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初めて小説書くので下手です。
溺れる月
序章
夜の街は静かだった。
いや、静かに感じるだけかもしれない。
ビルの間では車のエンジンや誰かの笑い声が溢れていたし、少し離れたコンビニの前では若者たちが大声で話していた。でも、ここは違う。
橋の上。川を見下ろすこの場所には、誰もいない。
もかは、リュックを背負いながら、欄干の前に立っていた。夜風が髪を揺らす。遠くの街灯が水面をぼんやりと照らし、川は静かに流れている。
飛び込めば、終われる。
終わることの方が、続けるより簡単だ。
そんなこと、わかりきっていた。
なのに、もかはまだここに立っている。
迷っているわけではない。ただ、納得いく理由がない。
足元に視線を落とす。白いスニーカーの先端が、橋のコンクリートを擦る。
あと、一歩。
そう思うと、背後から声がした。
心臓が跳ね上がる。もかは驚いて振り返った。
そこには、欄干に腰掛けている男がいた。
年齢は自分と同じくらいか、少し上くらい。黒いパーカーのフードを深くかぶり、腕を組んでいる。顔はよく見えない。
?? - 君、何しようとした?
もか - ……別に。
?? - 嘘。本当に何も思ってないならこんなとこ立たないでしょ
もかは何も言えなかった。
気づけば男は欄干から飛び降り、もかの隣に立っていた。そして、鞄から何かを取り出す。
?? - ほら
差し出されたのは、ラムネの瓶。
もか - ……ん?
?? - とりあえず飲め。
ラムネの瓶を握りしめながら、もかはじっと立っていた。手の中の瓶が冷たい。夏でもないのに、こんなものを持っていることに違和感を覚えた。でも、それ以上に気になったのは目の前の男だった。
?? - なんか飲めば、少しは落ち着くかと思って。
もかは瓶のふたを開け、口をつけた。シュワッとした感触が舌を刺激する。思ったより冷たくて、思ったより甘かった。
彼はまた、橋の欄干に腰掛ける。風が吹いて、彼のフードが少しだけ揺れた。
?? - で? なんで飛び込もうとした?
もか - ………別に。
男はしばらくもかをじっと見つめたあと、ふっと視線を川に落とした。
続く.
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