テラーノベル
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「今日という今日こそは終わらせてもらいますよ、奏斗。」「え〜やだぁ〜。」
「奏斗、あきらめろ〜。」
「流石に今日は逃してあげられないかなぁ。」
生徒会室に集まっていたのは局員が“いつもの”と称す4人。
子供っぽいところも多いがいざという時に頼りになる会長、風楽奏斗。
一見真面目に見えて気さくで誰からも好かれる会長のお目付役兼副会長、四季凪アキラ。
太陽のような元気印で会長の悪友かつ軽音部部長、渡会雲雀。
長身で寡黙で圧が強いが根は優しいと噂の副会長の親友で運動部の万能助っ人、セラフ・ダズルガーデン。
もはやこの学校の名物ともなっている、仕事をしない会長を追いかける副会長の図。今日はそんな会長をセラフが捕まえたことで幕が降りた。
「セラァ〜ひどぉ〜い。」
「今日逃しちゃったら俺が凪ちゃんに怒られちゃうから。」
「え〜。」
「はぁ、私は2週間前から言ってましたよ?奏斗。先延ばしにしたのはお前だろ?」
「だってぇ〜。」
「その量しかないんだから早くやれ。お前なら1時間かからず終わるだろ。」
「それはそうだけど、でもぉ〜。」
「でももだっても聞きません。やってください。まだ1枚も済んでないだろ。せめて半分やってから文句を言え!」
「鬼!!!ヒバ〜助けて!」
「俺も助けて!!まっじで分からん!」
「だから今俺が教えてるんでしょ?ほら、ここは二次関数の応用。2年の内容だよ?」
「うぐ、」
自分の机の書類の海の中で呻いている会長を嗜めるのは倍以上の書類に囲まれた副会長。そんな彼らを眺め、たまに伸ばされる救いを求める手をすげなく叩き落としているセラフは渡会の数学の宿題を教えている。
「奏斗、お前のそれにタライの数学より時間かけるつもりか?」
「そ、うゆうわけじゃないけどさぁ〜。」
「なにを!!」
「雲雀はこっち。ここ間違ってる。今日中に終わらせるんでしょ?」
「うぐ……。」
「ヒバァ〜〜!!!」
「「ヒバァ〜」じゃねぇよ。」
「イテ。」
「早くやれ!」
「やだやだやだやだ!」
「ガキみたいな駄々捏ねない!」
「だってやる気が…………あ!」
「……なんですか?」
「アキラがチュ〜してくれたらやる気が出るかも!」
「はぁ!?!?」
ガタンと音がなる。アキラが咄嗟に立ち上がった結果、倒れた椅子が大きな音を立てる。その音と声に反応したセラフと雲雀はそちらを向くが耳を赤くしたアキラに気づく余裕は無い。
「な、な、あなたなにを言ってるんですか!?2人が話立ちたいへとが付き合っていることを知っていたとしいても、だって、ねぇ!?」
「アキラ、落ち着け〜。」
「深呼吸、深呼吸。」
「ぃや、だって、セラ夫とタライがいるんですよ!?分かってます!?」
「分かってる分かってる。」
「俺は平気やんね。」
「俺も。慣れてるし、気にしない。」
「だって。」
「だとしてもですよ!もう少し節度と世間体を、ね。」
「アキラ、ダメ?」
「っ、」
耳どころか顔まで赤く染めたアキラに流石の奏斗もまずいと思い始めた。
「な〜んてね。ごめんアキ、え、」
チュと頬に触れた感触に奏斗はそちらを見やる。そこには顔や耳どころか首まで真っ赤にしたアキラが。
据え膳喰はぬは男の恥とは誰が言った言葉か。奏斗は恥ずかしさで目線を逸らしているアキラの顎に手を添えて引き寄せ、口に噛み付く。
「「あ、」」
「ん!?」
彼はアキラの驚きで薄く開いた口に舌を割り込ませれば、奥に引っ込んだ舌を引っ張り出す。いつもの甘く跳ねた声が聞こえるよりも早く胸に強い衝撃を受けて口を離せば、茹蛸になったアキラがいる。
「お前、お前、お前マジでバカ!!!!」
「う、ごめん、つい。」
「っ、キスはしてやったんだから!仕事!ちゃんとやって下さいね!!!!!」
その後、奏斗が1時間かからずに仕事を終えたことや、鍵閉めが局員ですら無いセラフに任されたことや、雲雀がセラフとアキラの部屋で寝ることになったことはまた別の話。
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