テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
風呂から上がってさあ寝ようって時に珍しい相手からの着信が。『ごめん、迎えに来てほしい』
外にいるのがわかるがやがやとした音と一緒にぐったりとしたような声に正直めんどくさいと思いながらも心配で濡れた髪もそこそこに車の鍵を引っ掴んだ。
まじで飲みすぎた。まじでしんどい。
テキーラ3杯いったのはカッコつけすぎた。
顔や動きに出ないように気を張りながらえとは後悔していた。
迷惑をかけるのは重々わかっていながらも今日は甘えさせてくれと虎視眈々と狙ってくる野郎をシカトし、心配そうに寄り添ってくれる女子に大丈夫と合図しながら電話をかけた。
飲んでいた場所は本当に駅近で迎えを頼むにも不便な場所だったので駐車場があるコンビニに移動すると言ったらぞろぞろとみんな付いてきた。
えとの知り合いが気になる人半分とりあえずみんなに付いていきたい人半分。
えとは水と二日酔い用の薬、迎えにきてくれる相手のお礼用のお菓子と飲み物を買った。
「えとぉ、オレが送ってくから今からでも迎え断れよー。それかうち近えから泊まってってもいいけど」
「きっしょ」
ギャハギャハと下品に笑いながらいう野郎どもに思わず飲もうとしていたペットボトルがべキリと鳴る。
とりあえずそいつらは無視して心配そうに付いてきた女子たちに終電は大丈夫なのかと聞けばまだ大丈夫と返ってきた。
「うちら帰りの方向一緒なんだ」
「そっか、私大丈夫だから早めに帰りなね」
「私も迎え頼んでるから平気」
「そっか」
迎えって彼氏?なんて色めき始めたところに重めのマフラー音が聞こえてきた。
「迎えきたわ、たぶん」
「え、あれ?」
「そうそう」
静かな現代車と比べてしっかりと車の音がする。
「なんか、サーキットも走れるやつみたいなこと言ってたわ知らんけど」
えとが手を振れば運転手も気がついたのかそばに停車した。
「迎えきたから帰るわ。ごめんお先またね。おやすみー」
バタンと助手席に乗り込むとえとが周りに手を振りながらすぐさま発車した。
さきほどまで調子の良かった男子たちは迎えに来た社会に出て数年では手が届かないスポーツカーに圧倒され、女子たちは運転手であるイケメンに黄色い声をあげていた。
そんなことは発車してしまった二人は知らないことだ。
「迎え来てくれてありがとう。ねてた?」
「まあ寝ようとして風呂から上がったとこだった」
「ほんとごめんじゃん。ありがとう」
「えとさんがのあさんの前以外でそんなのめずらしくない?」
ちょっと倒していいと聞くえとにいいよと答えながら運転手ヒロは問いかけた。
「梅酒と杏露酒飲んで、テキーラ3杯いった」
「はぁ?バカじゃないの」
「うぅっ、おっきい声出さないでよぉ。自分でもバカだったなってわかってるんだから」
運転しながらも横目で呆れた目線を送ってくるヒロにえとは体を小さくして二日酔いの薬を飲んだ。
「飲んでも飲まれるなって言われてんじゃん」
「いや、だってえ。カッコつけたかったというか、悔しくて負けたくなかったというか」
「飲んでカッコつけって」
「量飲めるってイキリたかったわけじゃなくて。言い訳させて」
さすがに訳アリっぽそうなえとにヒロはまだ呆れながらどうぞと先を促した。
「なんか男子たちがどうにか女子を酔わせたかったみたいで」
「あー、なるほどね」
「そう、だからまあ強くはないけど、弱すぎるわけではないから変わってあげてー。みたいな感じよ」
「無茶するなあ」
うーん。とえとは少し考えているようだ。
「ま、なんかさ、変わってあげた子は地方出身の子なのね」
「うん」
「わたしも北海道って地方から出てきたわけじゃん」
「そうだね」
「でもさ、のあさんとかじゃっぴたちシェアハウス組がいて、関東組がいてーみたいなほぼ身内がいる状態で出てきてるから、今日みたいに頼れるところもあるし寂しくないわけよ。でも、他の子たちはさほぼ知り合いもいないなか出てくるわけじゃん。だったら無茶しても助けてくれる人がいるわたしが盾になってあげたいなって勝手に思っちゃったの。おせっかいだったかもだけどさー」
「まあ、確かにねえ。でも、助けられて嬉しかったんじゃない。えとさん女の子に囲まれて心配されてたじゃんさっき」
「ちょっと自分と重なっちゃうよね。傷ついてほしくないなって」
信号待ちでそういえばとえとはヒロ用に買った飲み物とお菓子を渡したが、運転してるから持っててと言われた素直に持つことにした。
くあっと大きなあくびを一つして。
「ねてもいい?」
「いいよ。寝るなら毛布かけな、後ろにあるから」
「えー、いらない。暑い」
「スカート際どいからかけろって」
「これインパン付きだよ」
そう言ってペロリと端をめくろうとするえとの手をヒロはさすがにぴしゃりと叩いた。
「コラ!女の子でしょ!」
またいい感じに信号待ちが来たのでヒロは自分で後部座席から毛布を取りとりあえずえとにのせた。
「暑いのに」
なんて言ってたけれど空調の温度を下げられ、心地よい毛布の重みもあってか数分もしないうちにえとは夢の中に落ちていった。
夜遅くガチャリとドアが開く音がしてのあはえとがようやく帰ってきたのだと出迎えにいくと、しっかり歩けって、しんどい、せめてソファーまでなんて会話が聞こえてきて慌てた。
「ぽとおかえりって、ヒロさん?」
「こんばんはのあさんえとさん迎えに行ってきた」
「うぅ、のあさん、のあさん…」
今までヒロに支えられていたえとはさまようようにのあの方へとよたよた歩き出す。ぽふりと受け止めると恋しかったと抱きつき擦り寄った。
「めっちゃ飲んでない?」
「めっさのんら」
「えとさんテキーラいったって」
「テキーラ!?なんでまた」
「女子を酔わせたい男子がいたから変わってあげた分含めて3杯」
「っはあ!?ぽとー飲みすぎだよお。薬飲んだ?」
「のんら」
「飲んでた。寝る前はさすがにここまでぐでんぐでんじゃなかったけど、のあさんに会えて気が抜けたのかやばいね」
「早いとこ部屋に運んじゃわないと!!ヒロさん手伝って!!」
意識なくなりかけの人間は重くてのあとヒロ二人で引きずりながらなんとかえとをベッドに放り込んだ。
「もー、ぽとだってそんなに強くないのに」
やれやれとリビングに戻ってのあはヒロに休む様に促す。
「なんか地方出身の子だったから、メンバーがいて頼るところがあるわたしが盾になってあげたかったって言ってたよ」
「そっかあ。怒りにくいなあ」
「本人も無茶したのはわかってるみたいだから今回はそっとしておいてあげてもいいのかも」
「確かに素直にヒロさんに助け求めてるしね」
「びっくりした。普段電話なんて用事があるときにしかしてこないし、こんな時間にかかってくることまあないから」
「たぶん、わたしとしばおはもう飲んじゃってるって思ったんじゃない?たしかに今日はうりさんも交えて夜ご飯食べながら晩酌しちゃったからなあ」
「なるほどね」
「ヒロさん車あるの知ってたからたぶんそうじゃない」
なんとまあ、迷惑な話だと思いつつも信頼されてると思うと嬉しくなってしまうのはさすがにチョロすぎるな自分とヒロは思った。
「ヒロさん泊まっていくでしょ」
「うん。あのさまずドライヤー貸してもらってもいい?」
コメント
2件

見るの遅れました🥲 また投稿してくれてありがとうhございます!! hretの絡みも最高すぎました。 etさんとの絡みはどのペアもいいのでいくらでも見れます(><)

最高すぎました…!✨ 投稿ありがとうございます!