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第7話です。あまり話は進みませんがゆるーく見てくだされば嬉しいです。
ではどうぞ
第7話【金河派へと】
「私があの山の元凶だ」
その場はまるでいきなり冬が訪れたかのように冷え切り、皆呆気に取られて誰も一言も喋れなくなった。当の本人は何事もなかったように平然とした顔で階段を上がっている。
「(なん、、この子は言っていい事と悪い事の区別がつかないのか!? )」
「(いや、そもそもこの子が私をフォローしてくれる保証なんてないのか、、、)」
「どうした?足が痛むのか?」
気落ちしている烨霖は そう声を掛けられ頭を上げる。烨霖を見る阿和の目は一切の悪意などなく、純粋な善意だけが映っていた。そんな風に見られると全てを許してしまいたくなってしまう己は甘いのだろうか。
「はぁ、、、いや、大丈夫だよ」
居た堪れない気まづさの中、若君が怒りに声を震わせながら阿和の胸ぐらを掴みあげる。
「お前があの山の元凶だと!?!?何故今まで黙っていた!?!?」
「、、、、」
無視をされた若君は更に怒りに手を震わせ、眉間に深い皺が出来る。
「お前が元凶ならば、、、お前は生かしておけないっ!!!」
若君は早々に剣を抜き、構える。王力は意味が分からない、という顔で若君を見る。
「おい、あの山の元凶だからってなんなんだ?何故そんなにも怒る?そもそも山ってなんなんだ?」
「お前、、、遊歴しているからって知らないにも程がある!!」
「あの山の元凶は魔教だと噂だっていたが俺だって最初は信じていなかった、、けど、、、あの異常なまでの瘴気の量、、、間違いない!!此奴は魔教のもの、、、しかも相当な手練だ!!」
それを聞くと王力も流石に状況を理解したようで険しい表情になる。
「ま、待ってくれ、あの山がああなった原因は確かにこの者だが仕方がなかったんだ。」
それを聞くと若君は目を細めて低い声を出し、烨霖に問う
「お前、、、そもそも何故此奴はお前を庇う?お前も何故此奴を庇う?」
「彼は恐らく元々瘴気を身体に溜め込んでしまう体質を持っている。そして、溜め込みすぎた結果、閉関中に山で走化入魔に陥ったのだろう。」
「そこを私が助けたのだ。それなら彼が私を庇うのも説明が着くだろう?」
「瘴気を溜め込みやすい?そんな体質の奴、魔教の者以外居るか!?」
若君の息がどんどん荒くなり、怒りで顔色がどんどん赤くなる。そんな若君を抑えるようになるべく丁寧に説明する
「そもそも魔教の者が関係しているというのも噂でしょう、、、彼は見ず知らずの私を恩返しだと言って4日も健気に看病してくれました。」
「そんな人が魔教の者でしょうか?」
烨霖の言っている事は最もであり、阿和が魔教の者だという証拠は何処にもない。
だが今の烨霖の見解からいって、阿和は確実に魔教の者だろう。あの殺気や威圧感は前世、魔教の者と闘った時に感じた時と同じ、いやそれ以上だった。
「それに悪列な環境で生活をしていれば多少そういう体質になったりもする筈ではないでしょうか?」
「、、、、、」
ぐうの音も出ないとはこの事で、これ以上責める理由が見つからなかった若君は舌打ちをし、高い所で結んでいる1つ結びを大きく振り、再度階段をのぼり始める。
その様子を確認した烨霖は安心から深く息を着き、阿和に軽く耳打ちをする。
「阿和、若君に謝罪をしてくれないか?」
「謝罪?」
「走化入魔は誰も予知できない、故に君の山へした事は故意ではないが恐らく若君の母君に何か悪影響を与えていたのだ。」
「若君は酷く心配していて、切羽詰まっていたし、、、、、」
故意ではなかったのに先程胸ぐらを掴み、あまつさえ剣まで向けた相手に謝ってくれと関係のない私が頼むだなんて、あまりにも図々しいと気付き、少し恥ずかしく感じてくる。それに、こういうのは自分で悪い事をした、と気付き、謝らなければ意味がない。人に言われて謝っても誠意も何も籠っていないのだ。
「いや、すまない、、、そもそも君に非なんて、、、」
「すまなかった」
若君の足が止まる。
「山なんていくらでもあるからどんだけ影響を与えても良いと思っていた。そなたに迷惑を掛けたことを詫びよう」
若君はゆっくりと振り返り、阿和をじっと見る。相手に悪意がないと分かったのか若君はため息をつき、「そうか」とそれ以上何も言わずに再度階段を上がり始める。烨霖は先程よりも若君の足取りが幾分か軽くなっているのに気付き、少し笑みが零れる。
烨霖は阿和の方へと向き直り、軽く頭を撫でる。
「阿和、君は偉いな」
「、、、そなたが教えてくれたから気付けたのだ」
「ははっそうか。」
そうこうしているうちに烨霖達はようやく階段を登り終え、金河派の門の前まで辿り着く。門は自分達の身長の何倍もあり、合金で出来た門だ。
若君は荒々しく門を叩き、声をあげる
「俺だ!!!英豪だ!!」
その声に応えるかのように門が重々しい金切音を出しながら開かれる。
「若君っ!!!!!任務ご苦労さまでしたっっ!!!!!」
門が開かれた瞬間、金河派の門弟達が整列をし、耳鳴りがする程の大きな声で若君の任務からの帰還を歓迎した。
「これは、、、どういう、、、」
その光景に烨霖は唖然とした。
前世、金河派は若君が帰還したとしてもこれ程までに大袈裟な出迎えをする所などなかったはずだ。一体どうしてこんなにも変わっているんだ?
「行くぞ」
若君の妙に真剣な表情に烨霖が訝しげに聞く。
「あのー、、、行くって、具体的には何処に行くんです?」
「、、、俺の父上、門主の所に決まっている!」
「門主、、、?」
「(いやいやいや!!決まっているって!!なんも言っていなかったじゃないか!)」
そもそも裏切った者が生きていただけで門主が出てくること自体が可笑しいのだ。それに加え、裏切られたのは永琳派であり、金河派では決してない。明らかに門主には何か別の目的がある。今考えれる可能性は一つだけ、楼真山で門弟達の血を抜くために使った術だ。
あの術を使った所を英豪は目撃している。そして英豪は目撃したからには確実にその事を門主に言っている。あの術は門派の中でも大分貴重とされているため、それを知った門主は恐らく私にあの術の事を聞き出したいのだろう。
そして、英豪はまだ気付いてないだろうが門主は恐らく私が李・梓豪ではないことを確信している。そのため、気を引き締めて行かねばいけない、なるべく荒波を立てぬよう、最善の注意を払わねばいけない。烨霖は深く深呼吸をした。
「わかった、では、、、門主の元に案内をしてくれませんか?」
「、、、ふんっ、その余裕が何時まで続くか見ものだな!」
◇
金河派の屋敷の外は金箔で豪華絢爛に飾られていたが中は外とは違い、金箔で飾られている部分は少なく、大半が木材で質素に造られていたが、その木材の質や中の広さは相当なものであり、至る所に精巧な君子蘭の模様が刻まれている。
英豪に続いて宮を歩いて行く。宮を歩いていくのではなく、ただ階段を上に登るだけだったが、階段の設置している場所は不規則であり、角度も様々で、ひとつの階に階段が4個も用意されていて、恐らくそれは別々の階や部屋に繋がっているのだろう。
「(これは中々迷うな、、、ひとつの階を歩く分ならば迷いはしないだろうが、、、)」
「ここだ」
英豪の声に反応し、目の前を見ればそこにはまたしても大きな門が聳え立っていた。門には大きな君子蘭の模様、それと恐らく先代門主だろうか、1人の人が椅子に座っている模様が入っていた。なんとも趣味が悪い門だ。
「おい、お前はここまでだ。」
「なんだと?」
「ここからは関係者以外立ち入っては行けないからだ。」
「お前は大人しくここで待ってろ、何か問題を起こしたら追い出してやるからな!」
阿和の表情が険しくなっていく様子に烨霖はすかさず耳打ちをする。
「大丈夫、何かあればすぐに君の元へ行くから」
「、、、、、、、、、、、、」
耳打ちをして、安心させようとしたが今回の阿和は引きたくないようで深淵のような黒い瞳でじっと見つめられ、凄まじい圧を感じ、思わず目を逸らす。こんな風に圧をかけられるのも無理はない、なんたってこんな門派に一人で待っているだなんて魔教の者にとっては嫌だろう。こんなの敵地を無防備な姿で徘徊しているのと一緒だ。
「えーっと、、、その、、、頼む、、本当に、君の身に何かあったら必ず君を優先するから」
その言葉に何か問題があったのか、阿和の顔が険しく、拗ねている表情が悲痛に歪む。
「っ、、、、私は、、、っ!!」
「おい!!父上を待たせてるんだ!!早く行くぞ!!」
そのまま英豪は烨霖の腕を勢いよく引っ張り、門を開く。引っ張られた勢いで阿和と繋いでいた手が離れ、瞬きをする間に門が轟音を立てて閉じられる。
烨霖はつい先程まで阿和と繋がっていた手を見つめ、繋いでいた感覚を確かめるかのように何度も握ったり広げたりを繰り返す。
「、、、彼は、何を言いかけてたんだ、、、?」
考え耽っていると後方から卓を叩く大きな音が響き、気を混ぜ大きくさせた威厳のある声が響き渡る
「お前が!!!李・梓豪か!!!」
第7話【完】
ここまで見て下さりありがとうございます。
やっと烨霖が門派に干渉し始めました(割と嫌な形で)
どうか次回もどうぞ宜しくお願い致します。
コメント
1件
うわあ、今回すごく緊迫してたね……!烨霖が阿和を庇う場面、心臓がギュッてなったよ。若君の怒りもわかるし、でも阿和がちゃんと謝れたのが印象的だった。最後に手が離れて門が閉まるシーン、あれ切なかった。烨霖が自分の手を見つめる仕草で、もう全部伝わってきた。金河派の空気、重そうで早く続きが気になるよ。 次回も楽しみにしてる🌙