「それじゃぁとっておきだぞ?最近隣国で権力争いの戦が始まったのはみんな知ってるな?」「そりゃもちろん」「じゃ物資や軍隊がトンネルを使っているのも知ってるやつが多いんじゃないか?」「そりゃあんな数の兵士が甲冑を着て歩いてるんだからトンネルの前に立てば誰でも聞こえるよ」「じゃトンネルを使う際に偽物の金貨を使って支払っていたっていうのは?」「そりゃぁ本当か!?」「本当だよ。とっておきだからね」「仮にその話が本当なら今市場に出回っている金貨の中に偽の金貨が紛れてるってことか?」「そうなるね」「まずいなぁ…。この事が外に漏れたら俺達と誰が商談をしてくれるっていうんだ?」「この事が広まったら街のみんなはよそへ金貨を交換しに行くだろうけど街のみんなが知ってるってことは外にも漏れてるだろうから誰も交換を引き受けてくれないと思うよ。さ!約束通り隣国の戦争について知ってること、全部教えてもらおうか」「今回はこっちの負けだ、俺たちが知ってるのは戦争の理由と当事者さ」「理由は権力争い何だろ?」「だけだと思うか?今まで何の内乱のないような国にいきなり身内同士での権力争い」「身内同士?」「そう、隣国のドランシア帝国の帝王、レオニード・ドランシアが亡くなられた」 「亡くなった?」「あぁ、一部では暗殺されたと言われているな、でご子息のカリオ・ドランシアとアウリス・ドランシアがそれぞれ帝王の立場のために争っているのだそうだ。カリオの方は勝った暁には軍中心の政治をして我々とも活発な交易をし経済力をつけるのだそうだ。対するアウリスはドランシアの伝統を守り伝統工芸品を他国に売ることで経済力をつけると言っているらしい」「2人とも経済力をつけたいのに何故争うんだ?」「問題はそこだ。いつもは仲の良い2人が今回ばかりはどちらも譲らないと言っているらしい。その理由は2人の恐れているものの違いだろうな」「恐れているもの?」「そうだカリオは他国や武装集団などの武力的な恐怖を、アウリスは他国の輸入品による内部からの攻撃に恐怖を覚えてあるわけだ」「他国からの流行りものが国内に入ってくれば自国の伝統が守られなくなるからか…。それで?このあたりで武力集団がいるとでも?」「あぁいるとも。しかも商人に護衛を頼まれているとか何とか」「商人?」「あぁ。街に一度来たがトンネルの不正利用かなんかですぐにつまみ出されてたよ」「もう一つ面白い話がある」「何だ?」「その商人が軍に偽金貨でトンネルを通るという入れ知恵をした可能性があるってことだ」「何で商人が軍にそんな事を言うんだ?」「そこが今回の問題なんだよ」「とにかく俺らが知ってることは全部話したぜ」「わかった。ありがと」それからは雑談などに熱中してしまい気がつけば外は夕日に包まれていた「じゃぁ俺たちはこれで、もう一人連れを待たせてるんでね」「おう。会えてよかったよ。また顔見せに来いよ」「わかってるよ。そん時はみんなで一杯やろう!」そう言い残し俺とリーニは組合を後にした。広場近くの酒場に行くとそこにはちゃんとシュリメルがいた「待たせたな」「いいや?俺も今来たところだよ」「そうか。宿をとった後は何してたんだ?」「ちょっとな。酒場とか組合とか店とかうろちょろして情報を集めてきたんだがやっぱりその商人の話が多かったな」「多かったって事は他の話もあったってことか?」「まぁそんなところだ。ここじゃあれだから宿にでも行こうや」そういうとシュリメルはさっさっと居酒屋を出ていった。宿に着くなり「他の話の中に隣国のカリオ・ドランシア側の貴族ザヴェル・ロメッカが密かに計画している事があるって話だ」「ザヴェル・ロメッカ?」「リーニは軍事基地が多い北の要塞地区グレイスヴァルドって知ってる?」「地区ってことはドランシアの一部なの?」「そう。ドランシアの最北端に位置する簡単に言うと要塞の中に街を作ったような地区だよ」「そこの領主?」「そう、貴族でもあるから権力や財力は相当な力なんだ。で?シュリメル、ロメッカがどうした?」「ロメッカが秘密裏に進めていると思われる計画っていうのがこの街を侵略、支配し奴隷と鉱山資源の供給地点にしようっていう計画さ」