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曲パロ

1 - あの夏が飽和する

♥

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2024年11月09日

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────人生全てを賭けた恋だった

私の時間も思いもあの夏の日の恋に置いてきた


────人生最高の恋だった

私の全てをあなたにあげた


────世界最後の愛だった

ほかの全てを捨てても君だけを見ていた

きっと私は何度生まれ変わったってあの日のことを忘れないだろう


もしも私の願いが叶うなら、あの夏に戻りたい。そう願った。




「昨日人を殺したの」


梅雨時ずぶ濡れのまま私の部屋の前で泣きながらmmさんは言った。

夏が始まったばかりというのに君はひどく震えていた

そんな話で始まる、あの日あの夏の私達の逃避行。



「殺したのは隣の席のいつも虐めてくるあの人です。もう全部、嫌になって。肩を突き飛ばして。打ち所が悪かったんです。…もうここには居られない。村長なんて二度と名乗れない。人殺しの私は、どこか遠いとこで消えるしかないんです」

「 … でも1人で死にたくない。ねぇ、ltさんは私を捨てませんよね?ずっと一緒にいてくれますよね」


『 うん。そうですね、じゃあ私も連れていってください 』


頼られたのが嬉しかった

きっとこんなmmさんの姿を見たのは自分しかいないと優越感に浸っていた

そのまま私は君の望む言葉を吐き出したんだ。

別に恋人でも親友でも無かったけど、mmさんとは理解し合えると思っていたから。




財布と、護身用のナイフ。

それから携帯ゲームをカバンに詰めて

ふと君は言った

「 もう、めちゃくちゃに壊してやりたいんです。私ごと、この世界を。いや、もう壊れてますけどね 」


『 じゃあ、大事にしてたこの写真も、日記も、もういらないですね 』

どうせ全部壊れちゃうなら。

へらっと笑って見せた。君は何も言わなかった。試されてる感覚だった。

私はそのまま手にした写真を破いてゴミ箱に捨てた

日記もくしゃくしゃにして、同様に。

これで、君と少しは対等になれたかな?

全部を壊された、君と。


これから始まるのは人殺しとダメ人間の君と私の逃避行────いや、旅の物語。


そして私達は逃げ出した。

この狭い狭いこの世界から。

それなりに愛してくれた家族も、仲の良かったクラスの奴らも何もかも全部捨てて君と二人で。

まるで世界に2人きりみたいだった。

2人だけの世界だった。


ねぇ、遠い遠い誰もいないような場所でさ、二人で死のうよ。

もう壊れたこの世界に価値などないから。

人殺しなんてそこら中湧いてるよ。

だから君は何も悪くないの。

君だけは何も悪くないんだ。





逃げ出して3日がたった。

結局僕ら誰にも愛されたことなどなかったことに今更気付いてしまった

でもそんな嫌な共通点で私たちは簡単に信じあえてきた。

『 もっと、もうちょっと走ろう。 』

手を伸ばした

君の手を握った時には微かな震えも既に無くなっていた。

他の誰にも縛られないで二人きり

線路の上を歩いた




金を盗んだ。二人で逃げた。

どこにも行ける気がしたんだ

今更怖いものは私たちにはもうなかったんだ


私たちが壊すのはこの世界の全てだから。


額の汗も落ちちゃったキーホルダーも

君は気にしていたみたいだけど

そんなの今となっちゃどうでもいいんだよ。


あぶれ者の小さな逃避行の旅だから





逃げ出して1ヶ月がたった夜だった


『 ねぇ、いつか夢見た優しくて誰にも好かれる主人公的存在の人ならさ、汚れてしまった私たちのことも見捨てずにちゃんと救ってくれるのかな? 』


ふとそんなことを君に聞いた。君は目を丸くしてその後悲しそうに目を閉じた


「そんな夢なら捨てました」

「だって現実を見てくださいよ」


「 シアワセのたった四文字なんてありませんでした。今までの人生で思い知ったじゃないですか。全部壊さなきゃこの世界では幸せになれないんです 」

「 自分は何も悪くないと、人のことぶっ壊したこの世の誰もがきっと思ってる 」


…私の気持ちは揺らいでいた。

壊れてたのは世界じゃなくて、最初から私たちだったんじゃないかって。





あてもなく彷徨う蝉の群れに遭遇した時。

水も無くなり揺れ出す視界に「 まるでアトラクションみたい 」だなんて楽しんで

盗みがバレて迫り狂う鬼たちの怒号に気づいた時まで

私たちバカみたいにはしゃぎあってきた。

でも


警察に囲まれた

ゲームオーバーだ。全部は壊せなかったけど、これでmmさんも満足するだろうと思った


ふと君はナイフを取った

「君が今までそばにいたからここまでこれたんです。」

「だからもういいんです、もういいよ」


「…死ぬのは私一人でいいよ」


「 …ltが全部ぶっ壊して、苦しんで生きて、生きて、そして死んで。 」


そしてmmさんは首を切った。まるで何かの映画のワンシーンのようだっだ。

白昼夢を見ている気がした。そうだと信じたかった。

焦る警官とサイレンの音。気づけば私は捕まっていた。

でも君がどこにも見つからなくって。

君だけがどこにもいなかった。


そして時だけは過ぎていった。 ただ暑い暑い日が過ぎてった。

私は同情されただけだった。人殺しに洗脳された少女。私はただただ洗脳されただけなのだと、ニュースを見た人が言ったらしい。罪が軽くなった


家族もクラスの奴らもいて、ただ何かが足りない日々を送った

だってなぜか君だけはどこにもいないんだから。





あの夏の日を私はよく思い出す

私は今も今でも歌ってる。

君をずっと探しているから。君に言いたいことがあるから。

あの夏は夢なんかじゃなくて、現実だと分かっているから


九月の終わりにくしゃみして 六月の匂いを繰り返した。

君の笑顔と無邪気さは

地球最後の日だってきっと頭の中を飽和するのだろう。


ねぇ、知ってる?

誰も何も悪くなかったんだよ。

あの日、階段に突き飛ばされたクラスメイトの彼はその後目を覚ましたんだ。

そのまま奇跡的に回復させた。

今では私の良い友人になってくれたんだよ

mmさんに謝りたいんだって。


ね、君は何も悪くはなかったでしょ。

流石に私も話を聞いてる限り生きてるとは思わなかったけど。

まぁこんな話もうどうでもいいかな。

私は全部投げ出した。


だって、人生の全てを、来世もそのまた来世も懸けた恋だったから。

愛とか恋とかよく分からないけど、あれはきっと私の世界最後の愛だった。


だから君も全部投げ出していいんだよ。

そう言って欲しかったのかな、mmさんは。


きっと私は何度だってあの夏を思い出す。

思い出してはまた、君への愛を語るのだろう

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