そんなことがあったはずの
昨日のことは、よく覚えていない
でも大丈夫、
忘れるのは、慣れてるから
今日も今日とてバイト三昧
血反吐を吐いて骨を折って、やっと手に入れた金だって、全部ぶんどられる
春花と会って、異常だとわかった。
今日も地獄が続く
そう思ってた、
そう、思ってたのに
信号が変わった時、足を踏み出して、気づいた
隣からは車の走行音、しかもとてつもなく早い
春花が言っていた、
「無差別殺人が結構多いみたい、気をつけてね」
って、
車を見ても運転手はいない、やられた
痛いのは嫌いだ、苦しいのは嫌いだ
でも
死ねるなら、それも、いいかもしれない
そう思って、足が止まった
死ねると思った
目を閉じて、ゆっくり深呼吸をした、
次生まれ変われるなら、人間じゃありませんようにって願いながら
目を開けたら知らない場所
暗くて気持ち悪い、よく分からない場所
奥から足音が聞こえた、誰か来る
「初めまして」
朱色の髪に、青のグラデーション
優しい顔をした、おそらく20前半の女性
「ごめんなさい、こちらの手違いで」
口を開いて、悲しそうな顔をしながら言った
理解が追いつかない、
別に良かったのに
「お詫びと言ってはなんだけど、貴方を生き返らせてあげる、それに強くしてあげる」
嬉しくない
強さとか求めてないし、生き返りたくない
もちろん丁寧丁寧丁寧に断った、
少し驚いた顔をして、その後すぐに口を開いてこう言った
「いいの?春花ちゃんとも会えないのよ?」
それは嫌だった
唯一の友達を失いたくなかった
でも生きるのも嫌だ
「……黙ってるってことは、OKってことでいいのかしら」
こいつ馬鹿だろ
違うと言う前に目が覚めてしまった
病院のベッドの上、私は包帯まみれ、生き返ってしまった
すぐ口に着いていた人工呼吸器と腕に着いていた血液透析装置だけ思いっきり外して走った
病院に行ったなんて知られたらなんて言われるだろうか、
その事で頭がいっぱいだった
服は幸い近くにあったのでさっさと着て逃げようとした
入口からは無理、バレるに決まっている
窓が目に入った、あそこだ
チビでよかったと初めて思ったかもしれない
病院から逃げて、バイト先に遅れることを伝えて急いで走った
まぁ、そんなことしたっていずれバレるわけで
割とすぐバレて結局病院送りになった
ワンチャン死んでいた、なんて言われたが、実際は死んでるはずだった、なんて言ったって、信じちゃくれないよな
どうやら腹部が特に酷かったようで、腎臓が使い物にならなかったらしい
肺も悪くなっており、呼吸器なしだと1日普通に生きることも難しいと言われた
あとナチュラルに肋と左腕が折れていた
とまぁここまで色々言った訳だが…
その頃には普通に呼吸もできていたし右腕も使えた、
肋が折れてる感覚もないし、
腎機能はわかんないけど血液透析装置なしで大丈夫そうだからまぁ多分大丈夫だと思った
その後もう一度検査してもらったが、やはりこれといった異常もなかった
強くなるってそういうことかと思った
まぁ治ってはいるが完治という訳でもないので通院決定、まぁそれから1度も行かなかったけど
バイト先には事情だけ伝えた、「早く治せ」との事だった、治ってるわ
初めて見舞いに来たのは春花だった、うん、知ってた
果物とか持ってきてくれたけど、如何せんあの日から食欲が湧かなかったため、食べなかった
春花は外のことを教えてくれた、勉強がどうのこうのとか、家族がどうのこうのだとか、
その時サラッと言われたが二人いた兄がどちらも自殺したらしい、姉と自分と母で今は暮らしているそう、大変そうだった
まぁ、大して話す内容も変わらなかった
ちなみに言うと母は私の事より新しい男に夢中だった、死ねばいいのに
治療費とかその辺は前のお父さんがやってくれた、
そんなこんなで、しばらく経つと割とすぐ病院から出れた
コメント
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なんか...やだねぇ