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舜太side
最初に感じたのは些細な違和感だった。
外の景色を眺める仁ちゃんの姿を見かけるようになった。
何かに集中して話をしないことはあったけど、ぼんやりするのはなかったから。
それから、いつもだったらツッコミが入るな〜ってタイミングが少しズレるようになった。
完璧主義の仁ちゃんらしくないなって。
でもその時は、夜寝られやんかったんかな〜くらいに思ってた。
だけど1週間後に会った時は違和感が確信に変わった。
さらさらの髪は艶がないし、陶器のような肌は青白くなっていて
それから、ため息をついて眺める先には勇ちゃんと柔がいたから。
絶対に今日は問い詰めると心に決めてタイミングを探す。
なんかの話の流れで勇ちゃんと柔が人魚姫の結末を知らないってなった時仁ちゃんがぽつりと言った。
💛「俺、あれ意味わからないんだよね…」
いつものひとりごとかと思ったけど、俺が口を開く前に太ちゃんが反応した。
一番興味なさそうにしてたのにね。
💙「ちなみに、どこ?」
💛「や、だって。王子様と幸せになるために犠牲を払ったのに、結局結ばれなくてさ…
なのに、泡?か風の妖精?になってふたりの幸せを祝福ってさ…無理くない?」
🩷「まぁ…ね」
💙「御伽話だから、さ。呪うわけにもいかんでしょ」
🤍「じゃあ、仁ちゃんだったらどうするの?」
💛「俺は……泡になって完全に消える」
少し考えてから仁ちゃんが言った。
💛「…俺のことは記憶から消して欲しい。俺も忘れるから」
俺の隣で辛そうな顔をして言うから、みんなに見られないように仁ちゃんの手を引っぱって部屋を出た。
「仁ちゃん、何かあったでしょ」
💛「…は?何もないけど」
非常階段に並んで腰をかける。
仁ちゃんは俺の方を見ないで俯いていた。
「嘘だ。変だよ、仁ちゃんらしくない」
💛「…俺らしいってなに?」
「勇ちゃんのこと?」
仁ちゃんは何も答えない。
「…もしかして、柔と付き合ってるって聞いた?」
💛「ち、違う」
「…人魚姫と重ねちゃった?」
💛「………っ」
「泡になって消えるの?」
💛「それは…ない」
仁ちゃんの肩が震えていたから泣いてるのかと思ってそっと抱きしめる。
抵抗はされなかった。
仁ちゃんは俺の腕の中にすっぽりおさまって、こんなに小さかったけ?って思った。
💛「…てか、何で?知ってんの?」
「え…たぶん勇ちゃん以外みんな気がついてる」
💛「…うそ」
仁ちゃんの頬と耳が赤く染まっていく。
それがすごく可愛かった。
「無理に気持ちを消す必要はないと思うけど。
辛いのを我慢する必要もないから。
…俺の前では」
抱きしめる腕に力を入れるとビクッと仁ちゃんの体が反応した。
💛「舜太…ごめ…俺…」
「あかん、まだ返事せんといて。弱ってるとこにつけ込む卑怯な男やと思われたくないから」
なんだそれって言いながら仁ちゃんがふっと笑う。
「俺にちゃんと口説かれてから返事して欲しいっていうか…」
💛「…うん」
顔をあげた仁ちゃんはもう辛そうな顔にみえなかった。
静かに安堵のため息をつく。
てか、ちょっと待って。
うんって言った?言ったよね?今…
「じゃあ、早速俺ん家に行こか」