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人間達には馬車や魔導車両と言った実に素晴らしい移動手段が存在している。
そう言った物が今この場にあって、高速で移動できれば正午までに王都に到着することも十分可能だ。
勿論、そんなものは今この場には無い。ならばどうするか。
簡単だ。作ってしまえばいい。魔導車両は無理でも、馬車の車両の構造ぐらいならば既に覚えた。アレならば今からでも即座に製造が可能だ。
魔術を使用しようとしたところ、魔力に反応したオムが私の行動が気になったのだろう。何をするつもりなのか訊ねてきた。
「あ、あの、ノアさん?何をするつもりなんですか?」
「ん?あぁ、皆が早く王都に帰れるように車両を創ろうと思ってね。すぐに出来上がるから、もう少し待っていて欲しい」
「しゃ、車両って、馬車とか竜車みたいなやつですか?えっ?そんな簡単に作れちゃうものなんですか?」
作れちゃうものだね。何せ万能魔術だからね『我地也《ガジヤ》』は。
この魔術で精巧に馬車とほぼ同じ構造をした車両を作り上げてしまえばいい。一部細かい部品もあったりするが、私ならば何の問題も無く製造可能だ。
ちなみにオムが言っていた竜車というのは、馬車馬よりも一回り大きい、ランドランと言う魔物に車両を引かせる移動手段である。
ランドランの見た目が翼の無い小さなドラゴンのような見た目をしていて、実際に僅かではあるがドラゴンの因子も含まれているため、竜車と呼ばれている。
ランドランの見た目に関しては[愛嬌があって可愛い]と言う者もいるらしい。ならばきっと私が見たら可愛いのだろう。
残念ながらこの国では竜車は流行っていないらしく、少なくとも王都周りではまず見かけないそうだ。いつか私も実物を見てみたいものだ。
尚、馬車よりもずっと速いのは良いのだが、ランドランは2足の足で走るためか馬車と同じ車両を使用した場合、馬車よりも揺れが激しいと言われている。ティゼム王国で竜車が流行らない理由である。
さて、1分もしない内に車両が完成した。
車両全体が鋼製のため車両としては馬鹿げた重量かもしれないが、何の問題も無い。
そして座席だけでなく、車両内部には極めて細いガラス繊維を渡状にさせた緩衝材を敷いてある。
激しく揺れることになるからな。ある程度衝撃を緩和させるために用意した。
何故車両が激しく揺れるのか?当然、この車両を引くのが私だからだ。
以前魔物襲撃の際に現場へ急行する際に他の冒険者達を纏めて運んだが、全員もれなく目を回していたからな。今回はもう少しマシになっている筈だ。
それに、揺れの対策は緩衝材だけでは無い。
それには彼等に車両に乗ってもらう必要があるのだが…彼等は出来上がった車両を見て、皆揃って呆然とした表情で固まってしまっている。
「ええぇ…ナァニコレェ…?」
「何であっという間にこんなモンが出来上がるんだ…?」
「やっぱりノアお姉様はめがみさま…!」
「えっと…コレに乗れば良いんですよね…?それで、この車両って、どうやって動くんですか?」
動力は私だ。あっという間に王都に到着する速度を保証しよう。何なら10分以内に到着することもできるぞ?その場合、揺れの対策に意味が無くなってしまうがな。
「さあさあ、いつまでも見ていたら帰りの時間が遅くなってしまうよ?車両に乗ってくれるかな?」
「は、はい…だ、大丈夫かな…?大丈夫だよな…?」
車両を見続けられていてはいつまで経っても出発できないので、彼等に乗車を促しておく。素直に従ってくれて何よりだ。
「い、意外と柔らかい…」
「つーか、壁も柔らかいんだな。フワフワしてる…」
「横になったら、気持ち良さそう…」
「ん?これは?」
ジーンとベルカが車両の内部の環境に感心していると、オムが車両の壁から垂れ下がるように伸びているガラス繊維の帯を見つける。
用途が分からないようで、使用方法を私に訊ねてくる。
「ええっと、ノアさん?この、ベルトみたいなのは?」
「ああ、それは貴方達の体を固定するためのものだよ。走行中の揺れで、壁や貴方達同士がぶつかってしまわないようにね。今から取り付けるよ」
「へっ!?べ、ベルトが、勝手にっ!?」
「う、動けないっすー!?」
「ちょっ、待って!?こんな風に固定が必要になるって、どれだけこの車両揺れるんですかっ!?」
「「「!?!?!?」」」
気付いたか。
私が引いて走るからね。とても揺れるよ?だが、もう降りることはできないよ?このまま王都まで行かせてもらう。
外の景色を見る余裕は無いかもしれないが、どうせなら楽しんでいってくれ。
「さて、舌を噛まないように口をちゃんと閉じておくことをお勧めするよ?」
「あのっ!?何でノアさんは乗らないんですかっ!?まさかこの車両を引くのってノアさんが!?」
「も、もうちょっと待って下さいっ!?こ、心の準備が…!」
「しっかりと固定しているから、大丈夫だよ。では、出発!」
「「「「「あ゛あ゛あ゛ぁぁあああーーーーーっ!!」」」」」
いつも通りの感覚で王都まで走る。
車両の中で全員が漏れなく絶叫しているが、揺れで舌を噛んでしまわないか少し心配である。
車両を引っ張ったところ、まったく抵抗は感じていない。そもそも私は30メートルの高さを誇る石柱すら抵抗を感じることなく持ち上げられてしまうのだ。
車両全体が鋼鉄製だろうとも、そしてその中に人間が数人乗り込んだ程度では私には何の重荷にもならない。いつも通りの速さで走れている。
25分ほど走り続けていると、私の視界に王都の城壁が見えてきた。現在時刻は体感で午前14時を少し過ぎた所だ。
後はゆっくりと歩くだけでも1時間以内に王都に到着するだろう。
いきなりこんなものが城門まで来たらびっくりさせてしまうからな。そもそも、全体が鋼の車両なんて注目を集めない筈が無いのだ。変な評判を立たせないためにも、ここからは徒歩で王都まで移動しよう。
ちなみに、ここまで来る間にも『我地也』は常時使用したままだ。
今更な話なのだが、一々私が引かなくとも『我地也』による創造物の操作によって動かすだけでも全く問題無かったことに気が付いた。
とりあえず、こんなものがこのままここにあっても目立つだけなので、皆を下ろしたら車両は消去してしまおう。
ベルトを外して彼等を開放する。途中からベアー以外はかなり静かになっていたが、彼等は大丈夫だろうか。
「皆。王都が見えてきたよ。ここからは歩いて王都まで行こうか」
「あ、あの…少し…休めますか…?」
「「「………」」」
「う、う、腕がぁあ~~!!」
しまった。ベアーは腕を骨折したままだったな。揺れのせいで相当痛い思いをさせてしまったようだ。
他の子達もかなり消耗してしまっているな。
ううむ、ベアーへの配慮もそうだが、そもそも揺れの対策がまるで足りていなかったようだ。
一から揺れない車両を創ると言うのは、難しいものだな。
仕方が無い。私のせいでベアーの骨折は悪化してしまったし、他の皆も消耗してしまったのだから、彼等を魔術で治療してしまおう。
「はへぇ~、なぁんか気持ち良いっす~」
「気持ち良いと言うか…気持ち悪いのが消えていくと言うか…」
「これは…『広域治癒《エリアヒール》』ッ!?達人はこんなすぐにでも発動できるものなんだ…」
「す、すげぇえええっ!!う、腕の痛みが完全にきえたあああっ!!」
「マジかよ…。ん?まさか…?」
「ジーン?何か気付いた?」
『広域治癒』を彼等に施していると、その効果に昨日の冒険者達と同様に驚いているのだが、ジーンが何かに気付いたようだ。何を気付いたのか、ベルカがジーンに訊ねている。
「なぁ、ノアさん、言ってたよな?今のベアー以上の怪我をしてもすぐに直せるって…。つまり、稽古で今のベアーみたいな怪我をしても、すぐに治るってことだよな…」
「ん。ノアお姉様なら余裕…」
「何でおめえが得意げになってんだ。いや、それはいいんだがよぉ。それってつまりよぉ、怪我を理由に休憩とかは全然できねえってことなんじゃないかって思ってな…?」
「「っ!?!?」」
あー、ジーンはそこに気付いたのか。うん、昨日やった稽古がそれだな。
改めて振り返ってみると、あの時の私は結構頭にきていたんだな。稽古とは名ばかりの拷問じみた苦行になっていた。
当然だが、予定している稽古はそこまで過酷な内容では無い。というか、私とは直接対峙しないようにするつもりだ。
怯えた表情でオムが此方をぎこちなく振り向きながら、真偽を確かめてくる。
「ノ、ノアさん…っ!?」
「心配しなくとも、そんなに過酷な内容にするつもりは無いし、大怪我をしてしまいそうならその前に私が止めるよ。休憩時間もちゃんと用意するつもりだから、安心して欲しい」
「「よ、よかったぁ~」」
私の返答を聞いてベアーとアフモが安堵している。大きなため息をついてしまうほど恐ろしかったのだろう。
「皆の調子も戻ったようだし、そろそろ移動を開始しようか。王都まであと少しだよ。頑張ろう」
「うん!頑張る!」
「ホ、ホントだ…。うっすらとだけど、王都の城壁が見える…。ノアさんは一体、どんな速度で走ってたんだ!?」
「俺達とこの鉄製の車両を運びながらコレだろ…?やっぱ”一等星《トップスター》”ってのは格が違うんだなぁ…」
「そんなノアさんに今後稽古をつけてもらえるんだ…。ちょっと怖いけど、でも、この機会を逃すなんてありえないよ!」
「っすね!ジーンじゃないすけど、俺も燃えてきたっすよー!」
体調が戻って来たのか、彼等は車両に乗る前のノリに戻っている。むしろ少し気分が高揚しているぐらいか。
だが済まない。稽古は早くても明後日からになりそうなんだ。今の気持ちをその時まで継続させるのはなかなか大変だし、疲れると思うよ?
ああ、そうだ。彼等の気持ちを落ち着かせるためにも、ちょっと甘い物でも提供しようか。
見た目が良くないから受け取ってもらえるかどうか分からないけど。
「ところで皆、甘いものはいる?大量に手に入ったから、1口分くらいなら提供するよ?」
「い、いいんですかっ!?」
「あ、甘いもの…!?3日ぶりの、甘いもの…!?」
「なんか、ベルがノアさんのことを女神様って呼ぶのも納得してきた…」
そこは納得しないでもらえないかな?全員欲しいようなので、彼等に渡す前に一つ確認をしておこう。
「ただね、確かに甘くて美味いのだけど、見た目はあまり良くないんだ。それでも良いと言うのなら、受け取ってくれ」
「俺はそんなの全然気にならないんで問題無いです!」
「見た目は悪いけど、甘くて美味い…?あれ?なんか、最近そんな話を聞いたことがあるような…?まぁ、いいか!甘いものください!」
「なぁに、こういうのは美味けりゃいいだよ!美味けりゃ!見た目にビビッて冒険者が出来るかってんだ!というわけで、1つください!」
「俺ももらいますー!」
「うぅー…。見た目…でも、ノアお姉様が…」
オムが私の提供しようとしている甘い物の内容に聞き覚えがあるようだが、詳細を思い出せないでいる。結局彼も受け取ることにしたようだ。
男性陣が皆小さじ1杯分の甘いものを受け取る中、ベルカだけは見た目が悪いと言う内容に忌避感があるようだ。
「うおっ!スッゲェ甘い!しかもドロッとしてるから少ししかないのに結構口の中に味が残る!こりゃいいや!」
「うんめぇー!疲れてる時にコレが食べられたら最高だな!」
「うん、確かに美味い。美味いんだけど…なぁんかコレ、つい最近見たことがあるような気が…。それに、さっきからノアさんがちょっといたずらっぽく笑ってるのが怖いと言うか何というか…」
「んー?普通にメッチャ綺麗なお姉さんって感じすよー?それはそれとして、メチャクチャ美味いすねーこれ!」
「みんな、美味しそうに食べてる…。はっ!?私は天才かっ!?」
皆が口にしたものを絶賛しているのを見て、ベルカが羨ましそうにしている。彼女は食べる決心がつかないのか、まだ迷っているようだ。
そして、オムが自分の食べた物に既視感んを感じているのにそれを思い出せないでいる。
目の前ですぐに消えてしまったからな。無理もないか。
と、ここでベルカが何かを思いついたようで自画自賛をしている。
そして受け取る決心がついたのか、私の元まで近づいて来た。
「ノアお姉様!甘いの欲しいです!」
彼女が私の元まで来ると、目を強く瞑って口を開けながら私に頼んできた。
つまり、私が咥えさせればいいんだな?
確か、恋愛小説にあったな。自分の食べ物を自分の匙で意中の相手に食べさせる、通称”あ~ん”と言われているやつだったか。
なるほど。その方法なら見た目を気にせずに味を楽しむこともできるか。考えたじゃないか。
ただ、この光景はどちらかというと、親に食事を求める雛鳥に見えるな。
どちらにせよ、私には何の問題も無いので皆と同じ物を小さじで掬ってベルカの舌にのせる。
「っ!~~~っ!!」
「その味、気に入ったみたいだね。私も気に入ったんだ。また今度取ってこようと思っているよ」
舌に乗った直後、味が伝わってきたのだろう。口を閉じて、とても嬉しそうに顔を綻ばせている。
その表情はまるで幼い子供のようだ。まぁ、元よりベルカの身長は平均的な庸人《ヒュムス》よりも低いので年齢より年下に見られがちなようだが。
とにかく、皆コレの味を気に入ってくれたようで何よりだ。
そしてオムはどうしても私が渡した食べ物の正体が気になるようで、私に答えを聞いてきた。
「それで、この食べ物って結局何なんですか?何故かやたらと身近な物のような気がして仕方が無いんですけど…」
「それはそうだろう。貴方達、3時間ぐらい前までコレを全身に浴びていたのだからね。採取場の中だと暗くて良く分からなかったのかな?」
「んー?全身に浴びてたって…あああーーーーーっ!!」
「っ!?!?!?」
「マジかっ!?あのベタベタってこんなに美味かったのかっ!?ちょっとなめときゃ良かったかも…」
「ノ、ノアさん…。確かに美味かったけどよぉ、それを知った後だとちょっと複雑だぜ…」
「と言うか、ジーンは何で匂いに気付かなかったんすか―!?これ結構甘い匂いがするすよー!」
「無茶いうなよっ!?あんときゃこの匂いだけじゃなかっただろうが!ノアさんが俺達の事全部まとめて綺麗にしてくれた今だから気付けるけど、体臭だのなんだので臭いがごっちゃになってりゃ気づけねえっての!」
今更な話だが、ジーンは狼の因子を持った獣人《ビースター》だ。つまり、本来は嗅覚に優れた種族なのである。
しかし、彼の言う通り長時間の旅を続けたりすれば、当然汗を始めとした老廃物が衣服に付着して臭いの元となる。
アレがそんな状態の衣服と混ざったら、美味そうな匂いなどしないだろうな。甘い匂いだからと言って、良い匂いとは限らないのだ。
そう、私が彼等に提供したのはロプスフォルミガンの腹部に溜められた体液、ビートルシロップである。
真実を知ってベルカは愕然としているし、オムはその答えに何故気付けなかったのかと悔しそうにしている。
ちなみに、ビートルシロップはロプスフォルミガンに限らず、誰でも魔力を浸透させての性質変化が可能だ。それを利用した捕縛用の魔術具などもあるらしい。
ただその場合、味も匂いも変質してしまい、食べられる物ではなくなってしまうのだが。
ベアーはまったく気にしていないようだな。むしろ、全身に浴びてしまった際に少し舐めておけばよかった、と豪気なことを言っているぐらいだ。
「アイツ等ってただの嫌な魔物じゃなかったんですね…。でも、あんなのどうやって回収すれば良いんだ…?」
「ロプスフォルミガンは敵を見つけると、大抵は初手でビートルシロップを浴びせてくるからね。気取られる前に頭部を一撃で破壊するのが、1番手っ取り早い手段じゃないかな?」
「いや、それって”上級《ベテラン》”でも難しいんじゃ…」
「難しいよ?ただでさえあの魔物の腹部はとても破損しやすいからね。実際、ロプスフォルミガンの討伐難易度は『中級《インター》』だけど、ビートルシロップの採取難易度は”星付き《スター》”の依頼だからね。全然難易度が違うんだ」
「大量に手に入ったってことは、気取られる前に一撃で頭部を破壊できたうえに、丸ごと手に入ったってことですよね…?」
「ああ、しかも貴方達が討伐をした後だと言うのに3体も遭遇できてね。1つは冒険者ギルドに卸して、1つは自分用、もう1つは宿泊している宿に卸そうと思っているよ」
「す、すげえ…俺達と同じ”中級”なのに、話の規模が俺達とは雲泥の差だ…。いやまあ、ランク通りの実力じゃないって散々言われてはいたけど」
「実際、ノアお姉様は最上位の冒険者。すぐに”上級”になると思うし、”星付き”にもなる」
「さぁ、糖分補給も済んだことだし、そろそろ移動を開始しようか。歩きながらでも会話はできるのだからね」
流石に事前情報なしでビートルシロップを食べたのは衝撃だったようだが、おかげで少しは落ち着いたようだ。ここからはのんびりと行くとしよう。
それから40分ほどの時間を掛けて王都の城門まで移動する。
その間には勿論、文字を覚えることの重要性や、文字を覚えれ誰でも魔術も覚えられることを伝えておいた。
意外だったのはベルカは文字の読み書きができていたことだった。彼女は村にいる時から教会で文字の読み書きを教わっていて、冒険者になる前から村に住んでいた魔術師から多少の魔術を教わっていたのだと言う。
ただし、彼女も冒険者に憧れる幼い子供だったからか、求める魔術は攻撃用の魔術ばかりで生活を快適にする魔術は覚えようとしなかったし、あるとも思っていなかったようだ。
ベルカに魔術を教えた魔術師よ。何故そこで魔術の便利さをベルカに説かなかったのだ。
まぁ、何でもかんでも人に教わるばかりでは自主性を無くしてしまうからな。これからは自分で魔術を探して覚えていけば良い。
そんなこんなで城門に到着したのは、正午少し前。マーサが笑顔で私達を出迎えてくれた。
街唯一の出入り口の門番をしている以上、お互いの顔も十分に覚えているのだろう。ベアー達もマーサもお互いに親しげだ。
ちなみにベアーはやはりと言うか何というか、初めて王都に来た際にマーサを見かけた途端、マーサを口説こうとしたらしい。筋金入りだな。
結果は勿論ベルカの制裁である。ジーンが[いい加減学べ]と文句を言うのも頷けると言うものだ。
それと、マーサはビートルシロップの存在を知っていたらしく、差し入れに私の拳ほどの大きさの瓶で渡したらとても喜ばれた。
喜んでくれたのは私も嬉しいのだが、これはあくまで差し入れなんだ。代金を払おうとしないでくれ。
そんなやり取りもあったが、無事王都に到着である。
依頼の完了を報告したら、後は王都を自由に満喫しよう!