今日みたいな温かい春の日は寂しさを感じてしまう。
ソファーに寝転び外を眺めながら、ふとそう思った。
みんな、ポカポカして幸せそうなのに、ぼくだけ独り取り残されている気になってしまう。
この見え隠れする心の穴は、きっと永遠に埋まる事はなくて、でも、それでいいとさえ思ってる。
…たまに、少しだけ埋める事が出来るのなら。
ガチャッ
リビングのドアが開いて、シャワーを浴びてきた若井が上半身裸のまま入ってくる。
ぼくは無言で寝転んだまま、両手を広げた。
「濡れちゃうよ?」
「いいよ。」
ぼくがそう言うと、若井は少しだけ口角を上げた。
「はやく。」
「はいはい。」
こっちに来てと、手を広げながら手招きする。
若井はゆっくり近づいてきて、ぼくに覆い被さり、ソファーとぼくの間に手を差し込んだ。
「冷たい。」
「ふふっ、だから言ったじゃん。」
ぼくは若井の背中に手を回して、首元に顔を埋めながら、若井の濡れた髪が不快だと文句を言う。
「寂しかったの?」
流石、若井。
付き合いが長いだけあるじゃん。
ぼくは無言で頷いた。
「可愛い。」
「うるさい。」
「えっちする?」
「しない。」
「しないかー。」
「変態。」
「キスは?」
「…いいよ。」
ぼくがそう言うと、 若井は少しだけ身体を起こし、 まずはおでこに、次は瞼…頬っぺと色んなところにキスをしてきた。
「すごい。恋人っぽい。」
「恋人なんですけど?」
普段、友達の延長線上みたいなぼく達だから、この甘い雰囲気にくすぐったくなる。
頬っぺの次は、鼻。
そして最後は唇に。
ちゅっ、と軽く触れるだけのキス。
「もっとしちゃお!」
若井はイタズラっぽくそう言うと、色んな角度から何度もキスを落とした。
「…幸せかも。」
「へへっ、おれも〜。」
fin
コメント
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