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第二章 届かない想い 後編
――エリアス視点――
エリアス「…幸せになれ」
口にしたあとで胸がひどく痛んだ
あれが本心だったのかと聞かれたらきっと違う
本当は引き止めたかった
行かないでほしいと叫びたかった
それでもリュカの立場を知っているからこそ
そんな言葉は飲み込むしかなかった
俺は騎士だ
王族であるリュカを支えることが役目で
その未来を困らせる存在になってはいけない
だから笑った
精一杯、何事もないように
だけどリュカが背を向けた瞬間
その笑顔は跡形もなく消えていた
部屋へ戻って剣を壁に立て掛けた
訓練を終えた日はいつもなら充実感が残る
今日は何も感じなかった
椅子に腰を下ろしても落ち着かず
立ち上がって窓辺に向かう
それでも胸の苦しさは消えない
エリアス「…情けないな」
幼い頃から一緒に過ごしてきた
泣き虫だったリュカは転ぶたびに俺の服を握って泣いていた
笑顔を見せてくれた日は
自分のことのように嬉しかった
熱を出せば眠れない夜を過ごし
剣を習い始めた日は絶対に守れる騎士になると心に決めた
全部、昨日のことみたいに思い出せる
なのに
これから先、その隣に立つのは俺じゃない
その現実が胸を締めつけた
机の引き出しを開けると一枚の紙が目に入る
真っ白な便箋
何気なく手に取り羽根ペンを握る
書きたいことは山ほどある
それなのに、最初の一文字が出てこない
“リュカへ”
そこまで書いて手が止まる
今さら何を書けばいい
好きだと伝えたところで何が変わる
リュカを困らせるだけじゃないか
ペンを置こうとした、その時
頭の中に幼い頃の約束が浮かんだ
リュカ「大人になってもずっと友達だよ!」
まだ小さかったリュカが無邪気に笑いながら差し出した手
エリアス「約束」
俺はその小さな手を握り返して笑った
エリアス「もちろん」
あの日は未来なんて何も考えていなかった
ただ一緒にいられることが嬉しかった
エリアス「約束、守れそうにないな」
視界が滲む
友達のまま見送ることなんて
もうできそうになかった
リュカは俺にとってかけがえのない存在になってしまったから
もう一度、便箋に視線を落とす
今度は迷わずペンを走らせた
伝えられなかった想い
幼い頃の思い出
街に行く約束
全部、書こう
口では言えなかったとしても
この手紙だけは嘘をつきたくない
リュカが読む日は来ないかもしれない
それでもいい
せめてこの想いだけは形に残しておきたかった
書き終えた便箋を折りたたんで封筒にしまう
封を閉じる前に一度だけ読み返した
最後の一文に目が止まる
“君が笑っていられるなら、それだけでいい”
最後まで強がっている
本当は違う
笑顔の隣にいたい
その願いは叶わないと分かっているから
こんな言葉しか書けなかった
封筒を大切に胸に抱く
これは恋文なんかじゃない
届くことのない、俺自身へのけじめだ
そう思い込もうとしていた
けれど、その数日後
この一通の手紙が俺たちの運命を大きく動かすことになるなんて
この時の俺はまだ何も知らなかった
・
氷雨薇天🎀
#イラスト
#オリキャラ
#オリキャラ注意
瑞浪(みずは)
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コメント
1件
うわああああエリアス視点キタ――!!😭💔 「幸せになれ」って言いながら本当は引き止めたくて、でも立場とか未来とか考えて笑顔で送り出すところ…もう胸が痛すぎるよ…。幼い頃の約束を思い出しながら「守れそうにない」って呟くシーン、涙腺崩壊した。 手紙を書く場面、特に「君が笑っていられるなら、それだけでいい」って最後の一文がめちゃくちゃエリアスらしくて、でも届かない恋文だって分かってるのに書かずにいられなかった心情が痛いほど伝わってきた…。 この手紙が運命を動かすっていう伏線、もう続きが気になって仕方ない!!次話も絶対読むからね!!✨