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借金組
視点:『』 視点以外:「」
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kn視点
頬を、心地のいい夏の風が緩くくすぐる。目の前の向日葵達は、白く輝く太陽の下で、飛行機雲に沿うように揺れている。遠くから聞こえる波の音を背にし、俺はパシャリとシャッターを切った。
そこに写っているのは、満面の笑みを浮かべる彼、ただ一人。
向日葵に負けないような、キラキラした笑顔を浮かべている。
向日葵の壁の向こうで彼は、俺に向かって手を振る。俺の口角がふ、と上がるのを感じる。ゆるむ表情をぐっと抑えて、小さく手を振りかえす。
ざぁ、と風が一瞬強く吹き、瞳をぎゅっと閉じ、そしてひらけば
君は、そこには居なかった。
蝉の音もしない、そんな…不思議な日の事だった。
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夏の、生ぬるい夜の風が、俺の髪をぬるりと撫でて。小さな不快感を体に覚えて
薄暗く不気味でもある…その場から離れるべく、一歩足を踏み出せば、カツンと音を響かせた。違和感を感じて見てみるに…俺は、いつものジャージ姿ではなく、黒い、スーツを身にまとっていた
…スマイルみたいな格好だな…
小さくぽつりと呟いて、まあいいか、と違和感を無理やり頭からとばして、また、歩を進める。一歩、一歩と進むたびに響く、足音は、俺にとっては凄まじいほどの不快な音だった。
2、30歩ほど歩けば、目の前に、小さな光が現れた。
その光は、気味の悪いこの場所には見合わないような、柔らかな、緑色を帯びた…美しい光だった。
俺は、その光を求め、走る。
だけど、走っても、走っても…。
その光と俺が出会うことは、なかった。
…俺が、何をしたと言うのだろうか
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………最近よく…夢をみる。
愛する彼が出てくる、幸せな夢と、
気持ちの悪くなるような、不快な夢。
そんな夢を、繰り返している。
幸せな夢を見たときは、現実に戻りたくなくなって、
不快な夢を見たときは、早く、夢から目覚めたくなる。
そんな、当たり前のサイクルを、最近はずぅっと、可笑しくなりそうなくらいの頻度で、
…繰り返している。
繰り返しているうちに…目覚めるのが嫌になってきた…。
幸せならば、幸せのままで、いさせてくれれば良いのに…
もう、いっそ
このまま…
眠ったままで…
幸せな、夢のままでいたい………
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sh視点
きんときが眠り始めて2日が経った。
…いつだろうか。…君が俺に、夢の話をしてくれたのは…
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「俺さ、最近ねぇ…よく、夢…見るんだよね〜」
『…夢?どんな?』
「…良い夢のときは、シャケがいて、凄く…キラキラした、夢で…」
「嫌な夢のときは…何だろ、」
「内容自体はこれといったものは無いんだけど…」
「起きた時に気持ち悪いのが残ってる…感じ」
『…へぇ』
『…良い夢の時は…俺が、きんときの夢の中に居るのか?』
「うん」
「シャークんが、笑ってる夢」
『ッそう、なんだ…』
「ふふ、顔真っ赤だよ?シャケ」
『…うるせ』
「良い夢…見たときはさ、ほんとに、起きたくなくなるんだよね〜…」
「で…、嫌な夢見たときは…早く、現実に戻りたくなる…」
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最初は、意味が分からなかった。
でも、今…やっと、理解した。
俺の視界に入るは、幸せそうに眠る君。
…君が眠り続けるのは良い夢のままでいたいから?
それとも、嫌な夢を見たくないから?
………分からない………
…君は、良い夢の中で…俺と、何をしているのだろうか。
『そんなに、夢の中の俺が好きなのか?』
『現実の俺では…きんときを救うことはできねぇのか…?』
『おい、きんときっ…』
『早く、目ぇ覚ませよ馬鹿…‼︎』