iris桃黒(桃→攻め 黒→受け)
曲パロ 低クオ
ご本人様には関係ありません
なんでも許せる方はどうぞ
あれは確か、8月15日の午後12時半頃のこと
桃「あっつ〜」
黒『もう8月やもんなぁ…』
公園のベンチで、特にすることも無く君と
駄弁っていた
桃「課題どれくらい終わった〜?」
黒『その話はせんといて…』
桃「えー?え、実際どんなもんなの?」
黒『…4分の3』
桃「結構終わってない?」
黒『手付かず』
桃「…」
桃「別の意味で終わってたわ…」
病気になりそうな眩しい日差しの下で
蝉の声が辺りに響き渡っていた
桃「わぁっ!?」
突然、ぴょんっと君の膝の上に飛び乗ってきたのは1匹の猫
黒『んはは、人懐っこい子やなぁ』
君が頭を撫でるとその手に擦り寄っていく
瑠璃のような瞳を持った美しい黒猫だった
サラサラとなびく長い髪と交ざりあって
まるでドラマのワンシーンのようだった
黒『でもまぁ、夏は嫌いかな』
黒猫を撫でながらふてぶてしく君は呟いた。
黒『あっ…』
突然君の膝から飛び下りた黒猫。
車通りの多い交差点へと駆けていく。
黒『危ないっ!』
猫を追いかけて君が飛び込んでしまったのは
赤に変わった信号機
バッと通ったトラックが、君を轢きずって啼き叫ぶ
噴き出した赤色がコンクリートを染めた
鮮烈な匂いと君の香りが混ざりあって噎せ返る
音のない景色
桃「うそ、だ…」
??『嘘じゃないで』
耳元で聞こえた言葉
顔を上げると、さっき見たような瑠璃色がこちらを向いていた
霞んでいく視界
夏の水色と頭に響く喚き声
最後に目に入ったのは、暑さに揺らめく不気味な嘲笑だった
ピピピピッ…
ピピピピッピピピピッ
部屋に響いた電子音で目を覚ます
単調な音を聞きながらベッドの上
桃「今、何時…?」
8月14日の午前12時過ぎくらいを示す液晶
夢の中の蝉の声が、やけにはっきりと脳裏に張り付いていた
公園のベンチに2人で腰掛ける
君の膝の上には見覚えのある黒猫
今日見た夢が、何故か脳裏に蘇る
夢の中で見たときよりも1時間早い時刻を示す文字盤
桃「もう、今日は帰ろっか」
帰る道すがら、見かけた人々は皆
天を仰ぎ口を開けていた
落下してきた鉄柱が、君を貫いて着地する
耳をつんざく悲鳴も風鈴の音も
まるで現実味がなくて
桃「なんで、?あれは、夢で…」
??『夢じゃないで』
どこかで聞いた声が俺を嗤う
君に纏わり憑く青い人影
眩む視界で捉えた君の横顔は、
笑っているような気がした
何度も何度も眩む世界
青い陽炎が君を奪い去る
何十年と繰り返した今日
また駆け出した猫と君、同じ景色が再生される
こんなによくある話なら、結末はきっとひとつだろう?
黒『えっ…』
君の背を押して飛び込んだ、
重い鉄塊にぶち当たる
飛び散る赤色 絶望に染まった琥珀色
軋む身体に乱反射した
桃「ざまぁみろよ」
見えなくなる目に映りこんだ、不満顔の陽炎に向けた嗤い
よくある夏の日のこと
それを最後に何かが終わった
あぁ…
目が覚めた
時計の音が響くベッドの上
『また、ダメだったよ』
黒猫を抱え、長い髪の青年は一言そう呟いた
「繰り返す幻」Fin
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