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GIFT(真実篇)【完結済】

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GIFT(真実篇)【完結済】

5 - 第1章  未来へのカギ

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2022年03月13日

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「どうかしたの?」

「今“はい”って…」

「“ちゃんと付き合って”って言われたから答えたんだけど…告白してくれたんじゃなかったの? もしかして私の勘違い?」

「かっ‥勘違いなんかじゃないけど…‥」

「よかったぁ」

葵さんは、きっと今この瞬間も能力で既に見えていて、僕の言動の全てを熟知していたに違いない。

だから“ちゃんと付き合って”の言葉の後に間髪いれずに“はい”と返事が出来たんだ。

そもそもその言葉を言うキッカケになったのは、葵さんが今日に限ってやたらとキスを求めてきたからだった。

つまり僕のその言葉を、引き出させる為に葵さんはキスを迫ってきた。

あれは告白するつもりで言った言葉ではないけど、葵さんによって告白の言葉に変えられた。

「そうでもしなきゃ、今日も言ってくれなかったんだから…」

「えっ!? もしかして葵さんの見た未来では、今日も僕は告白できずに終わっていたという事?」

「まっ‥まあ、そういう事…」

「・・・・・」

どうりで、いつもの葵さんらしくなかった訳だ。

「それより、私まだ紺野さんの気持ちを聞かせてもらってないんだけど…」

「僕の気持ち?」

「私の事をどう思ってるかって事…」

「どう思ってるかって…」

「好き?」

「えぇ、まぁ…」

「“えぇ、まぁ…”? ハッキリ言ってくれないと不安になる」

「もちろん好きです。大好きです」

「私も…‥」

結果的に言いたい事は、ほとんど伝える事が出来た。

ただ、葵さんに全て言わされてしまったような感じは否めなかったけど…。

「葵さん…」

「ちょっ、ちょっと待って下さい」

キスをしようと葵さんに顔を近付けると、唇を両手でガードされた。

「どうして? さっきはキスを迫ってきたくせに…」

「そんな事してない! 私は“キスしなくていいんですか?”って聞いただけだし…」

「きったねぇ」

「そんなにキスがしたいなら、前みたいに無理やりしたらどうですか?」

無理やりって…

確かにそんな事もあった。

でもあれは亜季ちゃんにしたのであって、葵さんにしたのではない。

「あれは亜季ちゃんと…」

「ですね」

「どうしてそれを? 亜季ちゃんから聞いたの?」

「まぁ、そんなところです」

「2人はそんな話までしてたの…」

「双子ですから…。それよりどうするんですか? 無理やりするんですか? しないんでっ‥」

もちろん…するに決まっている。

葵さんと初めてするキスの味と感触は、亜季ちゃんとした時と全く同じだった。

そして、ゆっくりと唇を離して葵さんを見ると、目を開けて僕を見ていた。

「もしかして、ずっと目を開けてたの?」

「うん…」

「普通、キスする時は目を閉じるでしょ?」

「だって、紺野さんのキスする顔を見たかったから…」

「だからって…すんごい恥ずかしいんだけど…」

「それよりどうだった? キスの味は?

亜季ちゃんのと同じじゃありませんでしたか?」

「全然違うよ。比べる事じゃないし…」

不思議と亜季ちゃんとした時の感覚のようだった。

「どっちの方が紺野さん好みの唇だった?」

「そういう事、普通聞かないでしょ?」

「もちろん私でしょ?」

「そうだね」

すると、今度は葵さんの方から僕の唇にキスをしてきた。

目を開けて葵さんを見ると、今度は目を閉じていた。

それから僕らは何度も何度もキスをした。

亜季ちゃんとしたキスを忘れるぐらい…。

葵さんが、僕と亜季ちゃんの関係を気にする事がなくなるくらい…熱いキスをした。

それから僕らは、公園の中を目的もなく歩き続けた。

そして鯉とカルガモがいる噴水のある池に辿り着こうとしていた。

「うぅっ…」

すると葵さんは突然その場にしゃがみ込むと、頭を押さえていた。

どうやら未来の映像を見ているようだ。

「はぁ…はぁ…‥」

呼吸が荒くなり苦しそうに胸に手をあてていた。

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