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「…殿、ぺいん殿!」
「ぁえっ!?ごめんボーッとしてた。」
「最近上の空な事が多いですが大丈夫ですか?もしかしたら何か悪いモノが憑いてるのかも…」
「いやいや違うよ、ごめん大丈夫。でどうしたの?」
「さぶ郎殿と飲食店巡りに行くんですけど一緒にどうですか?」
「おー行くか!俺が車出すよ。」
ぐち逸に想いを馳せていたなんて言えるはずも無く、笑って誤魔化して場をしのぐ。数軒回って最後に魔法少女カフェに行く事になり、店前に着くと見覚えのありすぎるバイクが停まっていた。
「ぐち逸さんだぁこんにちは。」
「ぐち逸殿会えて良かった!先程は助けていただきありがとうございました。その時の請求が切られてないですよ。」
「あぁ良いんです、警察官の方ですよね?気にしないでください。」
「え?治療費お支払いしますよ?」
「警察官の方々は金銭面厳しいみたいなので。ですよね、伊藤刑事。」
「えっえっとー、うん、そうかも…?」
「霊明ちょっとこっち来て!」
さぶ郎が霊明を引っ張って行き隅の方でコソコソ話している。取り残された2人の間に何故か少し気まずい空気が流れた。
「ぁーえっと、大変ですね警察が資金難なんて。市長に言ったら何とかしてくれるんじゃないですか?…いやあの市長だから無理か。」
「いやーうん、まぁそうね…」
「れいめいさん?は最近来た方ですか?」
「あれ会った事無かった?ステートでも名前見た事無い?」
「…言われてみれば見た気もします。」
「おっちょうど帰って来た。霊明ってぐち逸と初めまして?」
「そうですね、すれ違ったりはあったかもしれませんが落ち着いてお話するのは初めてです。」
「じゃあいつもの自己紹介しなよ!」
「では僭越ながら。私警察官、そして陰陽師の…安倍霊明です。」
お決まりのセリフ、お決まりのポーズでぐち逸の前に立つ霊明。トンチンカンな言動な割にキリッと決まっている顔が真っ直ぐこちらを見ていて、そのアンバランスさについ笑いそうになってしまった。
「陰陽師…まぁその、信じるものは人それぞれですからね。」
「あっその言い方は信じてないですね?まだ修行中の身ですが、お祓いもできるんですから。ぐち逸殿もぜひ!」
「私は遠慮しておきます。医者の空架ぐち逸です。」
「一度ちゃんとご挨拶したいと思ってました、お噂はかねがね。改めて先程は助けていただきありがとうございました。」
「噂、ですか。」
「えぇそれはもう凄腕の個人医の方だと!警察皆手を焼いていますよ。」
ぺいんのほうをチラッと見ると目が合い、違う知らないと言わんばかりに大きく首を横に振っている。
「…なんかさ、ぺいんさんとぐち逸さんてすっごい仲良いね。」
「古くからのお知り合いとかなんですか?」
「え!?ぃっいや全然そんな事無いよ、別に仲良くもないし。」
「むしろ不当な拘束を繰り返されて迷惑しています。」
「いやだから事件現場に来るなってば!」
「患者が助けを呼んでるんですよ。一分一秒でも治療が遅れたらどうなるか分からないのにそれを無視しろと?」
「それも散々説明したんだけど!?」
2人が言い合っているのをさぶ郎と霊明が不敵な笑みを浮かべながら聞いている。
「やっぱり仲が良いですね。お2人独特の空気感があるというか。」
「うん特別な人同士って感じ。」
「うーん…これはどういう表現が適切か…」
まずい、バレたかと一気に緊張が走った。ぺいんは動揺が隠し切れずソワソワしっぱなし、逆にぐち逸が一歩も動かないのは身体が固まってしまったからだ。
「…あっ分かった!ライバルですよ!」
「ぉっおぉ!なるほど確かにな、意識した事無かったけど。」
「伊藤刑事がどうしてもと言うならライバルと認めてあげても良いですよ。」
「いやひとっことも言ってないけど!?」
また言い合いを始めながら2人揃ってホッと胸を撫で下ろした。