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第6話です。新キャラが出てきますので立ち絵を置いときます。
この子は主に大剣を使います。 では続きをどうぞ。
第6話【噛み合わない】
声の主は明らかにあの梓豪を殺した若君であり、どうやら大変ご立腹な様子だ。
「そなたには関係ない、今すぐ立ち去れ」
阿和の若君の事を物ともしない態度に若君の怒りは更に増幅する。
「お前なんなんだ!?さっきからそれしか言わないじゃないか!!」
「、、、、」
「おまっ、、、俺を舐めるのも大概に、、、」
剣の抜く音が聞こえ、烨霖
慌てて止めに入ろうと扉を開けようとしたがその前に何者かが声をかける
「おいおい、少しは落ち着け、ひよこちゃん」
「誰がひよこちゃんだ!?」
その声はとてもハツラツとしている所や若君の反応を楽しんでいる様子から随分と人を揶揄うのが好きな類の少年なのだろうと推測できる。だが烨霖にとってこの声は全く聞き覚えがなく、思わず扉に顔を近付け、聞き耳を立てる。
「そんなに怒るなって、お前が俺に手伝って欲しいって言うから嫌々来たんだぞ?」
「なんだと?そもそも着いて来たのはお前だろ!?お前は金河派で待っていたら良かったものを、、、!!」
「あーはいはい」
「それにしても、なんで運良く生き延びた奴にそんなに固執する?」
「確かに彼奴は最悪な奴だが今やあいつを手助けする奴なんて門派にも、勿論魔教にも居ない」
「はっ!そんな事は分かっている、元々魔教が彼奴を受け入れた事なんてないし勿論俺達門派もだ」
今の会話で烨霖は確信した。李・梓豪は門派を裏切り魔教に肩入れしたのだろう。だが魔教が敵対状況である門派のしがない門弟1人を構う訳などなかった。魔教に肩入れをしようとした裏切り者を勿論門派も許さない。だからこそあんな非道な術の生贄にされたのだ。
どうやら李・梓豪は正真正銘の屑だったようだ。
「俺が気にしているのはそこじゃない、あの時倒した彼奴は自分の才能を過信し過ぎていたただの痴れ者だった」
「だが、今の彼奴は違う。」
「幾ら記憶をなくしたからって、あれ程までに変わるものなのか!!?何か絶対裏がある!!それにこれは父上の命令だ、仕方ないだろう!」
「へぇー?そんだけ言われたら、俺も少し興味というものが__」
「無駄話をするならば帰れ、邪魔だ 」
先程までの楽しげな会話に殺気の籠った低い声が響く。
「お前がさっさと李・梓豪を出せば済むだろう!!!」
扉に向かって足を思い切り突いたのか扉に強い衝撃が走り、耳を立てていた烨霖はその衝撃の影響をうけ、思わずその場に尻もちを着き、鈍い音が響く。
扉の外に居た若君達がその音を聞き逃すはずもなく、若君はすぐに反応し、強行突破をしようとする。
「おい!!起きてるんだろ!?!?出てこい!!」
「そんな言い方じゃ出てこないぞ?ひよこちゃん」
「お前!!その呼び方やめろ!!!」
ハツラツとした少年も呼び掛ける
「おい!別に殺したりはしない!だから出て来てくれないか?少し話したいだけなんだ!」
「これ以上逃げても無駄だ!!早く出てこい!!!」
扉に足を叩きつける音がどんどん高くなっていく。このままだと扉が蹴破られかねない、勿論私はあの二人に関わるのは本当に嫌だし、面倒だが、扉を壊されては店の人に迷惑が掛かってしまううえ、弁償なんて出来る金はない。
烨霖は深いため息をつき、扉を開こうと手を伸ばした途端、目の前の扉が大きな音を立てながら勢いよく開けられ、次に瞬きをした瞬間には既に阿和に抱えられて自分は宿の外に連れ出されていた。
風が忙しなく髪を揺らし、みるみる宿が小さくなって行く。
「阿和!?何故、、、 」
「そなたはあの者達に会いたくないように思えた。だからこうした」
気遣いをしてくれた事は烨霖にとって嬉しい事だったが笑うに笑えず泣くに泣けず心の中でこう叫んだ
「(今じゃない!!!その気遣いは嬉しいが今じゃないんだ!!!)」
案の定、後ろから若君達が追いかけながら怒声をあげていた。
「おい!!!お前!!これ以上逃げればお前の話は今後一切信じないからな!?」
元から聞く気などないくせに何を言っているのだろうか、と少し苛立ったがこれ以上逃げ回れば明らかに怪しい、本当に信じて貰えなくなってしまうかもしれない。 烨霖は子供に言い聞かせるような声色で阿和に話し掛ける。
「阿和、すまない、気を使ってくれたのは有難いが若君達と話させてくれないか?」
阿和もこのまま逃げ回るのが烨霖にとって最適ではないとやっとわかったのか、何も言わずにそのまま足を止め、素直に地面に降り立つ。
「ありがとう、阿和」
烨霖が腕の中から降りようと身体をよじろうとしたが、阿和によって防がれる。
「阿和?」
「、、、せめて、手は繋がせてくれ、、、頼む、、、」
随分と神妙な顔をしながら言う様子を見た烨霖は、何も問わずにただ頷く。
烨霖が頷いたのを確認した阿和は腕を解き、丁寧に烨霖を地面に下ろす。
このやり取りの間に若君達もどうやら到着したようだった。
「やっと逃げるのを辞めたか!!はっ!最初からそうしていれば良かったんだ!!」
若君は得意げな表情を浮かべながらこちらに近付いてくる。
「お前には聞きたいことが山程ある」
そう言った若君は手を差し出す。
「俺と金河派に来い!!」
烨霖が今最も恐れていた誘いを受け、頭痛がし始める。確かに門派に行きたいという気持ちはあったがこの様な形で行きたいとは全くもって思っていなかった。考えうる最悪の門派への入門の仕方だ!思わず額に手を当て、何とか声を絞り出す。
「えーっと、、、若君、その、、、本当にそこである必要が?今ここでは、、、」
「駄目だ、連れていく」
何とか言いくるめられないかと悩んでいる烨霖を察したのか若君の後ろで腕を組んでいたハツラツとした青年が笑顔で若君と烨霖の間に入る。
「貴方とは初めましてだな、よろしく、私の名前は王力だ」
王力に手を差し出され、烨霖はそれに答えるようにその手を握り、握手をする。
「ははっ、確かに、昔のあいつとは思えないな、雰囲気までも変わるなんて」
「記憶をなくしたら、ここまで変わるものなのか」
王力は、随分と頭が回るらしい、ただ見られているだけなのにまるで全て見透かされているかのように思えてしまう。
「昔の私はそんなに酷かったのですね、、、ですが、人の本質というのは生まれた最初の環境で全て決まるものです。記憶をなくし、性格が変わったとしても何も不思議ではありませんよ。」
「ははっ、確かにそうだ。」
「でも、、記憶をなくしている割に、まるで何百年も生きている者の発言のようですね、」
王力の握る手が徐々に強くなる。それに気付いた烨霖は手を引っ込めようとするがどうやら相手は離す気がないようだった。
「あのー、そろそろはなし__」
烨霖がそう言いかけた途端、弾ける様な音が響く。手元を見てみればどういう訳か先程まで握られていた手が解放されており、次に前を見てみればなんと阿和が王力の手を平手打ちしていたのだ。突然の状況に若君も烨霖も開いた口が塞がらず、呆然としている。
平手打ちを食った王力は程なくして何故か笑い声を上げ始め、その様子に烨霖は頭でも可笑しくなったのだろうか、と軽く心配になる。
「はははっ!先程から思っていたがお前は何者だ?」
「お前の話は若君からも一切聞いていないが?」
「そんな事はどうでもいいんだ!!!早くそいつを渡せ!!!」
そろそろ我々と王力のやり取りを見ているのも我慢出来なくなったのか、若君が身を乗り出し、烨霖に近付く。 だが阿和が烨霖を引っ張り、前へと出る。
「お前いい加減邪魔だぞ!?斬られたいのか!?」
「、、、」
このままでは一生収拾がつかないと思った烨霖は痺れを切らし、等々声をあげる。
「はぁ、、、分かりました、、、貴方の所へ行けばいいんですよね、、、?」
そう言えば若君の眉間から皺が消え、先程よりも明らかに表情が明るくなる。
「最初からそう言ってれば良かったんだ!!!」
「早く行くぞ!!」
意気揚々とした様子で若君は踵を返し、歩き始め、王力もそれに続き、烨霖も重い足取りであとを着いていく。
「何故了承したのだ?」
隣に居た阿和に小さな声でそう問われる。
「若君は何としてでも私を連れていきたいようだからね、、、それに、随分と焦っている様子だった」
「本当なら門派なんて怖い所は行きたくないのだけどね」
「ならばやはり逃げれば良かったのではないのか」
阿和の機嫌が先程から悪い事に気付いた烨霖は拗ねている幼子を宥めるように撫でる。
「すまない、君には感謝しているがあのまま逃げて君を巻き込みたくなかったんだ」
そう言えば阿和の表情は少しばかり和らぎ、小さく頷き、烨霖は苦笑いを浮かべる。
「(まだあまり納得してないな、これは)」
◇
先程までいた村から山を2つ程超えた先の森を抜けるとパッと見1000段程ありそうな程長く幅の広い石階段が聳え立っていおり、周りは滝で囲まれていた。どうやらここが金河派の入口のようだ。
「これを登るのか、、、」
もはや階段の頂上すら見えない階段に気が遠くなっていると阿和と繋いでいた手が軽く引っ張られる感覚がし、振り返る。
「私が運ぼう。」
阿和がこちらに近づき、本当に抱えようとしている様子に慌てて烨霖は階段をのぼり始め、阿和もそれ以上何も言わずに階段を上る。
その様子を上から見ていた王力が面白そうに話しかける。
「ところで、君達はその、、どういう関係なんだ?それくらい教えてくれてもいいだろう?」
その言葉に若君も反応し、訝しげにこちらを見ながら問う。
「そうだ、そもそもお前は誰だ?お前はあの山には居なかっただろ」
「何故此奴と同じ部屋にいた?」
つい先程そんな事はどうでもいいと豪語していた若君はどこへ行ったのだろうか、と若君以外の全員が密かにそう思った。
そして、先程王力からも同じことを聞かれた時からその事を聞かれる覚悟をしていた烨霖はずっと考えてきた言い訳をなんて事ないように告げようと口を開く
「あぁ、実は___」
「私があの山の原因だ」
その場にまるで冬が訪れたかのように凍りついた。
第6話【終了】
ここまで見て下さりありがとうございました。 本当にノベルって難しいですね、もっと勉強します。
何か改善点あれば教えて下さい🙇♀️
ではまた次回。
コメント
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第6話読み終えました!新キャラの王力さん、頭が切れて掴みどころがない感じがいいですね。「ひよこちゃん」呼びが印象的で、若君との掛け合いもテンポよくて笑えました。そして阿和さん、あの平手打ちは予想外で思わず声が出ました(笑)。烨霖を守りたい気持ちが全面に出てて、でも二人の関係性がまだはっきりしないのも気になります…!金河派に乗り込む流れ、続きがすごく気になります。面白かったです!