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「……だったら、」と、彼が口を開いて、
「もし理由が必要なら、次の大きな案件の成功の証しとして、プレゼントをさせてくれないか。君は、必ず成果を上げてくれるだろうと、僕は信じているから」
戸惑いを隠せないでいる私の瞳をじっと覗き込んで、そう口にした。
その言葉が、胸にスーッと落ちると、ペンダントトップの紅い小さなハートに、彼の力強い期待と信頼が、宿っているようにも見えた。
「あっ……ありがとう、ございます……」
嬉し涙が滲んで、目元を指で拭う。
「君なら、きっとやれるはずだ。だからもしくじけそうにもなったら、それを見て、どうか頑張ってほしい」
「はい……」頷いて、ギュッとハートのモチーフを握りしめると、握った手から彼に愛されているという想いが流れ込んで、心まで熱くなってくるみたいだった……。
告げられた一言に、耳が一気に熱を持つのがわかる。
「付けてあげよう」
首筋にネックレスが巻かれると、「似合うな」と彼がふっと目を細め、柔らかな笑みを浮かべた。
ちょうど鎖骨の真ん中あたりにくるハートのモチーフに、彼がチュッと口づけると、胸がトクンと高鳴った。
特別でもなんでもなかった今日という日が、特別な一日になったのは言うまでもなく……。
いつか訪れるだろう、その日を心待ちに……。
抱かれたあたたかな腕の中で、真っ赤なハートのネックレスの付けられた胸を、私は満ちあふれる幸せにときめかせていた──。