「それじゃローレルさん、座って待ってて!」
そう言い向こうの部屋に戻る千春、ローレルは椅子に腰かけ扉を見ていた。
「厨房が丸見えですね。」
苦笑いしながら千春が扉の向こうの台所で、動き回っているのを見ながら呟く。
「さーて、ちょっとお腹に溜まるのが良いよねー、あ!サフィーがパン喜んでたしサンドイッチにするかな、えーっと、確か冷蔵庫にホイップ残ってたからー、フルーツサンドにしよう。」
棚からフルーツ缶を出し、パカっと蓋を開ける、中のシロップを容器に入れフルーツはキッチンペーパーの上に置いて水分を取る。
「あとはー、バナナと、あー!苺買っておけばよかったー!でもまだ高いんだよなぁ・・・。」
そう言いながらバナナを籠から出し、冷蔵庫を開ける。
「お、キウイもあったね、コレも入れよ、あとはホイップ~♪」
手際よくキウイの皮を剥くとスライスし、バナナも同じ厚さにスライスする、ちょっと厚めにしておいた、そして食パンを1cmほどにスライスしパンの耳を切り落とす。
「うーし!準備おっけ~」
パンをラップの上に置き、ホイップをパンに塗りたくり、フルーツを均等に並べ上からさらにホイップを塗りたくりサンド、そのままラップに包んで取りあえず冷凍庫にぽいっと入れる。
「何個くらい作ったらいいかな・・・ホイップ全部つかっちゃうかな。」
結局同じ作業を4回やり5セットのフルーツサンドを冷凍庫に入れた。
「お菓子は~、ポテチと板チョコか、板チョコ・・・そのまま出すのもなぁ・・・」
無造作にチョコを取り出しバキバキに割ったチョコを器に入れレンジでチン、ボールに移し砂糖を大さじ1杯、薄力粉を取り出す。
「いーち、にー、さーん・・・・・(3人か、もうちょい作るか)、よーん、ごー」
薄力粉を大さじと言いながら、こんもり大さじでボールに入れる、そしてバターを一かけらぽいっと入れる。
「ざっくりざっくりまぜましてーっと、あれ?クッキングシートどこだっけ?あ、あったあった」
平皿にクッキングシートを並べ適当なサイズに丸めて潰して並べてレンジで3分、簡単クッキーである。
「んーどれに盛り付けようかなー、大皿ないんだよなー」
食器棚をキョロキョロしながら上の段を見る。
「あ!ネズミーランドのトレイあんじゃん、これでいいや!」
そしてトレイにちょっとおしゃれなパーチメントを敷き準備をする、そして冷凍庫に入れたフルーツサンドを取り出し4分割、それを綺麗に並べていく。
「うっし!出来たー!」
千春が台所で色々とやってる時、扉の向こうでは・・・
ガチャ
「お茶をお持ちしました。」
サフィーナがお茶を準備し直し入って来た、そしてその後ろからエンハルトと侍女のモリアン、そして執事長のセバスが並んで入って来た。
「あれ?どうしました?」
ローレルは入って来たエンハルトに声をかけた。
「いや、あの後父上と話をしてな、正式にサフィーナとモリアンを付き人にさせる事にした、それをセバスに話をして挨拶しようとお前の所に行ったらこっちだと聞いて、皆を連れてきた。」
「あぁ、ちょっと小腹が空いたと言う事で、こちらでアフタヌーンティでもとチハルさんが、それで移動してきたんですよ。」
「それで?チハルはあっちか・・・ん?何してんだ?」
「軽く食べれる物を作ってくれるそうです。」
ほう、とエンハルトが思っていると千春がプレートを持って近づいてきた、そして扉を抜けて一言。
「あ、王子様だ来てたの?はい、コレそこ置いといて。」
そう言いながらまた扉の向こうへ行った、その様子を見て皆は口が開いたまま固まっていた、王族を使う、ありえない行動をした千春にだ。
「はっはっは、ココで良いのか?」
エンハルトはテーブルに向かい歩いてくる、すぐに侍女二人が受け取りテーブルに置く、モリアンは扉の前に立ち、次に持ってくるであろう、今向こうで動いている千春を見つめていた。
「はーい次はこれねー、あ、モリアンも来てたんだ一緒に食べよう!はい!置いといてー。」
「はい、有難うございます。」
モリアンは少々笑顔が引きつっていたが、それを受け取りテーブルへ、そうしている間にセバスが人数分の椅子とテーブルを隣の部屋から持ち出し、兵士を使いセッティングしていた。
「おーっと人増えてるね、あ、サフィーこれ紅茶にちょっと入れてみて。」
フルーツ缶詰のシロップを入れたミルクピッチャーをサフィーナに渡す、そして
「んじゃ皆さんどうぞー!簡単な物しかないけど美味しいよー!」
そして皆が椅子に座り侍女二人とセバスは立ったままそれを見ていた、流石に殿下が居る手前一緒に座って食事は遠慮したようだ。
「ほう、コレはパンか?」
そう言いつつフルーツサンドを一つ手に取り食べる。
「!!!!」
「あ、甘いのは大丈夫だった?」
「・・・・・・ああ、大丈夫だコレは美味いな!」
「でっしょー、で、何しに来たの?」
「・・・・・・三人の紹介と挨拶にな」
紅茶を飲み、改めて紹介だと説明する。
「初めまして、執事長を務めさせて頂いておりますセバスと申します、この度陛下より改めてサフィーナ、モリアンをチハル様の付き人としてお世話させて頂くことになりました事と、ご挨拶に参りました、よろしくお願いいたします。」
サフィーナは「えっ?」っと言う顔をしたが、すぐにお辞儀をする、モリアンは先に聞かされて付いてきたようで、微笑みながらお辞儀をした。
「よ、よろしくお願いします?、付き人って何?」
「付き人は付き人だ、チハル専属の侍女って事だ、何かあれば二人に言えば良い。」
「へぇー、なんか偉い人になったみたいだね」
「チハルの今の立場は遠い国の姫くらいの立場だからな、あまり突拍子もない事はしないように気を付けておけよ。」
「は?聞いてないんだけど?」
「まだ言ってなかったからな。」
「・・・・まぁいいや、取りあえずお腹すいたし食べよ?」
(((((いいのか?!)))))
「セバスさんも一緒に食べませんか?」
「いえ、私共は大丈夫で御座います。」
そう言いながらお辞儀をするセバス、ちらっと侍女二人を見ると同じくお辞儀をしている。
「んーーーー・・・セバスさんもサフィーもモリアンも食べなさい!」
「!?」
困った顔をするセバスはエンハルトを見る、そしてエンハルトは。
「そう言う事だ、皆座って食べよう、異世界の食事なんてそう出来るもんじゃないぞ。」
「はい、分りました、それでは二人もご相伴にあずかりましょう。」
「「はい。」」
そして3人も・・いやサフィーナは紅茶を入れていたので二人が取りあえず座る。
「んーー!?」
モリアンがフルーツサンドを一口食べビックリした顔で咀嚼している、セバスも・・無表情で食べている。
「モリアンそれが異世界のパンですよ、柔らかくて美味しいでしょう、チハル様紅茶に先ほど頂いた物を入れておきましたどうぞ。」
サフィーナはモリアンに微笑みながら千春に紅茶を出す。
「サフィーこれ朝食べたのと味が違うからサフィーも食べてみて、あと様付けなくていいから♪」
「頂きます、あと・・・様は・・・。」
「サフィーナ、チハルがそう言ってるんだ、そう呼んでやれば良い。」
「はい、有難うございます、よろしくお願いしますね、チハル。」
エンハルト殿下の前と言う事もあり遠慮していたサフィーナ、もちろん二人の時は気軽に名前で呼ぶつもりではあった、しかしエンハルトも良しと許可を頂いた為、千春に微笑みながら名前を呼んだ。
「このお菓子、まだ熱いですけど今作ったんですか?」
「うん、超簡単チョコクッキー!美味しいでしょ?」
「はい、さっくりとしてとても甘くておいしいです、この焦げてるような所も不思議な甘さでとても・・・。」
「それはチョコレートだよ、こっちには無いのかな?あとはポテチ有るからこれも食べてね」
そう言いながらポテチの袋を側面繋ぎ目から開ける、いわゆるパーティー開けである。
「さぁ!どうぞ!異世界のお菓子を存分にお食べ! あ、足んなかったらまだあるよ!」
アフタヌーンティはまだまだこれからである
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