その次も … その次も …
日本と面会したことのある奴らはみんな見舞いに来たのに、
彼はずっとドアを見つめるばかりで、
ずっと誰かをまっていた。
「 ねぇ 、菊 。君は 、誰を待っているんだい?」
彼の頬を優しく掴んでこちらに向かせるようにした。
「 …やっぱり、何も答えないよね 、
どうしちゃったんだい?菊 、
君は 、戻って来れたんだよ?
もう、日帝じゃないんだ。 菊 。
君は 、桐でも椿でもないんだ。
聞いてよ、ねぇ、菊ってば、
2人とも君の中にいて、2人とも君の目の前には来ないよ、、」
それでも彼はこちらを見つめているが、焦点もあってないし、何を見つめているのかもわからない。
そんな彼に「はっ」として急いで手鏡を彼に見せた。
すると彼は人が変わったみたいに手鏡を奪い取って投げつけた。
彼は、息を荒らげて、過呼吸に近いような呼吸に変化した。
その荒らげた息には「ぁ゛」「ぅ゛」「が」等の
声が濁っていた。
菊が、動いてくれた 。やっと菊が動いた。
嬉しかった。ずっと人形のような彼がやっと動いた 。やっと息を吹き返したように!!!!
もう一度 と、鏡を渡そうとしたがその手はイギリスに邪魔されてしまった。
「…見ただろう?彼がやっと動いたんだ。」
「 お前は 、日本を殺したいのか?」
彼ハ昔カラうルサいヤツだっタ。憎ラシイ奴だ。
「 まサか。殺すワケないダろう?
でも彼はこれデシか動かなi。」
その言葉をさえぎって彼は俺の首を閉めた。
「調子に乗るんじゃねぇよ!!!
お前までイカれちまったか!?」
そこで僕もようやく息を吹き返したんだ。
俺は、なんで彼にこんな酷いことが平然と出来た?
なんで、彼のことを面倒見ると言ったのに、傷つけていた?
なんで僕がこんなことに?
「 Thanks 、イギリス 、、
俺 、 イカれてたよ 、なんでか分からないけど、
彼といると…気が狂いそうになるんだ 。
少し…休むよ 、」
「その間 、俺が面倒見る 。」
「…… OK 、」彼と離れた途端頭痛が酷くなった。
薬を飲んでも全然効かなくてその日は寝れなかった。
「菊 … 土産なんだが、薔薇を持ってきたんだ。
…… 昔 、思い出すだろ?
俺さ 、条約を結びに俺の家まで駆けつけてくれたこと、まじで嬉しかったよ、
今のお前だから言えることだけどさ 。
相棒時代はいい思い出だったんだって、
今でも思うよ、」
「 ……」
「なぁ 、日本 、
なんで 、あんな無茶したんだ?
分かってたろ、あんな事したら負けるってこと
なんで最後まで降参しなかった?
国のためでも、国民のためでもないだろ…?
日本…いや、あれは日帝なのかもしれねぇけどさ、 また昔みたいにお前の意見を聞きたいんだ。
菊 。」
何にも応答は帰ってこなかった。
それに腹が立つことも、悲しむこともなければ
呆れることもないし、笑うこともない。
一方的にぬいぐるみに話しているのと同じだ。
体も冷たいからまさにそんな感覚に陥る。
死んでいるようだ。
みんなあいつに手をつけられないと言うが、本当に手がつけられないのは
こいつなんだ、みんなそれに気づいているが、
誰も、そんなことは言わなかった。
もはや 、彼が菊かどうかも、分からない。
桐なのか、椿なのか。または違うだれかだ。
「… お前の国歌ってさ、すげぇ、いいよな、
戦争のことなんて、武力なんて書かれてない、
平和な( …… き、菊 、?」
彼を褒めようとしたが、彼にはそれ気に食わなかったようで、彼は静かにこちらを睨みつけてきていた。
「わ、悪い、! 嫌な思いにさせるつもりは。」
あれ、でもこいつ……こんな目出来たんだ…。
…頭がイタい、クラクラすル 。
なぁ 、 菊 、笑っテくレヨ 、見たイ。
テセ見二俺 。テ見ヲ俺 …
マズイ 、取ラレル、
気ガツケバ 、彼ハ俺ヲ見テハ怯エテイタ。
「ソンナ二怯エルナヨ 、何デ 、ソンナ顔スルンダ、」
「はっ、」とした。いつの間にか彼の頬を殴りつけていた。菊は怯えた表情でこちらを見ていた。
「…た、けて、、く、さい、、助ッ、助けッ、 」
「気持ちはわかるよ、イギリス、」
「あ゛ッ、痛ッ、、」
「頭痛だろう?それはしばらく治らないよ、」
「なんで、」
「分からないよ。ただ、まるで僕らに必死に抵抗しているように思えるね、
今はそっとしておくのがいいのかもね。」
「…あぁ。1人にさせてこうか、」
あの時 、俺らが出ていかなければ、
彼はまだこの病室でいつものようにドアを見つめていた。
1時間くらい空け、病室に戻ると菊の姿がなかった。
「 菊?」名を呼んでも彼は返事をしないだろう。
あの時のように、どうされましたって、顔をのぞかせて見つめる彼は居ない。
菊に会いたい、壊したのは自分の癖に、
彼にとても会いたいのだ。声を聞きたいんだ。
動けないはずの彼が一体どこへ向かうのだ。
コメント
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別に悲しいわけでもありませんし怖いわけでもない…でもただ不思議なダけですね…