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7 - 第7話 嫌いになりそうだ。

♥

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2025年06月16日

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Prologue6 「 嫌いになりそうだ。 」


中也side


つまんねぇ。


「わ~♡流石中也さん♡かっこい~♡」


腕に柔らかい感触があたり、思わずそこに目を落とす。そんな俺を見てか、女はニヤリと笑ってさ


らにスキンシップを増やす。


「(…気色悪ぃ…)」


普通の独身男性であれば、女性からのスキンシップに興奮したりするのだろう。しかし残念ながら


俺には吐き気しか来なかった。もともと此奴との関係は仕事であり、用が終わればすぐ消す相手な


のだ。とは言え此奴がいなければ仕事の成功率に影響が少なくとも及ぶのは事実。相手の機嫌を損


ねないように構わなければいけない。普段の自分であれば、こんな苛立ちくらいはすぐに抑えられ


る筈だ。しかしそうじゃない。抑も俺が苛ついているのは、この女にではないのだ。自分に、自分


に心底苛ついている。


「あ♡中也さん♡彼処のお店、ワインが美味しいって有名なんですよ~~♡」


気乗りしないが一応視線を向けると、そこは行ってみたかった店であり、思わず目を見開いた。な


んでも 彼 処には、独自のワイ ンがあるらしく、一度飲んだら忘れられないワイン、と言われてい

る。しかし珍しいことに、販売 されていない。つまり、どのお店にも出回っておらず、ここでしか飲

めないものなのだ。さらに道が 複雑なため、初見は勿論のこと、数回程度行っても辿り着くことが

難しく、数少ない常連に案内 してもらうしか辿り着く方法はないのだとか。だけど今は_


「……気分じゃねぇ…」


「えっ?」


ハッと口を注ぐんだ。慌てて彼女を見ると、不機嫌そうにどんどん眉が顰められていく。まずい、


そう思い、急いで言葉を注いだ。


「…なんて、冗談だ。俺はワイン好きだしな。でも」


「?」


彼女の腰に手を回す。


「此処よりか、俺の家の方が、美味しいワインがあるぜ」


そう言って目線を合わせ、目を細めて僅かに口角を上げる。これが所謂艶やかな笑み、だそうだ。


「えっ、あ、そうだね♡それってもしかして…♡」


顔を赤らめて、もじもじとしだす。先ほどまでの積極的な態度はどこへ行ったものか。心中呆れ返り


ながら、最後の一手をいれる。


「こねぇの?」


「行く…♡」


「そっか…だが一つ忠告。あんま気軽に男の家に行くんじゃねぇぞ」


そう言って彼女の唇に人差し指を充てて、顔を近づける。


「うん…♡」


彼女の瞳の奥にハートがとって見える。ちょろいな…、なんて思いながらも、これで後は情報を聞


き出すだけだ、と安堵する。自分に引かれるがままに付いてくる彼女に対し、こっそりと溜息を漏


らしながら、ずんずんと足を早めていく。成功率が上がって浮かれていたのか、それとも油断して


いたからなのか。失敗はすぐに来た。


「…中也…」


いきなり隣から、ぐいっと引っ張られ体勢を崩す。どんな死角でも、誤ってを崩すことなんてな


い。ないはずだ。誰だ、刺客か?なんでバレて…。そう頭をフル回転させたが、その必要もなかっ


たらしい、目の前の男に、見覚えしかなかったからだ。


「だ…ざぃ…」


「中也さん、この人誰~?♡」


意外な登場人物に、はくはくを口を開け閉めする俺を他所に、彼女は太宰を舐めるようにみて嘲笑


し、再度俺に抱きつく。


「……」


そんな俺と彼女を、じっと冷めた瞳で見つめ、はぁ…と一呼吸おいた。そして口を開いて


「いや~、私は中也の同居人でね!いつもは早く帰ってくるのに、今日は遅いから変だな~って思って


探し回ってたんだよ~~。」


にっこりと微笑んだ。


「……は、?」


「いやね、そしたら吃驚、中也が可愛いオンナノコをお持ち帰りしそうになってるもんだから、思


わず声かけちゃった」


そう一息にペラペラと喋り、肩をくすめて、微笑する。


「あ、中也さんの同居人なんですね~♡」


「ぇ…あ…嗚呼、」


先日のことで顔を合わせづらい。加えてこんな状況だ。どんなに腐れど、大喧嘩の後とはいえど、


流石に気まずかった。でも、こんなにヘラヘラとした調子で喋るということは、大して気にしてい


ないのか…?何も知らずに見たらこれは浮気現場だ。どれだけ関係が拗れても、事実上太宰は俺の恋


人なのだから。勘違いされたらどうしよう、さらに嫌われたらどうしよう…、そんな悩みは塵の如


く消え去った。ただ今俺の中にある感情は_


「(…なんで嫉妬しねぇんだよ゛)」


嫉妬してほしい。そんな逆曲がりな発想だった。元からそんな感情を持って、彼女と関わったわけ


ではない。仕事だからだ。ただそれだけで関係を持って、太宰にあって…。それで、浮気現場らし


きものを見た彼奴は、微動だにもしなかった。へらりと俺の前に出てきて、巫山戯た調子で喋り、


にこにこと笑っている。


「……行こうぜ」


その表情に嫌気がさして、逃げるようにして彼女の腕を引っ張り背を向ける。


「えっ?♡中也さんの同居人はいいのぉ?♡」


「…嗚呼、別に。」


ただそう一言吐いて、振り替えもせずに足を踏み出した。


別に、どうでもいい。だって此奴にとってもそうだから。昨日までは傷つけてしまったことの申し


訳なさでいっぱいだったのに。気が狂うほどそれだけに頭を支配されていたと言うのに。太宰に


とってはどうなんだ?本当に…傷ついてたのか?…わからねぇ…。もう本当に手前が_


「……嫌いになりそうだよ…。」



またまた急展開で申し訳ない…‼︎😭久しぶりですね~~‼︎😊







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