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夏斗
・強がり
・無邪気な元気っ子
・ねむが好き
・母子家庭
・9歳(小学三年生)
ねむ
・優しい
・落ち着いている
・夏斗を弟のように思っている
・よく夏斗を家で預かっている
・背が高い
・17歳(高校三年生)
※急に時が飛ぶ , 誤字 , 書き方がかわる , 上の設定とちがうことなどがあります . ご了承ください
秋の風が少し冷たくなってきた夕方。
今日はねむの家に行ける日。もちろん夏斗はわくわくしている。
小学校から帰ってきた夏斗は、ランドセルを玄関に放り投げて、すぐにリビングへ駆け込んだ。
「 ねむ ~ っ! ただいまっ! 」
リビングのソファに腰掛けていたねむは、ふわりとした笑顔を浮かべて、手に持っていた本を閉じた。
「 おかえり、夏斗。ランドセルはちゃんと置いてきなよ 」
「 は ~ い 」
夏斗は笑いながらぽふっとソファに飛び乗って、ねむの隣に座る。
ねむはそんな夏斗を見て、頭を優しく撫でた。なとはくすぐったそうに肩をすくめながらも、満更でもなさそうな顔をする。
「 今日の給食、ラーメンだった! 」
「 へぇ、美味しかった? 」
「 う ~ ん、まぁまぁ? でもプリンはおいしかった! 」
「ラーメンとプリンって …、組み合わせ不思議だね」
無邪気に話す夏斗の話を、ねむは頷きながら優しく聞いていた。
どんな小さなことでも、夏斗にとってはきっと大切な出来事なんだろうと、ねむは分かっていた。
「 ねむってさ、なんでいつも優しいの? 」
「 ……え? 」
「 だってさ、ぜんっぜん怒んないし、 おれの話聞いてくれるし …? 」
ねむは少し考えてから、ゆっくりと答えた。
「 うーん、夏斗が可愛いからかな?(笑) 」
「……!」
夏斗は一瞬固まってから、顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。
「 … 照れた?(笑)」
「 べ、べつに!照れてなんかねぇし! 」
「 でも顔が真っ赤だよ?(笑)」
「 う、うるさい … ッ! 」
その日は、カレーライスを一緒に作った。
夏斗は玉ねぎを切って泣いて、ねむはそれを見て笑った。
そして夜、母親が帰ってくるまで、ソファで二人並んでゲームをする。
「 ねむ …… 」
「 ん? 」
「 ねむってさ …… すきな人、いる? 」
ねむは少し驚いた顔をしたけれど、すぐにふんわりと微笑んだ。
「 いないよ。…なんで? 」
「 べつに …。 」
夏斗は膝を抱えて、しばらく黙っていた。
やがてぽつりと、言葉を落とす。
「おれさ……すきな人、いるんだ」
「 !…そうなんだ。…誰…?」
「 … 」
夏斗は目を伏せて、もじもじと指をいじっていた。
「 ひみつ 」
ねむは少しだけ寂しそうに笑った。
「そっか。じゃあ、……ちゃんと気持ち、伝えられるといいね。そういうのって、勇気がいるけど、大事なことだから」
夏斗はその言葉を、胸の奥で何度も繰り返した。
“ゆうきがいるけど、だいじなこと”
自分の“すき”は、きっとまだ、うまく伝えられない。
でも、ねむの言葉は、夏斗の心に小さな火を灯した。
“いつかいえるかな。ねむに、おれのきもち”
その夜、夏斗は初めて自分の胸の高鳴りが恋だと、ぼんやりと知った。