続きです ⚠死ネタ
長いです
あぁ…この感覚久しぶりだ
タイムリミット近づいたらいつも全力で走ってたんだよなぁ
いつも勝ってたんだけどなぁ…
気づくのが遅すぎた
今回は負けるかも
そういえば中也…最近おかしかったよなぁ
なんか…『死』について考えていた…というか
太宰が走っていたのは、屋上へ繋がる階段だ
通常使われることのないその階段は、あるはずのない足跡があった
…中也の足跡だ
ヒュゥ~~~……
パ~~~ッン
花火の音が聞こえた
それは、タイムリミットを伝える音だった………
ガチャ
「ッッ………ハァ…中也」
「……太宰先生」
中也は、屋上にいた
数時間前
中也の短冊には、こう書いていた
『先生と、最期にかくれんぼがしたい』
中也はかくれんぼが好きだった
体力がなくても、本気で遊べる
……病気の中也でも、遊べる
そんな遊びが、大好きだった
いつからか、太宰とやることはなくなったけど
短冊を見て、駆け出した太宰がまず行ったのは、中也の病室だ
…中也はもう、いなかった
「…何処行ったッ………」
それから、至る所を探し回った
トイレの中、机の下、違う子の病室、駐車場……………
何処にもいなかった
約束の時間まであと2分程度
残った場所は……屋上だけだった
鍵がかかってるはず…だが
…太宰は昔の自分を恨んだ
昔、内緒に屋上に入る為に中也の前でピッキングをしてしまった
つまり、中也は屋上の入り方を知っている
「……クソっ!」
残り時間40秒
……間に合う気がしなかった
間に合わなかった
(あぁ……残り数秒だったんだけどなぁ)
「……先生、約束。」
「花火、一緒に見ようよ」
「…………うん」
何度も打ち上がる花火
色とりどりで、綺麗なはず……なのに
どうしても太宰には中也以外、灰色にしか見えなかった
「綺麗ですね」
中也はそう言った
“中也の方が綺麗だよ”
そう言えたら…どれだけ良かったか
無言が続く中、花火は終わった
「……中也…どうして此処に」
「俺、太宰に勝ったの初めてだよな………」
「すげぇ嬉しい」
中也はいつもと違う………いや、
昔の口調でそう言った
「……ッ」
でも1つ違う
昔中也は、こんな愛想笑いしなかった
いつも生き生きとしていた
「…………あぁ…どうしてだっけ?」
「…疲れたから、かな」
予想通りだ…思ってたはずなのに
何故か言葉が出ない
心の中では……否定していたのかもしれない
『こんなの嘘だ』って、『違う』って
「……ッ中也…」
「…………なんで」
「…俺ね、痛いの嫌いなんだ」
「でも小さい頃からずっと叩かれ殴られ蹴られの日々だし、入院したら毎日注射だし」
「…………体調、良くならないし」
「自分の身体だから、自分が1番分かるんだ」
『もう駄目だ』と
「だからね、どうせ死ぬなら楽したいから」
「中也!」
中也の身体がビクッと震えた
「なんで…ッどうして?……今諦めるの?」
「最期まで諦めないで……ッ生きようと思わないの…?」
「……太宰、あのな」
「俺、頑張ったんだ」
……言葉の重みが違う
そうだ、中也は約10年頑張ったんだ
痛みから、恐怖から、病気から
負けないように、いつか勝てる日が来る事を祈って
「でも、頑張った結果がコレ」
「どんどん悪化するし、薬の飲む量は増えるばかりだし」
「まず、なんの病気か分からないし」
「……ねぇ太宰、もう疲れちゃった」
「………神様は、少し休む事も許されないの?」
中也は他の子とは違う
原因不明とか、そういうのじゃない…
心に闇を持っているんだ
それでも、笑顔に振る舞って
看護師からなにを言われようと動じない”強い子”でいて
……自分を、隠して
人に迷惑を掛けないようにしていた
嘘の仮面を、被っていた
ねぇ神様、この世にいるなら聞いて下さい
中也の方がずっと、ずっと辛いはずなのに
どうして私だけが泣いているのですか?
「…あはっ、太宰の泣き顔初めて見た」
中也はどんどんフェンスの方へ進む
「ねぇ…太宰、もし生まれ変わって、また会うことができたら」
中也がフェンスに足を乗せる
「また、遊んでくれる?」
動け、動け
足、動いて、手、どうして掴めない
こんなすぐ近くにいるのに、もう遠くに見えてしまう
嫌だ、どこにも逝かないで、まだ、一緒にいて
そんな事、言わないで
君が、満足するまで、たくさん遊んであげる
なんでもするし、何処にでも行く
それが生き甲斐になるなら、楽しいと思えるなら
だからね
だから
「何処にも……行かないで………ッ」
涙が止まらない
泣きやめない
腕を伸ばせない
情けないなぁ……
大切な人の命を救う事もできなかったのか
医者失格だ
「それは…無理かな」
「俺はもうダメだし、、、でも」
「楽しかったよ、人生。だから」
「……先生は、死なないでね」
どうして?
大切な人がいない世界に、なんの価値があるの?
「俺が唯一、一緒にいて楽しいと思えた人だから」
「こんな俺にも、相手してくれた人だから」
「死ぬのは…勿体ないなぁ……って」
涙で視界が見えない
今中也はどんな顔をしている?
「…太宰………」
「こんな俺にも相手してくれて、ありがとう」
「恩を仇で返すような事してしまってごめんなさい」
「太宰」
またね
うっすら見えた中也の顔は、愛想笑いなんかじゃなかった
心の底から、笑っている顔だった
遠くから、ドンッと…鈍い音が聞こえた
「……ッあ、」
神様、中也はなんでこんなに苦しまなきゃいけなかったのですか
前世、そんなに悪い事をしてしまったのですか
それとも
私のせいですか?
♡➠2500(流石にないよな?)
コメント
11件
まっっじで今リビングで必死に泪堪えてます。 ううううう😭
わーん😭