テラーノベル
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大学の講義を終えた帰り道、亮と寄った駅前の喫茶店。
カップから立ちのぼる湯気を見つめていると、亮が何気なく口を開いた。
「なあ悠真。今度の土曜、咲の体育祭なんだよ」
「……体育祭?」
顔を上げた悠真に、亮は当然のようにうなずいた。
「最後の体育祭だしさ。親父も仕事で来られねえって言うし……お前、見に来てやれよ」
「俺が?」
思わず問い返すと、亮はにやりと笑った。
「妹の勇姿を見届ける兄貴の親友。別におかしくねえだろ?」
(……妹ちゃんの体育祭、か)
その言葉が胸に引っかかる。
ただの“妹”として見ているはずなのに、どうしてこんなにも気持ちが揺れるのか――悠真自身にも分からなかった。
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