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「あんたに付きまとわれてるいふくんが可哀想。さっさと消えてくれる?」

その言葉が酷く胸に突き刺さった。ぽろりと一粒の涙が頬を伝う。

⋯⋯⋯なーんちゃってな。お前らはこうなる俺を望んでるんやろ?

勇気を振り絞って俺に宣戦布告してきたお前らには申し訳ないけれど、残念ながらメンタルクソザコナメクジじゃなくて、メンタルつよつよつなんだよね、えへ。⋯え、それは流石にキモイって?さいきょーにかわいいの間違いだろうがよ。

「ねぇ、聞いてんの!?」

「あー⋯、おん。」

あーあーあー、うるせぇ。

喋った記憶の無い、名前と顔が一致してないどころかそもそも顔すら知らないレベルの女子三人に校舎裏に呼び出されて、もう既に十五分が経った。

リーダー格の子がぺちゃくちゃと喋っているが、話している内容はずっと同じ。

一回言えば分かるっつーの。何回も言われないと理解できないほど馬鹿では無い。

それともあれかな?同じ内容喋ってることに気付けないぐらい、この子は頭悪いんか。

⋯まぁ、とりあえず内容を簡単に説明すると

「お前みたいなブスがいふくんと仲良くする資格ない。いふくんに近づくな。」

だそう。⋯いや特大ブーメランで草。

まろと俺は小中高と同じ学校、更に同じクラスになることが多かった。

お互いに歌が好きという共通点から仲良くなり、今では親友と呼べる程である。

まろはイケメンな上、成績も運動神経も良い。

ここまで条件が揃えばモテるのは当たり前のこと。更にファンクラブまで出来てしまう始末である。

ここまで話せば察しがつく人もいるだろうが、ファンクラブの中には過激な人もいるわけで。

こうやって度々呼び出されることがあるのだ。

「いふくんは、成績優秀で運動神経抜群だし、先輩からは頼りにされて後輩には慕われてるの。それに比べてあんたは頭悪いし先生から怒られてばっかで、いふくんのお荷物だってわかんない?」

そして俺のことを呼び出す人達は揃いも揃って、「いふくんのお荷物」だの「いふくんに相応しくない」だの「いふくんが可哀想」だの言ってくる。

はっきり言って可哀想なのは、毎回毎回仲良いってだけで呼び出される俺の方やろ。

で、まろに相応しくなくてお荷物になってるのはお前ら。自分で気付かないわけ?

ウケるんやけどー。

「いふくんがちょっと仲良くしてくれるからって調子乗ってんじゃないわよ。二度といふくんと仲良くしないで。」

誰と仲良くするかなんて俺の自由やろ?

本人にそう言われたなら考えるけどさぁ、君ら誰目線でそれ言ってるわけ?親か?または親友?⋯はッ、まさかそこまで馬鹿じゃないと思うけど、自分のことまろの彼女だって思ったりしてる感じ…?

はーいそれ勘違いでーす。

お疲れ様でしたー。

なーんて言えば更に面倒くさいことになるのは目に見えているから大人しく黙っている。俺偉い。

「それにあんたさ、いふくんの事好きなんでしょ。いふくんも可哀想よね。こんな気持ち悪い男から好かれて。」

あれ、何でまろの事が好きってバレているんやろ。と思わずぱちぱちと数回瞬きをする。

これは焦りや動揺からの行動ではなく、ただ単にバレているとは思っていなくてびっくりしただけ。

ただこの子達は、さっきまでぼけーっと話を聞いていた俺が反応したから、動揺していると勘違いしたようで更に畳み掛けてくる。

一人の女の子が俺に近づき、耳元に口を寄せて囁いてきた。

「私ね、いふくんとえっちしたことあるんだよ。女子と同じスタートラインに立てないなんて可哀想。それに私はいふくんのオキニなの。他の子達よりも私の事優先してくれるんだから。つまりお前の事なんて眼中に無いんだよ。さっさと諦めて、いふくんと関わるのやめて。」

あーそれ俺に言っちゃう?

別にいいけど。

てかさっき俺にちょっと仲良くしてくれるからって調子乗るなって言ってきたよな?⋯お前の方こそ、まろと数回セックスしただけのセフレな癖に調子乗ってんじゃねぇよ。

まろとえっちしたことがあると自信満々に呟いた子は満足したのか、元の距離感に戻っていった。他の女子二人と顔を見合わせてニヤニヤと笑ったあと、校舎の二階あたりをチラリと見上げた。

あ、待ってやばいかも。

そう思った瞬間、上からバケツ一杯分程の水が落ちてきた。

「あははっ、傑作なんだけどぉ!」

⋯だる。この黒のパーカーお気に入りなのにビッショビショになったやん。

あとでまろのカーディガン借りようかなぁ。あーあなんて思いながら、水を含んで重たくなった前髪をかきあげる。びしょ濡れでも俺ってかっこいいし可愛いよな。

水も滴るいい男ってやつ?いやー、どんな状況でも顔面のビジュ良すぎて困っちゃう。

⋯そろそろ黙って聞いてんのも飽きたんだよなぁ。

水もぶっ掛けられた事だし、ぜーんぶ言いたいこと言っちゃっていいかな?楽しそうなその顔、今から引き攣らせてやるからな。

「じゃあ逆に聞くけど、セフレ止まりで彼女になれない時点でお前こそまろの眼中に無いってわかんないわけ?セックス “フレンド” なんだから、友達かそれ以下やろ。性処理道具でしかない君の方がまろの眼中に無いに決まってるやん。そっちがさっさと諦めろよ。⋯所詮セフレの雌豚が。」

ニコッと笑ってそう言えば、満足気だった顔が今度はタコみたいに真っ赤になった。 感情豊かやなぁ。

女が何か言おうとする前に、俺の方から距離を詰めて耳元で囁く。

「なぁ、雌豚ちゃん。まろとキスしたことある?キスマーク付けてもらえたことはある?噛み跡は?無いよな、だってまろの本命じゃないもんな。⋯んふふ、本命にはキスマークも噛み跡もいーっぱい付けてるんやってさ。⋯⋯⋯え?なんで知ってるかって?薄々勘づいてんじゃないん?しゃあないなぁ、特別に見せてあげてもいいよ?」

そう言ってシャツのボタンを上からひとつ、ふたつと外して、チラッと鎖骨あたりを見せようとしたところで、後ろから誰かに手を掴まれた。

俺の大好きな甘いバニラ系の香り。言わずもがな、まろである。耳元で心地よい低音が響いた。

「悠佑、それ以上は駄目やろ?」

「えへへ。」

えへへへへ、⋯なんてキャラじゃないけど。

思ったよりも早いな。俺が相手の子煽ってんのバレちゃった。キスマーク見せようとしたこと、あとでお仕置されるかなぁ⋯まぁ気持ちいいし嫌いじゃないからそれはそれでいいんだけれども。

「え、⋯なんで、ここに⋯。」

女の子達は本人が登場するとは思っていなかったようで、物凄く狼狽えている。更に俺に言われたことで放心状態になっている子も一人。

そんなに動揺するなら最初から俺のこと呼び出すなんてしなければいいのに。痛い目見んのは俺じゃなくて、君たちやからね。

「悪いんだけど俺のあにき虐めないでくれる?⋯まぁ虐めるどころかくっそ反撃食らってたけど、ククッ」

あのーまろ。笑いこらえきれてないの丸わかりやけど。え、なに?さすが俺のあにき?⋯ふへへ、知っとる。

わざと声を作って、ぶりっ子しながらまろに話しかける。

「まろぉ。あの真ん中の子がぁ、俺のことチビで可愛くない不細工な豚だからまろのお荷物だって言ってきたぁ、うぇぇん。」

「ちょっと、そこまで言ってないじゃない!嘘言わないでよ!いふくん、私そんな事言ってないから⋯!!」

八割嘘な内容を口に出せば、数分前までは俺に勝ち誇ったような顔をしていたのに、それが嘘だったかのように顔を真っ赤にして俺の方を睨んでくる。うわーお前今すぐ鏡見た方がええよ?しぬほどブサイクやから。

そしてまろへの弁解の速さ異常過ぎん?必死すぎて笑いそう。

「てか豚って、め⋯雌豚って言ってきたのはそっちじゃない!」

「⋯え、俺いい子やからそんな汚い言葉使ったことないし⋯。」

「はぁ!?」

え俺何か間違ったこと言ったかな。人生で1回もそんな雌豚だなんて言ったことないのにー。

黙れなんて気持ちを込めて睨めば、女子は引きつった表情を浮かべた。そんなここ数十秒の会話を聞いていないかのようなテンションで俺の頭を撫で始めたまろ。

まろの都合のいいことしか聞かないスタイル嫌いじゃないよ。

「それは悲しいなぁ、あにき可愛いから大丈夫だよぉ。」

「うぅう、俺この子のこと嫌いになったから繋がってるならブロックしてぇ。」

まろも俺に乗ってきて軽くカオスである。

俺がそう言った瞬間、サッとスマホを取り出して弄ること数十秒。目の前の女子の顔が今度は真っ青になっていくのを見て、必死に笑いを堪える。

「よしおっけ。」

そうボソッと呟い俺の方を見たまろは、にっこりと笑った。ブロックしたから安心してって?さっすがぁ、行動早いなぁ。

「⋯なんで、なんでそんな奴に構うのよッ。私の方が何倍も努力してるしいふくんの事想ってるのに。そんなブサイクから想われたっていふくん嬉しくないでしょ。なのになんでよ!」

うわ、これが噂の過激派か。怖い怖い。

なんて呑気にそんな事を考えていると背後から物凄い殺気を感じた。まろ落ち着いて、俺がブサイクって言われたからってそこまで怒んなくても。いやぁ俺のこと好きなの丸わかりで照れちゃうね。

まろが物凄い形相で女子のことを睨んでいるのを横目で確認する。そんなまろの表情に気が付いたのか、女子達は少し後ずさった。

「あのさぁ、三人とも勘違いしてね?あにきが一方的にって訳じゃねぇんだよ。もう気付いてんだろ?」

まろはニヤッと口角を上げる。あぁ、その顔は反則やろ。かっこよすぎるって、今すぐにでも抱かれたくなっちゃう。無いはずの子宮が、きゅんと疼いた。

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コメント

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あぁ..かわいすぎます、黄さん..せっ、のフレンドさんに対してはつよつよなのにやっぱり青さんの前だと照れちゃったりしちゃうのかわいいです..2人の視点で見れて幸せ2倍ですね✨️

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