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「店長……」
「またゆっくり話そう。さ、あと少し頑張って」
「は、はい」
ふと視線をやると、暗い夜の中、ショールームの明かりのおかげで桜がぼんやりと浮かんで見えた。
とても綺麗に佇ずむその姿に元気をもらえる。
「私ももっと美人だったら自信も持てたんだろうけど……。でも、これが私なんだから仕方ないよね。うん、頑張ろっ」、自分を鼓舞するため、小さな声でそうつぶやいた。
***
終業し、私は急いで帰り支度をして、近くの駐車場まで早歩きで向かった。
「お待たせ」
「ずいぶん待ったわ」
「ごめんね」
私達は、涼香姉さんの車ですぐ近くのレストランに向かい、中に入った。
「ねえ、これからは突然来るのは止めてね。みんな困るから」
テーブルに座り、メニューを見ながら言った。
「あら、私だって忙しいのよ。せっかく時間を作ってわざわざ行ってあげたのに。そんな言い方はないでしょ?」
「私はもう子どもじゃないし、別に挨拶なんて必要ないの」
「そんなことどうでもいいわ。ねえ、店長さん……あっ、俊哉さん、とっても素敵ね」
「しゅ、俊哉さんって……」
いきなり人を名前で呼べる特技、したくないけど尊敬してしまう。
「だって、綾井店長だなんて堅苦しいでしょ?」
「あの人は涼香姉さんより年上だからね。失礼があったら大変だから」
「年上の男性って本当に素敵。俊哉さんには私みたいな大人の女性が似合うと思うし、今度デートに誘いたいから、いつなら都合がいいか聞いておいて」
「ね、姉さん!?」
あまりにも身勝手な言葉に、驚きを通り越して呆れる。
「私も俊哉さんも、お互いに独身同士なんだから問題無いでしょ?」
どうして私が2人の間を取り持たなければいけないのか、涼香姉さんの大胆すぎる行動には全くついていけない。