」と俯いた。
けれど胸の奥には、告白が受け止められた安心と、ひまなつの独占欲に包まれる甘い痺れが広がっていく。
ひまなつはそんなこさめの後頭部に手を回し、優しく唇を重ねる。
「……男に戻ったら、覚悟しろよ」
こさめは息を詰めて、けれど嬉しそうに「……うん」と小さく頷いた。
こさめの頬にひまなつの手が添えられていた、その瞬間だった。
「……っ!」
ひまなつの全身が突然、淡く白い光を放ち始めた。眩しさにこさめは思わず目を細め、両手で顔を庇う。
数秒後、光がすっと収まる。
「……なつくん?」
目を開いたこさめの視界に映ったのは、女の子の姿ではなく、元の男のひまなつだった。
「……なんか戻ったな」
ひまなつは自分の手を見下ろし、苦笑する。けれどその瞳はすぐに熱を帯び、ベッドに横たわるこさめに注がれる。
顔を真っ赤にしたこさめはシーツを握りしめる。
「……でも、俺、まだ……女のままで……」
「どっちでもこさめだから良いんだろ」
ひまなつは身をかがめ、こさめを逃がさないように覆いかぶさる。大きな手が細い腰をしっかり掴み、もう逃がさないと言っているようだった。
熱を帯びた唇がこさめの首筋に触れ、痕を残すように吸い上げる。
こさめは思わず甘い声を漏らし、ひまなつの背に腕を回した。
「いただきます」
コメント
5件
(^o^三^o^)ピャァァァァァァァァァやっべ神すぎるぅぅ😭 ありがとうございますもう好き🫶😖
ありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございます