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「まあ、店長さんは優しいんですね。私を残念がらせないために気を使って下さって。お気遣いありがとうございます。とにかく、琴音にはご迷惑をおかけしないように注意しますから、これからもよろしくお願いします」
「……姉さん、もういいでしょ? 綾井店長は忙しいの」
「えっ、ああ、そうね。そうだ、琴音、一緒に食事して帰りましょ」
「あっ、うん。わかったから、もう少し車で待ってて」
運転ができる涼香姉さんは、フットワークが軽くてどこにでも行く。それが、余計に私を困らせているのだけれど。
店を出た姉さんを店長と一緒に見送り、私はすぐに謝った。
「すみません。約束も無いのに応対していただいてありがとうございました。突然申し訳なかったです」
「いや、全然構わないよ。気にしないで。でも、なかなか個性的なお姉さんだね。本当に君のお姉さん?」
「えっ、あの……」
「あっ、いや、悪かったね。プライベートなことを聞いてしまって。でも、あまりにも性格が違うし、見た目も……あまり似てない気がして」
「はい、私達は異母姉妹なんです。だから見た目は似てないです。涼香姉さんはとても美人だから、百貨店の売り場に立ってても凄く目立ちます。それに比べて私は……全然美人じゃないので」
思わず苦笑いした。
ずっと思っていたことがある。
私は、涼香姉さんの隣にいるとただの引き立て役でしかない。本当に……そのくらい、見た目に差がある。
「確かに美人だね。きっと目立つだろうね、どこにいても。でもね、人には好みというものがあるから。僕には君の方が魅力的だよ。何倍も、何百倍も……ね」
えっ……
真面目な顔でそんなことを言わないでほしい。
仕事中なのにドキドキさせられて、店長は甘過ぎる。
「魅力なんてありません、私は……」
「どうしてそんなに自分をさげすむの? そんな言い方したら琴音ちゃんの心が悲しむよ」