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その ホストは・・・・
金髪ブルーの
カラーコンタクトをした顔で
笑って自分のことを
「ジョージ 」
と名乗った・・・・
:*゚..:。:.
.:*゚:.。
「本当におごって
もらってもいいの? 」
雑居ビルの階段を降りた所に
ホストクラブ
「ゼビアス」
の入り口があった
半ば強引に連れてこられたものの
いざ入り口にくるとあたしも麻美も
なんだか躊躇していた
入り口横には 見たこともない
大きなスタンドフラワーが
所せましと扉の両方を占領している
ホストの顔写真がアイドルブロマイド
みたいに飾ってある
あたしはすぐに
ジョージをみつけた
「いいって!いいって
そのかわりこれっきりで
俺達のこと終わりにしないでね♪」
ジョージが笑って言った
その笑顔はたまらなく魅力的だ
「ハイ!受付のレジでこれ渡してね
新規の客は前払いになっているんだ 」
長身のピアスの彼は
「ケン 」
と言う名前らしかった
ケンはあたし達にご新規チケットと
5千円の現金を渡してくれた
優しいんだ・・・・・
ホストって女の子からお金を
巻き上げる印象があったのに
なんだかお金まで
もらって悪い気がする・・・
高校生になったら
バイトしてお金かせいで返そう
今は他に
行く所もないから・・・・
甘えても
しょうがないよね・・・・
ジョージとケンがゼビアスの扉を一斉に開いた
二人同時に叫ぶ
「ようこそ!
あなたのパラダイス!ゼビアスへ」
途端にシャンデリアの光が
キラキラと目に飛び込んできた
夜なのにとっても眩しい!
「御新規様 二名様です!
いらっしゃいませ! 」
「うぉいらっしゃいませ~~~♪」
大勢の従業員の怒声が店内に響き渡る
中に入ると従業員の列と
拍手の海であたし達は迎えられた
こんなに沢山の若い男の人初めて見た
これみんなホストなの?
あたしはすっかりそのホスト達の勢いに
のみ込まれおどおどして麻美にくっついて行った
麻美はケンの冗談にゲラゲラ笑っている
お姫様のように手を高くかかげられ
席に誘導されてる
とても嬉しそうだ
いろんな服装のホスト達みんなが
あたしと麻美を見てニコニコしている
中には着物を着てる人もいた
その活気に押され
自然とあたしの気分も高まる
なんだか
はずかしいような・・・
それでいて嬉しくてしょうがない
テンションがあがる
4人座れるようなレザーのBOX席に通された
代わる代わるホストの男の子がやってくる
我先にと自己紹介をしてアピールしてくる
途端にあたしのワンピースの
ポケットは名刺の束ができた
あとで知ったのだが
あたし達みたいな新規の客は
みんな自分の専属にしようと躍起になるらしい
チヤホヤのされかたもハンパじゃない
少しの冗談でも大げさにはしゃいで
あたしはキャハハと笑う
つつましい学園じゃ大声上げて
笑うなんてとんでもないことだ
しかもこんな時間に
暫くして目も暗さや
煌びやかさに馴れてきた頃
回りを見渡してみる余裕も出てきた
回りに着飾っておとなしく
座っているお客の女の子たちを
見てみる・・・・・
あ・・・
あの女の子
あんなに太ってる・・・・
なんか普通の子もいるんだ
トレーナーにGパンの女の子もいた
麻美は長身にピアスのケンと盛り上がって
ポッキーの端と端をくわえて食べていた
あたしの反対側に座って水割りを作ってくれている
男の子にも聞いてみる
たしかユウ君っていったっけ・・・・
「ねぇ・・・・ジョージ君は? 」
「あれ~?俺がいるのに他の男の
こと考えている?
浮気ものだなぁ~ユカちゃんはぁ~♪」
とオデコをつつかれた
・・・悪い気はしない・・
でもなんかうなじのあたりがこそばゆい
くすぐられたり頭をぐしゃぐしゃにされて
笑いすぎて声が渇れる
「ジョージなら
今からショータイムだからそれに出るんだ 」
するとフッと店内が暗くなり
前方の舞台らしきもの幕が上がった
「おまたせしました! 皆さん
ゼビアスとっておきのショータイム!
今宵ごゆっくりとお楽しみください~♪」
派手なラップ音と軽快なアナウンスが
場内に響きわたった
舞台は圧倒的だった
耳を劈く音楽
真っ白いドライアイスの中
きらびやかなレーザー光線
そして上半身はだかで
飛んだり跳ねたりする男の人達・・・・
あたしは息をこらして見つめていた
まったく初めての経験だった
今までの自分の
人生をひっくり返す経験・・・
こんな世界があったなんて
真っ白いドライアイスの
スモーク・・・・・
きらびやかな
レーザー光線・・・・・・
決して大きいといえない
このホストクラブのステージで
あたしは目をこらして
ジョージを捜した
汗を飛びちらしキラキラ輝いている
上半身裸で飛んだり
跳ねたりしてるホスト達・・・・
みんななんてカッコイイの!!
ジョージ君はどこ?
あたしの目はジョージを
捜すのに夢中になった
でもどこにもジョージはいない
すると急に音楽は
ポリネシアン調に変わり
舞台はガラッと趣向を変えた
「ユカちゃん!!
ジョージが出てきたよ!! 」
ドラムロールが流れ舞台両端の鉄柱から
突然「 ヴゥオッ 」という音と共に
巨大な炎が噴出された
あたしはびっくりして飛び上がった
青いレーザ光線が舞台中を暴れ回り
炎の中からジョージがソロで出てきた
焼けた火の粉が舞い散る中
真剣な表情のジョージ・・・
ジョージはピタッとした
皮のビキニパンツ
一枚でたくましい
上半身をむき出しにしていた
あれじゃ
まるで裸じゃないの
たくましい
筋肉が収縮した体
両サイドに炎が
舞い上がる棒を
孫悟空さながら振り回している
「ファイヤーダンスだ!!」
麻美が興奮して叫ぶ!
ジョージがファイヤー棒を振り回すたびに
炎の熱気が顔にかかる
会場がどよめき盛り上がる
ショーのシチュエーションだろう・・・
ジョージの脚首は鎖につながれていた
音楽が最高潮を鳴らしいよいよ
ショーもクライマックス
ジョージは自分の股間に手をやり
音楽にあわせ腰を前後に激しく動かす
その踊りは男性が自慰行為を
する姿を連想させる
とたんにあたしは頬を赤くして顔を
そらしたが
淫らな魅力に
惹かれるように
視線をもどした
もはや目は
ジョージに釘付けで逸らせない
その動きは
なめらかな逞しい肌の中に
潜めた激しいSEXを思わせた
激しいダンスと共に
ジョージの体中の汗がとびちり
情欲的に観客を挑発する
かっこいい!
かっこいい!!!
ジョージは苦しみとも
狂気ともつかない
表情で天空めがけて
腰を突き出しラストを飾った・・・
汗に光る
顔をこちらに向け
流し目であたしを見た
目があった
強烈な男の本能を
誘うダンスが
あたしの欲望を動かしたのか
乳首が疼き
股関をギュッと閉じて
浅い呼吸をした
約1時間の
ショータイムが終わっても
あたしはボ~ッとしていた
こんな世界
があったなんて・・・・・
今までテレビで
見たどのショーよりも
迫力があって官能的だった
あたしは完全に
そのショーに
ホストの世界に魅入られた
なんだか
股間がむずがゆい・・
トイレに行って確かめてみると
あたしは濡れていた
思い出しただけで
心臓がドキドキする
男の人を見ただけで
こんな風になるなんて・・・
何て刺激の強い
体中を蝕む官能・・・
あたしは初めて男の人に
セクシャリズムを感じた
「なんかボ~ッとしてるね~♪
うちの店気に入った?ユカちゃんよかったら
俺の専属になってよ~♪ 」
席にもどったあたしはユウ君の話を
上の空で聞いていた
頭の中はさっきの逞しく踊るジョージの
姿で一杯だった
気が付くと隣に座っている
ユウ君の顔がすごく近くにあった
「ゆかちゃぁ~ん ♪かわいいね~♪」
ユウ君の顔が迫ってくる
ちょっと酔っ払ってる・・・・
どうしよう専属ってなに?
その時だったあたしの反対側に
ドカッと誰かが座った
ジョージだった!
踊り終えたばっかりで息をきらしてる
シャツのボタンが全開になってて
首から汗がしたたり落ちてる・・・
ジョージは一輪の白のユリの花を
あたしに差し出した
「はい あげる」
「え?あたしに?」
「うん白がユカちゃんっぽかったから
そこの花瓶からひっこぬいてきた」
とジョージはあたしを見てニコッと笑った
ドキン・・・・ドキン・・・・・
初めて感じる
胸の鼓動・・・・・
どうしよう・・・・・
まともにショージの
顔が見れない・・・・
きっとあたしの顔は
真っ赤になってるはず
男性相手に初めて恥ずかしいという
感情を持った・・・・
牟田さんや猛の
時はこんなことなかったのに
「ダメだよ!他の男の専属なんてならないで
君は俺が見つけたんだから
ユカは俺のものだ! 」
そういうとジョージはあたしの肩を抱き寄せた
まるであたしの事を彼女みたいに扱う
「 踊れる? 」
フイにジョージが言った言葉を
あたしは半分も聞いていなかった
ショータイムが終わってから
ずっとジョージはあたしの横にいてくれた
その間あたしは自分が何を飲んで
何を話しているのか
まったく理解していなかった
ジョージに腕をひっぱられて
ダンスフロアに誘われて初めて状況を理解した
「ちょっと!ジョージ君!
あたし踊ったことなんてないよ!
足踏んづけちゃうかも 」
「踏まれてもかまわないよ
俺のことは呼び捨てにして
そのほうが特別みたいだろ」
彼はすばやくあたしの腰に手を回し
あたしは強引に抱き寄せられた
優しい青いカラーコンタクトの瞳・・・
体から漂ってくるコロンの香り・・・
いろんなホストと客が
ダンスフロアで寄り添って揺れ動いている
他の客達にまぎれてあたしとジョージも
ぴったり引っ付いて揺れてる
「ユカちゃんのワンピかわいいね 」
ジョージはあたしの
頬を自分の胸にもたせかけた
心に染みる静かな曲はその場の雰囲気に
しっくり合っていた
どうしよう・・・・・・
心臓が・・・・
発作にみたいに高鳴っている
あたしはワンピを
褒められたのが嬉しかった
思い切ってあたしは顔を上げて彼を見た
「ねぇ、ジョージって本名? 」
「チェッ!よく言われるんだよな~
残念だけど本名なんだ丈夫な二男で漢字だと
丈二って書くんだ 」
「じゃあ お兄さんがいるのね 」
「うん!そしてここ2~3年
風邪なんかひいたことない 」
あたしは笑ったジョージも笑っていた
ぴったり寄り添っているので
彼の笑いが胸元でさざめいて衣類を通り抜けて
まっすぐにあたしの心臓に届いた
それだけ二人は密着していた
ジョージがあたしを
抱く手に力がこもった
「ユカちゃん・・・・約束して?
もうさっきみたいに
他の男にフラフラしないって」
あたしは驚いて彼を見た
「あたしが?フラフラしてるって?」
「そうだよあの橋で会った時から
店に来てからも他のヤローに微笑んだり」
すこしジョージはスネて言った
なんだろう・・・・・・
ジョージはあたしを
本当に彼女のように扱う・・・・・
あたしのことを好きになってくれたのかな?
「ユカは俺が見つけたんだから
俺のもんだからね 」
そう言うとジョージは再び強く
あたしを抱きしめた
あたしは目を閉じ流れに任せて
彼の温かい体や鋼のような抱かれてる
腕の感覚を楽しんだ
ぴったりジョージの胸に寄り添っていると
脚の力が抜けていくようだった
誰かのものになるって・・・・・・
気持ちいい・・・・・・・
結局その後は麻美とケンとジョージとあたし
4人で朝まで盛り上がった
一杯だけと言っていたケンは上機嫌でマイボトルを卸し
振る舞ってくれたので
あたしと麻美はすっかり酔っ払ってしまった
フラフラ
千鳥足で乗った始発電車の中で
あたし達はすっかり眠りこけてしまい
降りる駅をずいぶん越してから目が覚めた
麻美の家で一息してお酒が抜けてから
化粧を落とし服を着替えて学園に戻った
万引きした服は念のため
麻美の家に保管してもらった
ジョージが褒めてくれたワンピは微かに
ジョージのコロンの匂いがした
手放すのは名残惜しかった
でもあたしの手には帰りにジョージにもらった
一輪の白のユリの花がある
さんざん部屋や
食堂を探し回って見つけた
牛乳瓶に水をはって
ユリを部屋にかざった
あたしはそのユリを眺めながら
夕べの魔法のような
出来事を何度も思い出していた
だけども思いはどうしてもジョージに向かう
どうすれば次にジョージに会えるか
あたしは一日中
そればかり考えていた・・・・・
:*゚..:。:.
.:*゚:.。
それが無くなっていたのに気付いたのは
翌日学校に行く身支度を
している時だった・・・
放課後いつものようにあたしは体育館裏で
麻美が一服するのに付き合いながら
昨日思い出したことを言った
あたしは自分の化粧ポーチを
ゼビアスのトイレに
忘れてきてしまっていた
ジョージのダンスでボーっとしてた証拠だ
あの化粧ポーチには先日麻美と万引きした
メイク用品がすべて入っていた
「だから今日ユカちゃんスッピンなの~?
大変じゃん! 」
そうなのだ一度化粧を覚えてしまうと
なぜか化粧なしでは
外を歩けなくなっていた
そう・・・・学校に行くのでさえ
眉毛ぐらい描くのがエチケットだと思っていた
だから今朝から鏡を見るたび
あたしのすっピンの顔は
本当に情けなく写って
とても自分に自信なんか
持てるものではなかった
そんな気持ちを麻美はよく分かってくれていた
「家に帰ったらゼビアスの電話番号わかるよ
あたしケンにマッチもらったから
電話しようよ! 」
あたしは心が躍った!麻美に早くタバコを
吸い終わるようにせかし
麻美は体育館裏の溝に吸殻を捨てた
なぜかこの場所は学校の不良の
喫煙場所になっていて
絶対先生に見つからないという場所だった
見つかりたくなかったら家で吸えばいいのに
一度麻美に言ったが持ち歩いて学校で吸うのが
自分が悪いことをしている
気分になって楽しいのだそうだ
それにはあたしは理解できなかった
とにかくこれで
ジョージとしゃべれる!
今では化粧ポーチを忘れてきた
自分を褒めたいくらいだった
麻美の部屋で電話をプッシュする音が響く
ジョージ・・・・
名前を思い浮かべるだけで
顔がほころんでしまう
優しくてハンサムなジョージ・・・・
ああどうか もう一度会いたい
麻美がケンと楽しそうに何か話している
てっきりジョージに
代わってくれると思ったのに
麻美はそのまま電話を切ってしまった
いったいどういうつもり?
麻美が興奮して言った
「ピンクのキティちゃんのポーチでしょ?
店にあるって!
明日ジョージに持たせるってゼビアスの近くのほらっ
ナンパされて行った心斎橋の不二家で3時だって
ジョージが待ってるって!ユカちゃん行っておいでよ!」
「 本当? 」
あたしの顔は喜びで紅潮した
あの店に行かないと
ジョージに会えないと思ったのに
店の外で会えるなんて!
しかも昼間!
超嬉しい!
ああ!もうどうしよう!
この間のワンピはいくら
ジョージが褒めてくれたからといって
同じ格好で行くわけにはいかない
だってジョージは綺麗な人や
可愛い人は沢山見てるだろうから
化粧品は麻美に借りることにした
その日の夕方あたしは初めて一人で
ショッピングモールに行き
服を万引きした
馴れてしまうと自分の感覚がマヒして
いくのが分かった
黒のタートルに赤のひらミニスカート・・・
タグを歯で噛み切る時に
少し罪悪感がこみ上げる
でもしかたがないジョージに
会うためなんだもの
そうよ・・・・・
しかたがない・・・
:*゚..:。:.
.:*゚:.。
「ユカ!今日あんたがゴミ出し当番だよ!
食べ終わったらさっさといっといで!
収集車が来ちゃうじゃない!」
「ハァ~い・・・」
夕べは良く眠れなかった
いよいよ今日ジョージに会える・・・・
朝ごはんの最中食堂であたしの
この上なく幸せな気持ちを
たかがゴミ出し一つのことで
新しくこの学園に就任された高木先生は
いとも簡単に台無しにしてくれた
あたしはこの先生を好きになれなかった
この女は完璧に自己中心的に振舞い
愚かな上に了見が狭い
ときどき外でタバコを吸ったり
している行儀が悪い
そして何よりとても太っていて
その食堂をノシノシ歩く姿は
相撲とりそのものだ
この女には親に捨てられた
子供に対して優しさのかけらもない
あたしはこの女が就任してきた時から
およそこの女に期待というものを
抱かなくなった
どうして学園長がこの女を
雇っているのかさっぱりわからない
うんざりしながら
あたしはゴミ置き場にむかった
制服が汚れないように気をつけながら
山積みにされた学園のゴミ袋を黙々と
収集場所に運ぶ
頭の中は放課後ジョージに
会う段取りでいっぱいだった
最後の二袋を両手に持ち収集場所に向かうと
収集車のあの独特の音楽が聞こえた
いけない!
持ってってもらわなきゃ
怒られちゃう!
あたしは重い袋を抱えて走った
息を切らしながらやっと収集車に追いついた
そして車のエンジン音に
かき消されないように
大声で係員の人を呼び止めた
「すいません!
これも持ってってください」
係員の一人がひったくるように
両方のゴミを持ってくれた
途端に腕が軽くなった
あたしは疾走した疲れで
その場でうなだれた
「・・・ユカ?・・・」
ゴミ収集車のエンジン音に
かき消されそうな声・・・・
たしかに誰かが
あたしの名前を呼んだ
フト顔をあげるとゴミ収集の係員が
あたしの目の前にいた
灰色の市の作業服・・・・・
背の高い
作業帽子の下にあった顔は・・・・
たしかに見覚えがあった
あたしは思わず
つぶやいてしまった
「 牟田さん・・・・・・? 」
:*゚..:。:.
.:*゚:.。
御堂筋線の地下鉄の公衆トイレは
相変わらずスエた匂いが充満していた
午後の手洗い場は電車を降りたばかりの
化粧直しの女性でごったがえしていた
あたしはそこに割って入るようにして手を洗い
一番大きな鏡の前を陣取った
さっきから電車でも5分置きに自分の顔を
手鏡で覗いていたのだが
いよいよここでの化粧直しが
最終チェックになる
あたしは念入りに化粧をなおした
こうしてアイラインのにじみを麺棒で
なおしている今も
あたしの鼓動は興奮で高まったままおさまらない
だってこのトイレを出て地上に上がってすぐの
喫茶店でジョージがあたしを待っている
ジョージにワンピを褒められた時は
嬉しくてたまらなかった
トイレの姿鏡の前で全身チェックする
今日の服装を最終チェックする
万引きしてきたタートルネックに
チェックのひらミニ・・・
麻美のママから借りたハイヒール
少し子供っぽいだろうか・・・・
ゼビアスの女のお客さんは皆
派手でスーツとか着ていた
ああ・・・どうかジョージが
気に入ってくれますように
地下鉄の改札から一気に
階段を駆け上がり地上に出る
風が気持ちいい・・・
ダッシュで心斎橋に向かう陽射しの中で石造りの
ひっかけ橋を麻美のママから借りた
ヒールをコツコツ鳴らしながら歩く
ふと思い出す・・・・
この先を行った所のラブホテルに牟田さんと
泊まった・・・・
ひっかけ橋に少しもたれて淀川のキラキラしている
水面を見つめる
ああ もう
今朝から頭の中はジョージと
牟田さんが交互に出てくる
いっそのこと二人で
ダンスでもしてくれたらいいのに・・・
今朝のゴミ置き場のあの匂い・・・・
そして背の高い収集員・・・
帽子からのぞく牟田さんの顔疑うように
あたしの名前を呼んだ
あたしは何も言えずにその場に立ちすくんだ
そう牟田さんは気付いた
あたしが中学の制服を着ていることを
彼はすばやくおじぎをすると
ゴミ収集車の後ろにつかまって行ってしまった
何も言わなかった・・・・・
笑顔もみせてくれなかった・・・・
無理もないよ
関わりたくないよね・・・・
あたしも自分の歳を十六ってウソついていたし
たった一度だけ抱かれた人
その後連絡すらとれなかった・・・・・・
ねぇ
牟田さんあたしあれから色々なことがあったよ
たけしとも何回もSEXしたし
麻美と沢山悪いことしてるし・・・
そして
今はホストのジョージに
会いにいこうとしている
そう・・・・・
牟田さんは本当に
もうあたしには関係ない人・・・
あたしは再び歩きだしたこんな所にいたら
ヘンな人にナンパされちゃう
もうあたしは
フラフラ男の人についていかない
大きなファッションビルの2階には
ガラス貼りの喫茶店があった
窓側に座ると外からは丸見えで
待ち合わせには最適の場所・・・
一番端っこのテーブルに
長い脚を組んで座って
タバコを吸っている男の人
金髪が日に当たってキラキラしてる
数日前からあたしが
夢中になってる人・・・・
そして毎晩あたしが
一人ベッドで夢見る中で
もっとも激しく
エロティックな夢の主人公は
彼しかいなかった
ああ・・・・
ショージがもう来ている
あたしは逸る胸を押さえ
小走りでジョージのもとに向かった
「ユカちゃん! こっち」
聞き間違えのない低い声に
どきりと衝撃が走る
ジョージは右手を上げてあたしに微笑みかける
微笑むとセクシーなえくぼが頬にできた
すっきりと痩せていて
肩幅は座っている椅子より広い
輝く金髪は豊かでさっぱりと散髪されていて
鼻はまっすぐで高く
官能的な唇をしていた
そしてその瞳の色ときたら
カラーコンタクトのせいもあるけど
海のような深い藍色をしていた
その真ん中の真っ黒い瞳があたしを見据えている
ああどんなにその瞳に
会いたかったか・・・・・
女達がお金を払ってまで
彼と過ごしたいと思う気持ちは
幼いあたしにも理解できた
金の力でこの美しいジョージを
思うがままにできるなんて
途方もないことだけど心が激しくそそられる
あたしは初めて男の人に色気を感じた
そして今日はゼビアスの制服ではなくて
黒のVネックのセーターに
首には金のコインチェーンが煌いている
黒い上着にグレーのズボン
そして黒い靴はピカピカに
磨き上げられていたジョージは
驚くほど身だしなみがよかった
ああ・・・
太刀打ちできない・・・・・
それにくらべてあたしのカッコウ・・・
何て話せばいのか
頭の中真っ白・・・・
ジョージが素敵すぎてジョージの周りは
酸素が薄い気さえしてくる
「ごめん 待った?」
なんてありきたりな言葉しかいえないの?
もっと気の利いた大人な女を気取りたいのに
「ううん俺起きたてだから朝メシ食おうと思って
少し早く来たんだつーても
もう4時だけどね 」
するとタイミングよく店員が料理を運んできた
数分もしないうちにスパゲティやら
ケーキやらが運ばれてあっという間に
料理がテーブルに溢れかえった
「 ありがとう 」
ジョージがウエイトレスを
みつめてニッコリ微笑む
瞬殺の笑顔だと思った
案の定ウエイトレスが
ジョージをまじまじと
見つめてからにっこり微笑み返した
ほら彼女も
もうジョージの虜だ
「こんなに沢山?一人で食べられるの? 」
「まさか!ユカちゃんと一緒に
食おうと思ったんだよ
何が好きかわかんなかったから
テキトーに頼んだ ほらっ食べよ! 」
ジョージがコーヒーカップ越しに
無邪気にまつげをぱちぱちさせた
そんなこと言われたって・・・・・
ジョージの前で口をあけて食べるの・・・・
恥ずかしい
でもあたしの分まで注文してくれるなんて
凄くやさしい人
意外にもジョージの食べ方はとってもキレイで
器用にスパゲティをフォークで
巻いて一口で収めている
どうしてジョージの瞳はあんなに
まばゆいほどに輝いているのだろう
それにとても綺麗な肌をしている
毛穴は目立たずなめらかで
夜の仕事のせいかうっすらと
色白の肌は目も手も惹き付けられる
うっとりと見とれていると
ふと彼の右頬が赤く
なっていることに気付いた
「ジョージ・・・・
ほっぺたどうしたの? 」
「 ああ これ? 」
ムグムグ口を動かしなら話す
なんだか時々見せる
少年っぽさが親しみを感じた
「昨日のファイヤーダンズで
誤って手がすべっちゃってね」
「まぁ!頬を火傷したの?」
あたしはびっくりした
赤くなっただけでよかったけど
このキレイな顔に
キズがつくなんて耐えられない
「やさしいなぁ~ユカちゃんは
でもこんな傷しょっちゅうだよ!
実は俺・・・
接客がヘタだからさせめて
ダンスでお客様を喜ばせないといけなくて」
「そんな 接客がへたなんて!」
あたしは首をふりジョージに
そんなことを言った人を恨んだ
「ほんと!ほんと!
女の子と何話していいかわかんないし
いらないこと言ってお客様を
怒らせちゃうことも時々あってね・・ 」
ジョージは
はにかみながら言った
「俺・・・実は島根から出てきた田舎者
なんだよ先輩を慕って大阪に出てきたんだけど
ホスト業って以外とノルマ・ノルマで厳しくてさ
向いてないって
自分で思ってた時」
自分の言葉に照れてるのか
ジョージは咳をして続けた
「初めてステージで躍らせてもらって
小さい頃からダンスは好きだったんだ
TVでジャニーズのマネしたりしてさ
だからダンスを褒められた時は嬉しかったな
そして田舎で土方で鍛えた体も店長にうけて」
ジョージはあたしを見てニッコリした
「(お前はこれから肉体派ダンサーで売れ)ってさ
もうそのうち全裸で踊らされる勢いだよ」
想像したくないのにもう手遅れだ
すでにジョージのがっしりと逞しい
ファイヤーダンスをしていた時の体が
あたしの脳裏に浮かんでいる
「今 Hなこと想像しただろ~?」
ツンと頬を人差し指でつつかれて
あたしは自分の頬が熱くなるのを感じた
「そんなっ!
想像なんてしてないっっ!」
「別にしてくれてもいいのに」
あたしはうつむいて周囲に視線を泳がせた
でもニヤニヤおもしろがっているジョージは
頬を染めて固まっている
あたしをじっと見つめてくる
ジョージの目は磁石のように
あたしの視線をひきつけさせた
興味深々と言った瞳で
あたしをうかがっている
「うえっおれチーズって苦手!
これチーズたっぷり入ってるっっ」
「ドリアなんだからチーズが入ってるの
当たり前なんじゃないの?」
「匂いがきつくないのは食べられるんだ
でも これはだめ! 」
なんだかおかしくてかわいい・・・
「ゆかちゃんコレ食べてハイッあ~ん 」
同じスプーンで?
こんな小さなことさえも意識してしまう
フッと彼が笑っていった
「なんか・・・・・何でだろ・・
他の客にはこんな事話したことないのにな・・・
俺ユカちゃんの前では
ホストじゃなくなっちまうな・・・」
優しい声・・・・・
そして
何て目であたしを見つめるの?
「ユカちゃんの肌の色はきれいだね
唇の形もかわいい 」
「口・・・・・
ずっと大きいと思っててすごく
キライなの・・・・ 」
とあたしはつぶやいた
口先だけのお世辞かもしれないけど
ほのかにくすぐったくて嬉しい
「俺の理想の唇をしてるよ 」
「それに
髪も黒くて太いし・・・・」
あたしは自分の欠点を洗いざらい言って
しまいたくなった
「 そうかな? 」
ジョージが手を伸ばしてあたしの髪を一束掴んで
指でもて遊んでいる
触られた所が髪なのにゾクゾクする
「それに・・・・・・
胸も小さいし・・・・」
「 じゃあ 見せて? 」
あたしはガタンッと勢い良く立ち上がった
そして両手で胸を押さえた
ダメッ!!
こんな胸ジョージには絶対見せられない
あたしの反応を見てジョージはケタケタ笑った
「おっかし~(笑)ユカちゃん
サイコー♪カワイイー♪ 」
なんだ・・・・・
冗談だったんだ
そうだよねこんな所で
本当に見るつもりなんかないよね・・・・
あたしは急に自分の
アホさかげんにおかしくなった
ジョージは女の人には不自由してない
あたしなんか相手にされるわけないのに
ショージはまだ笑顔だった意地悪く目を輝かせている
彼を見ていて思った
相手にされるわけない
でも
もし・・・・・・
この美しい宝石のような
ジョージを自分の
ものにできたら・・・・・・
あたしは きっと
何でもするだろう
:*゚..:。:.
.:*゚:.。
「ハイ! 忘れ物!
これを取りにきたんでしょ 」
「 ありがとう 」
店を出るとジョージが
化粧ポーチをあたしに差し出した
そう忘れてたこれを貰うために
あたしはジョージと会ったんだった
会う口実なんて何でもよかった
ジョージの顔を見たかっただけ
彼はさっきの店の飲食代を
ためらわず払ってくれた
駅まで送ると言ってジョージは人ゴミで
ごった返している夕方の心斎橋を歩き出した
器用に人と人の間を泳ぐように歩く
スタイルの良さと自信に満ちた物腰
その姿は狡猾な貴族のように見える
もうこれでお別れなの?
優雅に歩くジョージの後ろ姿を見つめながら
あたしは急に寂しさを実感した
ジョージに恋せずに
いられる女なんていない・・・・・
だって彼は美しくてずるくて純粋だ・・・・
皺一つない足首まである黒のロングコートは
ウエストでキュッと絞ってある
どこかの芸能人なんかよりもずっとステキ
かすかにオーデコロンの香りが漂ってくる
ジョージは今まで会った
どの男よりもステキな匂いがする
それがあたしにはたまらなかった
彼の香りのエッセンスを瓶づめにして
持ち歩きたい気分だ
「本当ならこのまま同伴だったら助かるけど
ユカちゃんじゃなぁ~ 」
歩道橋を昇る階段でジョージはふりむいて
後ろ歩きで話しかけてきた
「いくら払えばいいの?あんまり持ってないけど」
ジョージは笑った
「そんなこと出来ないよ!本当は未成年でしょ!
子供は早く帰って寝なさい」
優雅な動きでなめらかに背中をむける
あたしはとたんにムキになった
「あたしもう子供じゃないわ!」
本当よ!SEXだってしてるし
ああ・・・・
お金さえあれば・・・・
どうすればジョージに一人前の女扱いして
もらえるのだろう?
「ごめん ごめん そうだね」
そう笑うとジョージは鼻歌を歌いながら
スキップで歩道橋を登っていく
あたしも彼に必死でついていく
その時あたしの視界が歪んだ
目の前にいるジョージの
後ろ姿が斜めになった
硬いアスファルトに体を強打し痛みに呻いた
気が付いたらあたしは地面に転んでいた
履き慣れていない麻美のママのヒールが
片方スッポリとあたしの足から外れた
そしてそのヒールは転がり歩道橋の柵の間を
すり抜けて下の車道に落ちた
ヒールが落ちた所は何百メートルも
下のような気がした
信号の無い御堂筋の車道の真ん中
車がビュンビュン行きかっている
あたしは柵から身をのり上げ下を見下ろした
ああ・・・・
なんてまぬけなの
麻美のママのヒール!
車に引かれてペシャンコになってるかもしれない
とてもじゃないけど
この車の往来では拾いに行けない
「 待ってて 」
一瞬だった
息つくヒマもなかった
ジョージがそう言うとすばやく階段を下りて
ヒラリと車が行きかう車道に飛び込んだ
「ジョージ! ダメ! 」
信じられない!そんな危ないこと!
車の急ブレーキに派手なクラクションの音
なにごとかと御堂筋を行き交う人々はみんなが
大きなクラクションが鳴る方を見ている
ジョージがヒラリと道路に舞い降りて
あたしのヒールを拾った
もう少しでジョージは銀のBMW に
退かれる所だった
「何やってんだ!
兄ちゃん!死にて~のかっっ!」
BMWの運転手が怒鳴る
「すんませ~ん 」
ジョージは愛想よく
BMWの運転手に手を上げると
平然と鼻歌を歌ってヒールを
片手に一番上のあたしが座っている
歩道橋の階段を登ってくる
あたしは膝の震えが止まらなかった
そして
あたしの前にひざまずくと足に手をのばした
彼は自分の膝にあたしのはだしの足を置いて
ヒールを履かせなおしてストラップを止めた
口には笑いの片鱗が見えていた
「この靴あってないみたいだね」
ジョージはあたしが困り果てていることと
そして人々の注目を集めていることを
おもしろがっているようだった
太くて短くて嫌いだった
自分の足にジョージが触れてる
「あんな危ないことして・・・
死ぬ所だったわ・・・・・」
「でも靴がなかったら
困るでしょう? 」
ジョージの優しさに涙が出た
たとえそれが仕事上の優しさで他の女性
皆に値するものでもあたしは嬉しかった
「泣いてるの? ユカちゃん?」
ジョージに掴まれている
あたしの足首はとても敏感で
震えていた
ほんのつかの間の接触だったのに
その感覚はあたしの骨髄まで浸透して溶かした
口がカラカラに渇き全身に快感が
ピリピリと伝わっていく
自分がいる所が道の従来で歩道橋の階段の
ど真ん中に座っていることなどもう気にならなくなった
パリッとしわ一つない
シーツの海に裸の彼と倒れこみ
彼の肌に唇を押し付けたかった
彼の重みを自分の上に感じて
熱い彼のモノで力いっぱい突き上げて欲しかった
原始的な欲望で頭の中はぐるぐる回る
15の冬・・・・・・
初めての本気の恋は
狂おしいほどにこうして始まった
そしてそれが・・・・・
これからおこる狂気と
破滅の暗闇をたどることになるとは
その時は
思いもよらなかった・・・・・
:*゚..:。:.
.:*゚:.。
夕方の都会の心斎橋の喧騒から離れて
あたしは施設に帰る道を
一人トボトボ歩いていた
ジョージとの事を麻美に
報告しなければいけないけど
今日はよそう・・・
一人で浸りたかった
改札まで送ってくれた
優しいジョージ・・・・・
ジョージの顔を思い出すと
あたしの心にずっしりと
甘い痛みが広がった
自分の足首に触った
ジョージの手の
感覚を思い出すだけで
口がカラカラに渇いた
彼を誘惑してほんの一瞬でも
いいから彼を独占したかった
もう一度彼の肌に触れたい・・・・
自分の中に彼を引き入れたい
今まであたしの人生は
あまりに孤独で平凡だった
きっと 彼を手に入れたら
この上なく幸福が待っている事だろう
だけど 今のあたしにとって
ジョージはあの夜空を
光り輝いている星のように
手の届かない存在だ
どこをどう通って帰ってきたのか
ほとんど覚えていなかった
まるで酔っているかのように
フラフラしながら
施設の前まで帰ってきた
すると今朝のゴミ置き場に
誰かが立っていた
身長が高い
黒いジャケットを着た男の人だった
あたしは途端に今朝の
このゴミ置き場の出来事を思い出した
そして
ゆっくりと思考錯誤する
時間をたっぷりとって
その男性に近づいて行った
「牟田さん・・・・・ 」
「やぁ・・・・・
今朝見かけたときは
驚いたよ・・・ 」
低い男の人の声がした
この声は知っている
本当に牟田さんだ・・・・・・
今朝のごみ収集の作業服ではなく
今はおしゃれでステキだった
二人は見つめあった
ジョージや猛に会うまでは
この町で偶然彼に出くわすことを
何度も思い描いていた
でも
今は少し気まずい
あたしの嘘は完璧にこの人には
バレている
「ここで 何してるの?」
決まりが悪くて
きつい口調になってしまった
「 話がしたくて・・・・
とりあえず
車で来たんだ・・・・・
乗らない? 」
ためらうような間があった
彼はあたしに拒絶されたら
すぐに引き返す
つもりのようだった
あたしはうなずき
近くの角に停車している
彼の車に乗った
懐かしいとさえ思う彼の
車の香りを嗅いだ
彼はフロントガラスの
前をじっと見つめながら
何か色々話かけてくる
連絡するつもりだった
とか
まさか中学生とは
思わなかった
とか
両親はどうしているんだ
とか・・・・
その言葉をあたしは
ラジオのノイズの
ように聞いていた
あたしの頭の中は
全然別のことを考えていた
そう
計画といってもいいほどの
壮大な考えがあたしの
頭の大半をしめていた
やがてその計画が
具体化されたと確信した時
あたしは
彼の首に腕を回し
言い訳がましいその唇を
キスでふさいだ
すかさず
彼はあたしを膝の上に抱き
キスを深めてきた
そう
これがしたかったんでしょ?
今朝
彼をみかけた時から
こうなるような予感はしていた
きっと
ジョージに会わなければ
あたしは彼を愛したと思う
そう・・・・
ジョージに
会わなければ・・・・
でも もう
出会ってしまったの・・・・・
あたしは彼の膝から
助手席へすばやく移動し
牟田さんのジーンズの
ファスナーをおろした
手を中に入れてトランクスの
上から硬くなったものを
そっとさすると
彼がどきりとしたように
息をのんだ
そう その調子
今までの受身の態勢
なんてまっぴらだった
あたしはある決心のもと
に変わろうとしていた
トランクスの中に手を
入れて彼自信をつかむ
「おい・・・・
そこまでしなくても・・・・」
「 やめてほしい? 」
戸惑う牟田さんを挑発し
太腿の途中までジーンズを降ろし
太い彼のものを
根元からしっかりと握り
喉の奥まで深くくわえた
牟田さんが快感のうめき声を
微かにもらす
「ずいぶん
過激だな・・・・」
息切れして声がかすれている
頬が赤い・・・・
明らかに彼はあたしの
行動に驚いていた
「 過激だとイヤ? 」
「 まいったな・・・・・ 」
彼の声はあたしが大胆に
しごきはじめると
同時にあえぎに変わった
ゆっくりと激しく濃厚に根元から
先まで大きく舐め上げて
喉の奥まで含み
強く吸う
少し塩からい
ふとあたしの
頭の中でジョージを
自分の愛撫で身悶え
させているところを想像した
ますます
愛撫に熱が入る
牟田さんが切ない声で言った
「少しペースを落としてよ
ユカちゃん
このままだとイッてしまうよ・・・
まだ
終わらせたくないんだ・・・・」
車の運転席は
ひどく狭くて動きにくい
でも あたしは早く
終わらせたかった
施設の門限もあるし
ペースを落とすわけにも
いかない理由もある
静まりかえった車内で
凄まじい緊張が走っている
聞こえるのは
遠くを道行く車の音と
彼の荒い息遣い
そしてあたしが愛撫する音・・・・
かつてなかったほど
気持ちは高ぶっている
あたしは根元まで
彼を口に含んだまま
気付かれないようにそっと
自分でパンティをずり下ろす
目を閉じて
身を捩る彼の首筋には血管が浮き立ち
必死で射精に抵抗している
あたしはゆっくり
ペニスをおしつけ熱く濡れた
内側の襞に何度もすりつけた
ほんのわずかな動きなのに
ひどく淫らだ
感覚は研ぎ澄まされている
おそらく彼にはとても
刺激が強いとみなされる
いまだ
彼に会ってからずっと
頭の中でリバースしていた
言葉を言う時だと悟った
快感で正気を失いかけている
牟田さんの顔をじっと見つめ
彼のモノを襞に押し付け
耳タブを舐めながら
そっと 囁いた
「ねぇ
牟田さん・・・・・
お金・・・・
ちょうだい・・・・・ 」
彼はまるで初めて
あたし自身を見たように
マジマジと顔を見つめた
「君は悪い子だな・・・・」
少し微笑した彼はそう言うと
あたしにキスをし
腰を掴んでソレを押し当て
奥まで一気に貫いた
メリメリと内側が広がった
思わず
「ああっ!」
と声をあげた
そうだ・・・
この人のは大きかったんだ
ギシギシと狭い車内が揺れる
フロントガラスが
二人の熱気で曇っている
今や牟田さんは
目を閉じて激しく腰を
突き上げるのに没頭している
契約完了・・・・・・・・
その時あたしは頭の中でつぶやいた
あたしは彼にまたがり
やわらい自分自身に
彼の怒張したモノをひっつけた
しっとり濡れた
自分の入り口付近で円をかき
彼の先端を
愛液でべとべとにした
牟田さんの頬は赤みが射し
額は玉の汗が浮かんでいた
「ああ・・・・
ユカちゃん・・・・
じらさないでくれ・・・・ 」