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葵 .
『意味のない攻防』
休日。
リビング。
こさめは床に転がっていた。
本当に転がっていた。
🍵「……」
🦈「……」
ソファに座るすちが見下ろす。
🍵「こさめちゃん」
🦈「なに」
🍵「なんで床にいるの」
🦈「落ちた」
🍵「ソファから?」
🦈「人生から」
🍵「重いこと言ったね」
🦈「すち」
🍵「うん」
🦈「お腹すいた」
🍵「おじいちゃんさっき食べたよ」
🦈「第二ラウンド」
🍵「育ち盛りだなぁ」
🦈「えへへ」
🍵「褒めてないよ」
こさめは立ち上がる。
冷蔵庫へ向かう。
開ける。
閉める。
開ける。
閉める。
🍵「……」
🦈「……」
開ける。
閉める。
🍵「こさめちゃん」
🦈「なに」
🍵「冷蔵庫と付き合うの?」
🦈「まだ迷ってる」
🍵「振られると思うなぁ」
その数分後。
🦈「すち」
🍵「うん」
🦈「こさめ今から透明人間になる」
🍵「どうぞ」
🦈「すちはならないの!?」
🍵「応援してる」
🦈「もっと止めてよ!」
こさめは勢いよく毛布を頭から被る。
🦈「……」
🍵「……」
🦈「見えないでしょ」
🍵「毛布が動いてるね」
🦈「見えてる!?」
🍵「うん」
🦈「おかしいな」
🍵「透明の定義から確認しようか」
🦈「すち」
🍵「うん?」
🦈「もしこさめが突然二人になったら?」
🍵「片方を抱っこする」
🦈「もう片方は!?」
🍵「順番」
🦈「平等だった」
こさめは満足そうに頷く。
しかし。
数秒後。
🦈「待って」
🍵「どうしたの?」
🦈「なんで抱っこ前提なの」
🍵「え?」
🦈「え?」
二人とも黙る。
🍵「……」
🦈「……」
🍵「自然だった」
🦈「怖い」
その後。
こさめが突然すちの前に立つ。
真顔。
🦈「すち」
🍵「なに?」
🦈「今から戦います」
🍵「誰と?」
🦈「すち」
🍵「そうなんだ」
🦈「覚悟して」
🍵「うん」
🦈「……」
🍵「……」
🦈「……」
🍵「始まらないね」
🦈「必殺技考えてる」
三十秒後。
🦈「できた」
🍵「おお」
🦈「くらえ!」
🍵「うん」
🦈「ねこぱんち!!」
ぽふっ。
胸に軽く当たる。
🦈「……」
🍵「……」
🦈「どう?」
🍵「かわいい」
🦈「ダメージは!?」
🍵「ゼロかなぁ」
🦈「くっ……!」
こさめは敗北した。
さらに十分後。
🦈「すち」
🍵「うん」
🦈「こさめ、重大発表があります」
🍵「聞こうかな」
こさめは咳払いした。
そして。
🦈「こさめ実は‥」
🦈「こさめです」
🍵「知ってる」
🦈「えっ」
🍵「知ってるよ」
🦈「なんで!?」
🍵「長い付き合いだからね」
こさめはショックを受けた。
🦈「じゃあすちの秘密当てる」
🍵「うん」
🦈「実は宇宙人」
🍵「違う」
🦈「未来人」
🍵「違う」
🦈「冷蔵庫」
🍵「どこから来たの」
すちは笑いをこらえている。
こさめは真剣だ。
🦈「じゃあ答えは?」
🍵「ただのこさめちゃん大好き星人のすちだよ」
🦈「つまんない!」
🍵「ひどいなぁ」
数分後。
静かになったと思ったら。
こさめがすちの隣に移動していた。
ぴったり。
肩がくっついている。
🍵「……」
🦈「……」
🍵「こさめちゃん」
🦈「なに」
🍵「さっき戦ったよね」
🦈「うん」
🍵「なんでくっついてるの」
🦈「捕虜だから」
🍵「どっちが?」
🦈「こさめ」
🍵「負けを認めるの早いなぁ」
そして。
こさめはそのまま肩にもたれた。
🦈「……」
🍵「……」
🦈「すち」
🍵「うん?」
🦈「暇」
🍵「また?」
🦈「暇」
🍵「じゃあどうしようか」
🦈「うーん」
しばらく考えて。
🦈「とりあえず」
🍵「うん」
🦈「すちって呼ぶ」
🍵「もう呼んでるよ」
🦈「そっか」
その後も一時間くらい、
🦈「すち」
🍵「うん?」
🦈「すち」
🍵「なに?」
🦈「すち」
🍵「聞いてるよ」
を繰り返し、
最終的に。
🍵「こさめちゃん」
🦈「なに?」
🍵「それ、暇だからじゃなくて構ってほしいだけだよね」
と言われて、
こさめは五秒くらい固まったあと、
🦈「……証拠は?」
とだけ返した。
リクエスト待ってます!
コメント
1件
第18話「意味のない攻防」、読み終わりました! まさにタイトル通りのゆるっとした攻防戦(笑)「人生から落ちた」で始まって「透明人間になろう」として「ねこぱんち」で敗北、最後は捕虜として肩にもたれる――この何とも言えない距離感と会話のテンポが絶妙ですね。特に「すち」って何度も呼ぶシーン、あれだけで構ってほしさが全部伝わってくるのが好きです。ラストの「証拠は?」、完全に図星で笑いました。 藍翠瑠蒼さんの書く二人の空気感、いつも心地いいです。次も楽しみにしてます!