第一話
「 奇怪な扉 、異界へと 」
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いつも通りの朝
カーテンの隙間から差し込む明るい光に
促され、重い瞼を上げる
絡まった充電コードを見ないふりして、
スマホの電源ボタンを押す
枕元のスマホ画面に目をやると
時刻は10時過ぎ。土曜だからといって
寝過ぎたか?なんて考えながら数秒の間
天井を見つめたあと、身体を起こし
布団から身体を出すと、どこか
ひんやりとしている床に足を下ろした。
( ガチャ
目を擦りあくびをしながら
ドアノブ を 捻った
自室から出て家の階段を降りる
リビングには既に同居人が集まっていた
リビングに着くや否や
台所からアカリに声をかけられる
水道の音から察するに、おそらく皿を
洗っているのだろう
アカリ
「 遅かったな 、いつも早いのに 」
ハキハキとした力強いアカリの声が
テレビの賑やかな声を上書きする
シュウ
「 昨日徹夜でキーボード練習
してたんだよね … 」( 苦笑
アカリ
「 あまり無理したらダメだからな 」
シュウ
「 あーい … 」
アカリの言葉は優しくて、
ほんと風邪薬みたいだ
ミハル
「 そろそろ起こしに
行くとこだったよ 、もう 」
呆れ気味にミハルが口を挟んだ
シュウ
「 今日なんかあったっけ 、」
何一つ覚えていない予定、
寝起きの脳みそをフル活用して
記憶を振り返るが心当たりがない
ユイカ
「 新しくできたスイーツの
お店行くんじゃなかったっけ ? 」
先ほどまで黙っていたユイカが
ソファの背もたれに思い切りもたれて
天井を見上げながら、気だるげな声で言う
シュウ
「 あ 、そうだったね
アタシ一応寝起きでも家でれるけど、
どうする ? 準備する 、? 」
ユイカ
「 じゃ 、もう行こ 。どーせ暇だし 。」
準備が終わる
玄関を開けて外に出ると、
日差しが強く天気は
晴々としている。快晴だった。
家の鍵を閉めると、
堂々とした雲ひとつない青い空を
指差し、「 今日は一段と雰囲気が
明るいね 」なんて言いながら外を
ふらふらと歩いていた
しかし、そこからしばらく歩くと
路地裏の方に妙な看板が飾られているのが
見えてきてしまった
シュウ
「 なにこれ … 」
白い背景に黒い文字で
「 ? 」とだけ記された看板が
路地裏の方から出されている
路地裏を覗き込むとそこには狭い道
奥は暗くて見えない
ミハルは反対していたが、
好奇心には勝てるまい
全員強制で路地裏の方へ入った
狭い道に4人 、当然苦しくないわけもなく
「 言い出しっぺなんだから 」と
半ば強制的に前へ来させられた先頭の
アタシは、早く前へ行くよう
間の2人から促されていた
ミハル
「 シュウ 、はやく ー 、」
ユイカ
「 ねえ 早くして 」
シュウ
「 わかったから !! 」
少し早足で前へ進むと、
見覚えのない広い場所に出た
アカリ
「 近所にこんなところあったんだな 」
辺りは建物に囲まれている
そしてアタシ達の目の前には
シュウ
「 あれ 、何 … ?? 」
建物の裏口らしき扉があった
扉だけならまだしも、びっくりするほど
扉には「 開けるな 」だの書いてあるし
注意マークのステッカーが
何枚にも重ねて貼られていた
ユイカ
「 … 」
ユイカは扉に目をやると、
無言でドアノブへと手を伸ばす
なんとなく寒気と嫌な予感がした
ミハル
「 開けるなって書いt 」( 遮
( ガチャ
ミハルも嫌な予感がしたのか止めたが
時すでに遅し、扉は開かれた
扉が開かれた瞬間、目が痛むほどの
眩しい白の光に包まれる
気がつくと 、そこは見覚えのある
道路のど真ん中だった
シュウ
「 何ここ 、? 何が起こったの ? 」
緑色の空は黒い雲で濁っていて、
ツンと薬品の匂いが香る
黒い霧のせいで辺りは見えない
ミハル
「 嫌な予感的中 ー … 」
霧の奥から聞こえる呻き声に
なんとなく肩を震わせる一同
ユイカの開けたドアは消えていた
ユイカ
「 何 、? … ここ 」
そんな事を話して辺りを見渡すうち、
アカリが突然口を開いた
アカリ
「 … 来る 、嫌な気配がする 」
来る ? 何が ?
そう思ったのも束の間
???
「 ヴ ァァ “ ァ” … 」
薬品の匂いにさらに腐敗臭が混ざる
目の前からは歩く死体が一体来ていた
シュウ
「 これ 、え … ゾンビ ? 」
フィクションでもなんでもない、
目の前でふらりふらりと歩いていたのは
紛れもなくゾンビだった
アカリ
「 … 」
アカリは肩を震わせていたが 、
ゾンビを視界にうつした瞬間
目つきを変える
ユイカ
「 待って 、アカリ ! 」
ユイカは止めたが 、アカリは
素早く拳を握り噛まれることも
恐れず顎に拳で一撃入れた
長く一つ結びされた艶のある黒髪が
空をうねり舞う 。
その瞬間だった 。
( ボンッ !!!
大きな爆発音と同時に 、
ゾンビの顎に爆発が起こる
爆発したゾンビの下顎は肉片となり散った
アカリ
「 ッ は 、? 」
血飛沫が拳を赤く染める
アカリの瞳は大きく見開かれる
ゾンビは鈍い音を立てて
地面に倒れると 、顎が再生しだした
ユイカ
「 逃げるよ !! 」
状況を危ないと判断したユイカは
硬直するミハルの手を引っ叩き
無理やりに引っ張る
シュウ
「 置いていかないで ! 」
アタシは前方を走る2人の後ろを
アカリと共に追いかけた
しばらく走るうちに 、
古い一軒家があった
ここなら 、なんて考えて
全員で一軒家に入ることにした
幸い鍵は開いている
アタシ達はひとまずそこに入ることにした
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