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「ふぅ……」
白い炎の目の前でフィニスが剣を鞘にしまう。
「最近は黒い炎を見なくなったわよね」
「確かにな」
「やはり、魔物も魔女が生み出したもの……と考えた方が色々と辻褄が合いますよね」
「少なくとも魔女が作り出した魔族はそうだしな」
そんな話をしながらも、ベスオー平原へ到着した4人が、高台から平原を一望する。
回収可能な遺体は各々すませた後なのだろうが、それでもまだ魔女の魔法による悲惨な痕跡が所々残っていた。
「……」
「ひどいですね……」
「あぁ……だから止めなきゃいけないんだ」
「……そうだね」
ニティアとアルテアは、上空から魔女の魔力や魔法の痕跡を。フィニスとルシオは平原に降り、実際に魔法を打ち込まれたであろう場所などの調査を始める。
白髪の魔女の痕跡を探し、地上を歩き回るフィニス。遺品が飛び散り、地面が何箇所も抉られている。
胃から込み上げてくる酸っぱい感覚に耐えながらも、一つ一つの魔法の痕跡を見ていると、魔法で吹き飛ばされてしまったのだろうか。キラリと何かが光るのが見えた。
「ん?」
「どした?」
「いや、あの辺で何か光った気がしたから」
先ほど光った場所を探してみると、そこには綺麗な金属の飾りが1つ、無造作に転がり落ちていた。
「これは……勲章?」
「隣の国のやつだな……勲章なのか、家紋章なのかまでは分からんが……」
「……届けよう。生きてるにせよ……死んでるにせよ……もしかしたら誰かが探しているかもしれない……」
「そうだな……」
そう言い、フィニスが綺麗な布でその勲章を包み込むと、ポケットの中に大切にしまい込んだ。
⸻
上空
「すみません、私まで浮かせてもらって……」
「気にしないで。この間のスポアリンの時もそうだったけど、魔力探知は私よりアルテアの方が敏感だし」
「ありがとうございます」
最初に巨大な魔法陣と共に、白髪の魔女が現れたであろう場所まで飛ぶ2人。そこから平原を見下ろすニティアと、目を閉じて感覚を研ぎ澄ますアルテア。
「流石に時間が経ち過ぎてるわね……」
「ええ……微かに魔力を感じるくらいで、何も分かりません……ただ……」
「ん?」
「あ……いえ、なんでもありません」
「そ」
アルテアの言葉を気にも止めず、魔女が放った魔法の痕跡を見下ろし、あの日の光景を思い出すニティア。
(あの魔女も、私と同じ魔力そのものを打ち出していた……まぁ魔族も使うんだから当たり前か……)
目を瞑り、頭の中で術式を構築する。
(あの時に無意識に発動した魔法……)
目にした抉れている地面を思い浮かべる。
(最低でもあれくらい使いこなせるようにならないと……)
頭の中で魔法を撃ち出す。しかし、消費する魔力に対して、魔女が放った魔法と比べ、わずかに及んでいない。
「さて……どうしたもんかな……」
目を開け、胸元にぶら下がる赤い宝石に手を当てるニティア。そんなニティアを、アルテアが心配そうに見つめていた。
⸻
「そっちはどうだった?」
先に高台に降りてきていたニティア達が、戻ってきたフィニス達へ尋ねるも、首を左右に振るフィニス達。
「ただただ酷いだけ。特に魔女のことについて分かりそうなものとか、怪しいものは無かったな。そっちは?」
フィニスの後ろからルシオがアルテア達に問いかける。
「私たちも……微かな魔力は感じ取れましたが、これと言った情報は何も……」
「でも一瞬なんか気になるような反応してなかった?」
「あ……あれは……」
首を傾げるルシオとフィニス。アルテアも少しだけ困ったような顔になりながらも、言葉を選ぶよう、ゆっくりと口を開いた。
「ニティアさんと魔女の魔力が一瞬よく分からなくなってしまって……おそらく、ニティアさんが放ったあの巨大な魔法の魔力と、魔女の放った魔法の魔力の残りが混ざり合ってしまったせいだと思いますけど」
「なにそれ(笑)それだけ私の魔力も偉大、ってことかしら♪」
「俺は全く分からんが、それだけアホみたいな量の魔力がその小さい体に詰まってるってことか」
「お前やっと機嫌戻ってきたのにそれはダメだろ……」
「え?」
笑顔のままのニティアからは異様なオーラ……もとい起こりが全身から溢れ出ていた。
「小さいって……何が?ねぇ、私の何が小さいの?」
少しずつ2人に近づいてくるニティア。
「は!?いや、身長の話!この中で1番背が低いのニティアだろ?!ルシオお前!変な言い方するんじゃねぇよ!」
「変ってなに?あんた達は何をどう見てるの?」
「いや、俺は関係ないって!フィニス」
その場で立ち止まるニティア。フィニスとルシオが後退りをはじめたその瞬間……ニティアが2人に向けてニコッと笑い、足でトンと地面を叩くと……
ズボッ
2人の下半身が地面に埋まる。
「それじゃアルテア、先に行こっか!」
「は、はい!」
そしてそのままニティアは振り返り、アルテアと先へ歩いて行ってしまった。
「おいルシオ。どうしてくれんだよ」
「あれはお前の言い方も悪いだろ……」
しばらくの間身動きすら取れずにもがく2人。少しずつ魔力が弱まり、拘束が緩くなった夕暮れ期になり、ようやく抜け出すことに成功。無事夜中に、寝ているニティア達と合流することができたのであった。
コメント
1件
いやー、この話めっちゃ良かったわ!冒頭の遺体や痕跡の描写から始まる雰囲気が重くて、フィニスが勲章を拾って「届けよう」って言うところ、ちゃんと誠実な性格出てて好き。でも後半のニティアの「小さいって何よ?」からの地面に埋めるドタバタで一気に空気変わって笑ったw シリアスとギャグの緩急が絶妙だった🔥 ニティアが自分の魔力を魔女と比較して成長しようとしてるのもカッコよかったわ!