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『名前がない想い』
幸せな日々を過ごした。
講義後の雑談、時々出かけたり、お互いの家に行ったり… 甘い夜を過ごしたり。
幻が隣に居るなら、いつ、どこに居ても
幸せだった。
幻と付き合って二ヶ月が経った頃。
「浅霧先輩とお前って…」
「あんま恋人同士に見えないよな。」
同じ学部で、まぁまぁ話していた仲が良い友人にそう言われた。
…恋人同士に見えない?
こんなに好きなのに?
「なんか…石神の片思いって感じする。」
「…」
「…あっ、見てて感じたことだからな!?」
「…誤魔化せてねぇだろ、それ 笑」
俺の顔を見て、修正をかけてもかけなくてもそんなに変わらないほど…
むしろ…悪化するほど、下手な修正をかけた。
…そんなに焦るぐらい酷い顔だったのか?俺。
「…千空ちゃん?」
「どうしたの?」
「あ”?」
さっき…”恋人同士に見えない”と言われ、少しモヤモヤした気持ちを表情に、仕草に出さないように意識していたのに…
…流石だな。
少し言いづらいが、誤魔化してもコイツには見抜かれちまうから……言うしかない。
「…さっき、同じ学部の友人に」
「”恋人同士に見えないよな”って言われたんだ。」
「…」
…何となく気まずくて幻の顔を見れない。俺の視界には、ずっと壁が映っている。
「……千空ちゃん。」
「…おかしいよな。普段から好きって言いあってるのに。」
「千空ちゃん…」
「…目線、逸らさないで …こっち見て。」
「」
「…」
なんだよ、その顔…
なんでそんなに…申し訳なさそうな顔するんだよ。ただの、第三者から見た意見だろ?
“好き”って、言い合ってる…よな……
違う。
『付き合っちゃう?♡』
俺が告白した時も。
『…そっか!』
俺が好きって言った時も。
『…うん。』
俺が幻の名前を呼んだ時も。
あの時も…あの時も…
あの時も、あの時も、あの時もあの時もあの時もあの時も。
幻は、一言も、
『千空ちゃんが隣にいると…落ち着くんだ。』
俺に”好き”なんて言ってない。
「…幻、テメー…」
「俺のこと好きか?」
「……」
「俺、本当は……千空ちゃんのこと…」
「分かんないんだ。」
なんだよ、それ。
「…俺だって、分かんねぇよ。」
「…え。」
「なんで、分からないのに、付き合っていたんだ。」
「なんで、俺も、テメーも、分からないんだ。」
「…なんで、テメーは、こんな時にも………」
“いつも通り”に微笑んでるんだよ。
人間なら、こんな時、いつも通りでいられなくなるだろ…?
まるで、俺にとって”いつも通り”の、人間らしい幻が…
幻にとっていつも通りじゃないみたいな…
……そうか、幻、これも、嘘ついてたんだな。
『出してるに決まってるじゃん?♡』
本当の幻は、
俺にとっての、”いつも通りじゃない”方の幻だったんだな。
「……俺、もう行くね。」
「メンゴ、ありがとう。千空ちゃん。」
「…あーぁ、結局…」
「人間らしくなれないんじゃん。俺。」
第4話 『名前がない想い』
𝕟𝕖𝕩𝕥➯➱➩♡600
感想待ってます😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭
コメント
5件
大会お疲れ様です!!!!!!!😌💕 続きが楽しみすぎる…ッッ😭✨ ドクスト描きながら読んでました笑🤭 今回も本ッッ当に最高すぎました…🤦♀️💘💘💘 続き楽しみにしてます!!!!!!!!!!!!