テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#学園ファンタジー
成瀬りん
291
#家族
たつ
53
#日常
ももは
551
数分後――。
「いたぞ!」
「三人が倒れている!」
ORVASのサポート部隊が現場へ駆けつけた。
地面には、公太、唯我、一祟の三人が倒れている。
全身は血と土埃にまみれ、激しい戦いの跡を物語っていた。
隊員の一人が素早く脈を確認する。
「意識はある!」
「急げ! すぐ搬送する!」
「止血を優先しろ!」
緊迫した声が飛び交う。
三人は担架へ乗せられ、そのまま救護車へ運び込まれた。
救護車の中。
サイレンが鳴り響く中、三人は静かに横たわっていた。
顔色は青白く、呼吸も浅い。
それでも、生きていた。
唯我がゆっくりと目を開ける。
「……くっ」
苦しそうに息を吐く。
「今までの連中とは……格が違った……」
その言葉には、悔しさが滲んでいた。
隣では、一祟がかすかに頷く。
「……あの力は……僕たちの想像を……遥かに超えていました……」
静かな声だった。
だが、その瞳には諦めはなかった。
その時――。
公太の拳が、小さく震えた。
固く握り締められた拳。
そこには敗北への怒りが宿っていた。
「……次は……」
苦しそうに息を吐く。
「絶対……負けねぇ……」
かすれた声。
それでも、その決意だけは誰よりも強かった。
三人は敗北を刻み込む。
その傷は、やがて新たな力へと変わる。
誰もまだ、そのことを知らなかった。
一方、その頃――。
畑中は原田を助手席に乗せ、無言で車を走らせていた。
険しい表情。
ハンドルを握る手には力が入っている。
その時だった。
通信機が鳴る。
「……ジュリーか」
『畑中、大変よ!』
ジュリーの声は明らかに切迫していた。
「どうした」
『三人がやられたの!』
『公太、唯我、一祟……全員……!』
「……!」
畑中の表情が変わる。
ハンドルを握る手に力が入った。
「詳しく話せ」
『相手はアビス三幹部』
『ロキ、カイゼル、ヴィクターよ』
その名前を聞いた瞬間――。
畑中は静かに目を閉じた。
「……やはり、あの三人か」
アビス最強。
直属の側近。
歴戦の猛者。
その実力は、誰よりも知っていた。
ジュリーが続ける。
『三人とも全力で戦ったわ』
『でも……まったく歯が立たなかった』
畑中は短く尋ねる。
「命は」
『助かったわ』
『全員重傷だけど、病院へ搬送中よ』
その言葉に、畑中は静かに息を吐く。
そして――。
ドンッ!!
拳がダッシュボードを叩いた。
「くそっ……!」
悔しさを押し殺した声だった。
「……全部、俺の判断ミスだ」
視線を前へ向ける。
「ネオコードの習熟も十分じゃなかった」
「それでも現場へ出したのは……俺だ」
責任の重さが胸にのしかかる。
しばらく沈黙が流れた。
やがて畑中は通信機へ向かって口を開く。
「ジュリー」
「三人の状態を逐一報告してくれ」
「俺もすぐ病院へ向かう」
『了解』
『病院で落ち合いましょう』
通信が切れる。
畑中はアクセルを強く踏み込んだ。
エンジンが唸りを上げる。
「待ってろよ……」
静かに呟く。
「お前たちは、必ず俺が守る」
「そして……この責任は、俺が必ず果たす」
夜の街を切り裂くように、車は病院へ向かって走り続けた。
コメント
1件
うわあ……第64話、重い展開でしたね。三人が倒れて救護車に運ばれるシーン、ひとつひとつの動きがリアルで胸が締め付けられました。特に公太の「絶対負けねぇ」というかすれた声に、まだ燃え続ける闘志を感じてゾクッとしました。畑中の自己責任を感じる台詞も、彼のキャラの深みが出ていて好きです。敗北が次にどう繋がるのか、本当に気になりますね……!