視点ないこ
あの後俺が軽く運転して、りうらの故郷…大神山には着いたんだけど…
ないこ「…村、無くなってるね。」
りうらがここだと案内してくれた場所は広い更地になっており、「買取り可」の看板が建てられていた。
ないこ「誰がこんな事…って、俺の親か、、、」
りうらは黙ったままただその土地を見つめている。後ろにいる俺を振り返りもせず。
りうら「…。」
周りに建造物など無くとも、近場に川があるし、何より自然が豊かだ。キャンプなどの野外趣味を持つ人間ならば喉から手が出るほど欲しいだろう。
少し値が張るだろうが、今すぐにも買い取ろう。まろも必要経費だとわかってくれるはず。速くりうらの心の傷を癒さなければ。
それに、俺には桃川当主としての責任がある。誇りなんて一つも持てない称号だが、俺の血縁のせいで仲間が傷付くのは嫌だ。
ないこ「りうら…大丈夫。!俺がなんとk」
りうら「決めた!!!!」
今まで黙っていたりうらがいきなり声を上げた。それも大きく
ないこ「な、なにが…?💦りうら、どしたの、???」
困惑する俺を置き去りにしてりうらは続けた。
りうら「俺、此処に孤児院建てる!!」
ドンッ!!!と何処ぞの海賊漫画の様な効果音が(ないこの脳内で)鳴り響いた。
ん??…ン!?!?
えなんてぇ!?「海賊王に俺はなる」??アッこれチガウ!!「孤児院を建てる」ゥ!?!?
過去の記憶が蘇る…
子供1「人生つまんね~…ないにい。一発芸して。」
「お前何歳だよ達観し過ぎだろ!!!人生はまだまだなげぇ諦めんな!!!あと一発芸は嫌だ!!!!」
子供3「びゃあ゛あ゛ああ!゛!!!!な゛いこざあああ゛ああ!!!(涙)2くんが殴ったぁあああ!!」
子供2「殴ってねぇしっ!!!そーゆーのひがいもーそーって言うんだぜ!!!!!なっ!!にいちゃん!!」
「あああああああああ!!!もう!!!静かにしろおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
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…やばかったなぁ、、、、。ってハッ!?!?
わがままりうらにわがままガキんちょが加わると…?
ブンブンッ!!
俺は大きく首を降った。
想像したくないッ!!!!
ないこ「いやまってまってまって、??りうら?孤児院の運営ってそんな楽じゃないんだ。お願いだよ維持費もかかるし何よりお世話が大変だ孤児院を建てるのならば我々は子供一人一人に平等かつ海の様ないや宇宙なんならこの世の全てより大きく、包み込む様なそう例えばブラックホール的な愛を皆に分け与える義務があってこれは半端な覚悟じゃ勤まらない事なんだわかるかなわかるよねわかってくれ頼むお前にこれを成せる自身があるのかりうらァアアア!!!!!(以下略)」
俺は子供のお世話がいかに大変かを根気強く教え込む。
てか何より俺はもうお前らの世話で手一杯だっつうの!!!ばかたれ!!
りうら「ないくん、、、過去に何があったの、、?」
(さっきまでのインテリ系読書好きスパダリ上司どこ行ったよ…)
辞めてッ!!!そんな生ぬるい目で見ないでッ!!!お兄ちゃん悲しいッ!
イヤイヤと身体を震わしている俺をりうらはしばらくの間冷ややかに、それはもう冷ややかに眺めていたが、不意に決意を決めた顔で俺に向き合い、ガバッと勢い良く頭を下げてきた。
流石の俺でもこれには動揺する。
ないこ「え、、りうら、何して…?」
りうら「ないくん。…いや、ボス。弱小なこの身でありながら、‘‘幹部’’などと言う身に余る栄誉な称号を頂いた私目ですが、恐れ多くもお願いさせて頂きたい事がございます。」
年に何回かのりうらから伝わるただならぬ雰囲気と滅多に使わない‘‘ボス’’と言う事務的な呼び方から、これは上の者として話を聞いてやらないといけない物だとわかった。
ないこ「…いいよ。言ってごらん?」
りうら「ありがとうございます。」
俺が許可を下すと、りうらはゆっくりと顔を上げ、話し始めた。
りうら「まず経済面の事です。今の倍…いや、5倍は良く働きます。ただ今すぐにまとまった資金を用意出来ない事と、この土地が他の者に買われてしまう事が恐ろしく、望めるならば近い内に買取り、「出世払い」と言う形で俺の給料から毎月少しずつ引いて頂きたい。」
へぇ、、良く考えてる。…でも、ただの可愛い末っ子のわがままなら多少無理してでも叶えてあげても、一部下として、俺に普段滅多に使わない敬語まで使ってお願いして来てるんだ。それはつまりりうらが本気だという事。
ここで甘さを見せるのは、逆に失礼だよね。
ないこ「…それで?、管理と、子供達の面倒は誰が見るの??りうらは幹部だし、まだ成人もして無いんだから、教育って面では、あんまり役に立たないんじゃないかな?」
普段の俺なら、
「りうらぁああああ!!!よく考えてるねえええ!!!おにいちゃん大賛成!!!いくらでも出すよはいこれブラックカード安心してもう使って無い昔の口座だからね多分国一つくらいなら買えるくらいのお金残ってると思う好きに使って!お前は賢いなああああよぉおおおしよしよし」
とかやってんだろうなぁ…。てかそうしてやりたいし。(その金は何処から?私は親(とは思っていけど戸籍上一応)から!!!)
でも孤児院ともなると子供の将来がかかってる訳だし、俺の兄馬鹿で勝手しちゃ駄目なことだよね。と心を鬼にしあくまで業務的な態度を取り続けた。
正直心が痛い。かなり。
りうら「ッ、、、」
りうらの額に汗が垂れる。緊張から来る冷や汗だろうか。
ごめんねりうら。今の俺はお前の上司で、マフィアのボスだ。いつものお兄ちゃんじゃない。お前がここまで覚悟を見せてくれたんだから、俺も手を抜く訳には行かないんだよ。
大人として。
りうら「教育者は…今日馬車を引いてくれた彼や、他にも、戦闘面で出番が無いかつ、情報員で、部署の被らない者達を何人か配置すれば、問題無く回るかと、」
部下の事もちゃんと見れてる。これはもう少しお仕事増やしても良いかな?
ないこ「うん。そうだね。丁度アニキも最近来た子達(13話辺りに部下になったいむくんを買おうとした変態の部下達)の教育も終わりそうだって言ってたし、そこからも何人か引けるんじゃないかな?」
りうら「ありがとうございます…!!」
けどね、甘いよりうら。
ないこ「何が??これは過程の話。俺、「孤児院建てる」とは一言も言って無いよ。それよりも質問、答えて?さっきも言ったよね、??‘’管理についてはどうするの‘’??」
そう。ここが最難関。一概に‘’管理‘’とは言ってもその業務内容は様々。企業する時など資金面に余裕があろうと、大量の資料整理や様々な規約と契約の処理。サインが必要な物など、事務作業の負担は馬鹿にならない。それに加え子供とのコミュニケーションや従業員との信頼を築く過程も大事なのだ。いくら家の部下達を中心に使うからって、りうらを良く思っていない部下が少なくないとは言えない。俺には従順なんだけど…単純に自分より年下の子供の下に就くのが気にくわないのだろう。
ないこ「俺、りうらに書類整理させた事は無かったね。これは俺の教育不足だからりうらに過失は無いとして、別に俺にも無いよね??教育不足ったって、教える必要が無かったんだから。基本的業務に組み込まれてないし、りうら、嫌いでしょ??そーゆー事務的なの。めんどくさぁーい。…だっけ?」
そう。過去にりうらに書類整理をお願いした時には、めんどくさい。と言い放ち自室に帰ってしまった。その時事は全く気にしていないし、俺も本気で頼んだ訳でも無い。むしろ年相応で可愛いとも思った。けど今はあえて「お前が望んだ事だろう?」と冷たくはねのける。
これで嫌われるとか勘弁してくれよぉ~、??💦
りうら「ッ、、はい。」
りうらは後悔の念に刈られたと言う様に目を伏せて顔を歪ませた。ふるふると震え心なしか顔色も悪い。
うわあああああああああなきそおおおおおおおごめんりうらああああああああああああああああもーつらい!!!じょうしやめたい!!!!うわあああああ!!!
ないこ「(まろって、こんな気持ちかぁ…)」
自分が二人居るかの様だ…てかこれ多分居るだろもう。しんど過ぎるって。
りうら「、解りました。」
少しの沈黙の後、静寂を破ったのはりうらだった。
ないこ「…諦めちゃうの??」
顔は清々しそうだけど、何がわかったんだ、??ここで潔く諦められたら、俺ちょっとガッカリだけど。
りうら「…やっぱりおれ、一人じゃなぁんも出来ないね!!笑」
にっこにこ笑顔に困り眉で、キラキラとオーラを纏わせながらりうらは笑ってそういった。
りうら「俺一人じゃ、どうにも無理っぽいからさ、」
!!
あえて冷たくした理由、選択肢を限り無く狭く誘導して責任を背負わせようとした。そんな重圧をかなぐり捨てて俺が一番言って欲しかった事、期待していた事、それは、!
りうら「助けて!!お兄ちゃん!!」
‘‘人を頼る事だ!!!’’
ないこ「りうら…!!」
そうだ。俺が何よりも強いと思う力は暴力でも経済力でもない。
いざと言う時に人を頼れる力だ。
そう聞くと簡単そうに聞こえるが、人を頼ると言う事は、すなわち自分の弱さを認める事。誰にでも出来そうに見えて案外難しい事だ。
昔からりうらは器用で自分一人で何でも解決しようとしてきた。
基本的に問題無いが、いざという時に一人で抱え混んでしまう悪い癖がある。
この前もそうだ。早く相談してくれれば良かった物を、溜めに溜めて自傷行為にまで及んだ。過去の事をとやかく言うつもりは無いけれど、俺は…俺らは心配なのだ。
困った時は頼って欲しい。それがどんな事であれ、りうらの成長に繋がる事なら、兄として、上司として、出来る限り叶えてやりたい。
だから…
ないこ「はーあ!!まぁた仕事が増えるよ、、笑」
ないこはいつもの調子に戻り、やれやれと言う様なジェスチャーで首を横に振った。
嫌がる様な口振りとは裏腹に口元が緩んでいる。
りうら「!。それって…!」
りうらから緊張の色が抜け、無邪気な子供の顔になる。
あからさまに期待した目しやがって、、可愛いなこのやろう!笑
俺はりうらの頭をポンと撫でて、こう言った。
ないこ「俺らで子供達の事、幸せにしてやろうぜ!!笑笑」
りうら「、うんっ!!!」
こうして、最年少幹部の成長と共に、
マフィアの幹部が経営する、少し可笑しくて、毎日が明るいパーティーの様な孤児院が建てられたとさ!!!
ないこ「なぁんでこうなったかね!笑笑」
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🍣さんがお兄ちゃんじゃなく、上司(ボス)としての役目果たしてるのかっこいい✨🐤さんも自分1人じゃできないことがわかってボス呼びからお兄ちゃん呼びに変わってるの尊い💕💕途中で🍣さんの過去の記憶が出てくるところ面白かったです!🤣
授業中に読んだら口角上がりっぱなしでやばかったんだけどwwwまじめな🐤ちゃんもかわいいけど🍣くん頼っちゃう🐤ちゃんも激かわだねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!来年で20歳になっちゃうけど私もその孤児院入れてもらえたりしない?wあと数年待ってもらえればパティシエになる予定だから調理場でもいいよ!?(お菓子は作れるけどご飯系はむりwパンならギリいける!!)