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コメント
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いいね500失礼😎

2個一気に見させていただきました一番好きな作品かも( ͡° ͜ʖ ͡°)
第32話「机の裏」
夜の街を三人が走る。
息が荒い。
駆人の頭の中には、兄の部屋の景色が何度も浮かんでいた。
古いアパート。
狭い部屋
机
駆人「……」
あの部屋には、もう何年も入っていない。
研究所から逃げたあと、そこへ戻ることはなかった。
莉々が横で言う。
莉々「まだ残ってるはず」
駆人「……」
莉々「あなたの兄は慎重だった」
男が聞く。
男「博士の人間が先に来てたら?」
莉々は答える。
莉々「その可能性はある」
男「じゃあ急がないと」
三人はさらに走る。
古いアパート。
階段の電気は半分壊れている。
薄暗い。
駆人は足を止めた。
二階の廊下。
自分の家の前。
ドア。
少しだけ開いている。
駆人の目が細くなる。
駆人「……来てる」
男が小声で言う。
男「どうする」
莉々は静かにドアを見る。
中から物音は聞こえない。
莉々「様子を見る」
駆人はゆっくりドアを押した。
ギィ……
古い音が鳴る。
部屋の中。
暗い。
机の引き出しは全部開いている。
床には本や紙が散らばっていた。
男「……荒らされてる」
駆人の胸が重くなる。
誰かがすでに探したあとだ。
莉々が小さく言う。
莉々「まだ分からない」
三人は部屋に入る。
駆人はゆっくり机の前に立った。
兄の机。
昔と同じ。
古い木の机。
駆人は裏側を覗き込む。
指で触る。
何かがある。
テープ。
駆人「……」
ゆっくり剥がす。
小さな 黒いメモリカード が落ちた。
男「……あった」
莉々が息を吐く。
莉々「よかった」
駆人はそれを握りしめる。
その時。
後ろで音。
カチッ。
三人が振り向く。
部屋の入口。
知らない男が立っていた。
黒いスーツ。
手には拳銃。
「動くな」
その男の声は冷たい。
駆人の顔が固まる。
「それを渡せ」
莉々が小さく言う。
莉々「博士の部下、ですかね」
スーツの男は微笑む。
「正解」
男は銃を少し上げる。
「そのカードを床に置け」
部屋の空気が凍る。
駆人は動かない。
「三秒待つ」
「三」
男が数え始める。
莉々の視線が机の上を動く。
重い本。
ガラスのコップ。
駆人の手の中。
メモリカード。
「二」
その男は静かに銃を構える。
駆人の鼓動が速くなる。
その時。
「一――」
突然、別の声がした。
「撃つな」
全員が振り向く。
廊下。
そこに立っていたのは――
一人の女性。
長いコート。
スーツの男が眉をひそめる。
男「……誰だ」
女性は静かに言う。
「そのカードは渡さない」
莉々の目が大きくなる。
莉々「……まさか」
女性がゆっくり部屋に入る。
そして言った。
「久しぶりね」
女性は駆人を見る。
そして――
莉々を見る。
「No.01」
空気が止まる。
莉々の声が震える。
莉々「……あなた」
女性は少し笑った。
「まだ生きてると思わなかった?」
駆人が聞く。
駆人「……誰だ」
女性は静かに答えた。
「被験体」
少し間を置く。
「昔遊んでたじゃないw」
「ゆりだよ覚えてる、?」
「被写体番号 No.05 で分かる、?」