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放課後の校庭は、クラスごとに声を張り上げる生徒たちでにぎわっていた。
咲はバトンを受け取ると、トラックを全力で駆け抜ける。
「咲ー! もっと腕振って!」
遠くから美優の声が飛んできた。
ゴールを切った瞬間、膝に手をついて大きく息を吐く。
「……はぁ、はぁ……」
胸が焼けるように熱い。けれど、不思議と嫌な疲れじゃなかった。
「ラストの体育祭、ちゃんと見せ場作んないとね」
駆け寄ってきた美優が笑顔で言う。
「うん……そうだね」
咲も小さく笑ってうなずいた。
最後の体育祭――大切な人に見てもらいたい、そんな気持ちが心の奥で静かに膨らんでいた。