テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ドン、と夜空を揺らす大きな音が響いた。
見上げれば、黒い空いっぱいに大輪の花が咲く。
「わあ……!」
咲は思わず声をあげた。鮮やかな光が浴衣の袖を照らし、胸の奥まで震わせる。
「人多いな。……妹ちゃん、はぐれるなよ」
悠真がそう言って、自然に咲の手首を軽く取った。
触れた部分から、じんわりと熱が広がる。
(……こんなに人がいるのに、どうして悠真さんの手の温度だけこんなに意識しちゃうんだろう)
横を見ると、美優と亮も並んで立っていた。
美優がりんご飴を片手に花火を見上げ、亮は「甘いの食いすぎんなよ」と苦笑しながら見守っている。
大輪の花火が夜空に重なり、四人それぞれの想いが胸に灯っていた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!