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その夜。私は意を決して、光の部屋をノックした。
「……はい」
ドアが開く。日比谷くんは、ジャージ姿で、手にはボロボロになったネタ帳を持っていた。
「……あ、お姉さん。何? また壁ドン?」
「……そんなんじゃない」
日比谷くんは私の顔を見て、少しだけ眉を下げた。
「……なんか、あった? 会社で」
「……別に。ちょっと有給取っただけ」
嘘だとわかっているはずなのに、日比谷くんは「ふーん」とだけ言って、ドアを大きく開けた。
「……入れば? 散らかってるけど」
光の部屋に入るのは、あの大雨の夜以来だった。
床には脱ぎ散らかした服と、書き殴られた紙クズ。
でも、そこには私が失いかけていた「本気で生きる熱」が充満していた。