テラーノベル
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「トモダチコレクション?」
鈴木「うん!そう。最近もうずっと遊んでてさ。」
いつもの休み時間、いつもの席。俺は今日も友達の鈴木と駄弁っていた。
鈴木「お前確か、スイ◯チ2持ってたよな?遊んだ方が良い、おもろいぞ。」
「ふーん、それより消しゴム貸して。」
鈴木「お前またかよ…。忘れすぎだろ流石に…はい。」
「さんくす。」
鈴木「まあとにかく、やってみてくだせえ。クラスメイトとか作れて楽しいぞ。」
「考えとくわ。」
…と、興味なさそうに返事したけど、前々からちょっと気になってはいた。
最近忙しくてなかなかゲームしてなかったし、久々にしたいなあ。ちょっと親に頼んでみるかな。
「ただいも〜。」
おっ。
今日は誰もいないのか。
親が帰ってくるまでゲームしよーっと…。
「………ん?」
俺がゲーム機を立ち上げると、見知らぬゲームがダウンロードされていた。名前は……。
「……トモダチコレクション…!?」
もしかして、親がやりたくて勝手に買ったのかも!丁度良い、遊んじゃえ。
まずは住民を作るんだな。
うーん、まあ鈴木でいっか。
「あいつ、どんな顔だったっけ……。」
このMii作成、思っていたよりも難しい。パーツの種類が多すぎて何を使えば良いのかわからない。目の形とか、大きさとか、位置とか…少しズレただけで大きく印象が変わる。
かろうじて俺は鈴木のような何かを作ることに成功した。
「誕生日…年齢…ほう、身長まで決めれるのか。」
鈴木のような何かに、俺が知っている限りの「鈴木」を詰め込んでいく。不思議と、より本物に近づいてるような気がする。
「性格………。」
鈴木の性格か。う〜ん。割とキビキビ寄りかなあ。言葉は…まあ、バッサリかなあ。後は………。
ドライ系バッサリ型!
「おお。」
我が道を突き進む…うん、結構合ってるんじゃないか、これ。すごいな、面白い。
スズキ「あの〜初めまして、俺…。」
スズキ「“鈴木”と申します。」
スズキ「俺、ドライ系バッサリ型で、周りの言うことは聞かない性格です。」
スズキ「よろしくお願いします。」
自分で言うのか、それ。
それから俺のトモコレ生活が始まった。
Miiのお世話をしたり、住人として新しくクラスメイトを作ったり……。
あまりにもおこがましくてムカつく時もあるけど、俺がいないと全くダメなこいつらの、なんというか、儚さ?に惹かれ、いつしか俺はそのゲームにのめり込んでいた。
トモコレを始めてから一週間ほど経った時だった。島の住民は二十数名。クラスメイトを全員再現する日も近いといった、そんなところだった。
ヤマダ「実は、私たちの赤ちゃんが産まれました!」
えっ。
ヤマダとワタナベに、子供?
ワタナベ「性別はどっちだと思いますか?」
えっ、あ、これ選んだ方の性別になる感じか。でも、ランダムの方がそれっぽいよな。
ヤマダ「男の子です!」
「おおー。」
それにしても、この二人、意外な組み合わせだなあ。リアルでは特に仲良い感じではないのに。子供も産まれちゃうなんて。
こういう意外なカップリングを意図せず見れるのも、トモコレの魅力の内の一つだよなあ。
鈴木「よう、小テストどうだった?」
「楽勝。」
鈴木「なんだよー、そこは0点取っとけよ。」
「0点とか取ったことないわ。」
鈴木「つまんないなあ、数学苦手なんじゃなかったの?」
「そうだけど、お前がこの前教えてくれたから解けたんだよ。」
二人「へへへへへw」
鈴木「あれ、山田今日休み?珍しい。」
「あーそうそう。おかげでペアワーク相手いなくて大変です。」
鈴木「席、隣だもんなあ。」
「うん。ちょっとトイレ。」
鈴木「ほい。」
次の日
先生「今日も、山田と渡辺は休み。代わりの掃除当番、しっかり掃除してくださいね。」
また休みか……。今度は渡辺も。なんだ、風邪か?
一週間後
田中「バカ、声がでけ〜よ!」
「あ、ごめん。」
田中「周りに変な目で見られて話しづらくなるだろ!というか、なった!」
「ちょっと廊下の奥行くか。」
田中「そうしよ。」
「……で、山田さんが妊娠、って本当?」
田中「マジマジ。渡辺とできちまったんだってよ…!」
「だから最近休んでんのか…堕ろすのかな。」
田中「知らね。堕ろすんじゃねえの?」
「意外だなあ、まさか付き合ってたとは。」
田中「しかもあんなマジメそうなやつがあの、渡辺とね…!」
「退学かねえ。」
田中「たぶんそうだなあ。」
衝撃的なニュースだった。まさか、身近でこんなことが起こるとは。経緯は知らないが本人たち、何よりも赤ちゃんが気の毒で仕方がない。
………と、本来なら俺の感想はここまでになるはずだった。
だが、どうしても気になることがある。
「トモコレの出来事…実現したなあ。」
トモコレの中での山田と渡辺…もとい“ヤマダ”と“ワタナベ”の間で子供が産まれた次の日、山田が学校を休み始めた。
ヤマダ「いまだにワタナベさんのことを考えると、胸がドキドキします…。」
………まさか、ね。
ハラダ「サトウさんと友達になりたいです。」
原田「佐藤さん!後でLINE交換しよ!」
フクイ「部屋の模様替えがしたいです。」
福井「最近、部屋汚くてさあ、もういっそのこと業者に頼んじゃおうかってなってねえ。」
カンダ「シミズさんとケンカしました!腹が立ちます!」
神田「あ、あいつ?ブロックしたよ、ムカつくからw」
やっぱり。
絶対そうだ。今、確信した。
俺のトモコレは…
現実世界とリンクしている………!
謎の法則に気付いた俺は、これを人助けに使うことにした。
例えば、トモコレの中で誰かが落ち込んでいたら次の日、その人の話を聞いてみたりとか。
毎回、
「どうしてわかったの?」
とか
「親切にありがとう。」
とか。
そういうことで、俺はクラスの中で超絶人気者になった。今までの人生でこんなにもてはやされたことなんて無かったから、俺はたまらなく嬉しかった。
………そこまでは良かったんだ。
ハナムラ「オオノさんへの気持ちが抑えられません…。告白したいのですが………。」
あれ?
大野って確か、彼女いるんじゃなかったっけ。この場合、どうなるんだ?
ハナムラ「好きです。」
ハナムラ「大好きです。」
ハナムラ「私と付き合ってください。」
オオノ「こちらこそ、よろしくお願いします。」
「おぉあ。」
成功した……。まあ、二人とも仲良かったしなあ。
………。
これ、どうなるんだ…?
次の日
大野「そうそう!俺花村と付き合ったんだよね!前のやつ、言うて大したことなかったしw」
大野「にしても、よく知ってたなあ。」
「はは……ま、まあ。」
やべ。
これ、やっちゃった?
やっちゃった…よな?
でも、なんだろこれ………。
なんか…………………………
ナツメ「タンダに告白したいのですが……。」
丹田「うん、別れた。夏目が告白してきてな……。」
ウエダ「◯◯に告白……。」
◯◯「そー。上田のこと、正直前から気になってたし、別れたよ。」
◯◯「◯◯に……。」
「へ、へへへ………。」
楽しい。
俺の手でクラスのみんなの幸せも、不幸も、こねぐりまわせる。
気持ち良すぎる。
ふふ。
もはや俺は人ではなくなっていた。
ただ快楽のためにトモダチをコレクションする、クソ野郎に成り下がっていた。
そして、俺はついにライン越えの罪を犯した。
オカダ「いただきます。」
「………。」
好奇心が湧いた。
確か岡田は、卵料理が嫌いだったはず。
おいしくなかったようです……。
まあ、そらそうよな。
さて、どうなるかな、明日。ふふ。
次の日
先生「今日は岡田も休みです。皆さん、体調をしっかり管理して元気に学校生活を送りましょう。」
休み………。
鈴木「なあ〜最近休み多くね?渡辺といい、岡田といい……。山田とか風邪引くイメージないんだけど。」
「……ん?山田と渡辺が休んでる理由、知らないの?」
鈴木「え?風邪じゃねえの?」
「………。」
「いや、うん。その通りだよ。風邪。俺もうつされてるかもな〜。」
鈴木「げっ、こっちくんな。」
「げほげほ。」
とか、この時はまだそんなことを呑気に抜かしていたんだ。でも、その日の夜、俺は血の気がさーっと引いた。
岡田が死んだ。
卵アレルギーのアレで死んだ。
家族は「卵料理なんて食べさせてない。」って泣きながら言ってたらしい。
俺はようやく悟った。
ああ、なんてことをしてしまったんだ、と。
まさか、アレルギーがあるだなんて知らなかった。
ちょっとうえってなってるあいつの顔を見たかっただけだった。
俺は、人を殺してしまった。
トモコレの中の岡田は、眠り続けている。
夢イベントも発生せず、今の時間が昼なのにも関わらず、
眠っている。
俺は、怖くなってトモコレをやめた。
そして俺は、また平凡な、元の自分へと戻った。
全て忘れ去りたかった。
無かったことにしたかった。
でもできなかった。
いつの間にか俺はまた、画面と見つめ合っていた。
「なんで、こんなことになってしまったんだろう……。」
俺は、自分の部屋でぽつりとつぶやいた。
窓の外からぶおん、と車が走る音が聞こえる。
まるで「知るか。」とでも言うように。
鈴木、田中、渡辺、原田、福井……。
住民リストの中のMiiが、こちらを見つめてくる。
やめてくれ。
見ないでくれ。
やめたい。
でもやめれない。
俺は、まだまだトモダチをコレクションしなくてはならない。
「………あれ?」
ふと、気付く。昼なのに、二人も住民が寝ている。しかも、ベッドで。
一人は岡田だとして、じゃああと一人は?
「………山田?」
山田が、寝ていた。
夢も見ず、個性として与えたはずの寝返りを打つこともせず。
「……嘘だろ、まさか。」
ガタン。
何か音がした。窓からだ。
スーッ。
え。
あれ。
開けてる?
最上「こんにちは、◯◯くん。」
「………!」
え、包丁…?血?
う、嘘。どうやって入ってきた?
最上「どうしたの?そんな顔して。」
「だッ、誰だよお前!入ってくんなよ!」
最上「えっ、私のこと、忘れちゃったの…?」
最上「あなたと同じクラスの…最上だよ。」
え。
最上って…あの、不登校の?
最上「実は、さ。私、その…あなたのこと、出会った時から、ずっと好きだったの…。」
そういえば、新年度が始まったばかりの時は、学校に来てたし、話した気もする。
最上「でも、私がいない間に…厄介な女に絡まれてるみたいだったから……。」
最上「………ちょっと、ね。」
そう言いながら、最上は包丁で刺すようなジェスチャーをとる。
「まさか、お前。」
「山田を……?」
最上「うん、えへへ……。」
な、何笑ってんだ?こいつ。
頭がおかしいのか…?
最上「もうこれで安心して…私と一緒に過ごせるよ♪」
「い、嫌に決まってんだろ!」
「お前となんか、過ごしたくねえよ!この人殺し!!」
「俺、お前のことなんて、全く興味ねえよ!!」
最上「もう、逃さないよ………。」
聞いていない。
ダメだ、逃げれない。終わった。
こ、こんなところで?こんな終わり方?こ、こんな……。
い、いやだ。死にたくない。
やめろ、やめろ!
「やめろおおおおおお!!!!」
最上は不登校だった。俺は最上の存在を忘れていた。トモコレの中で俺のそっくりさんと、最上を作っていれば、助かったのかもな………。
手遅れの重傷を腹に抱え、俺はそう考えた。最後までトモコレのこと考えてるとか……。
本当に………はあ………。
「はっ!」
「………。」
「………夢か。」
どういう訳か、お宝「トモダチコレクション」を手に入れました。
END
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