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狐拍梨杏
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nmmn注意
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左右非固定相手固定
ご本人さまには関係ございません
捏造注意
まえがき
ゆなゆたです。
ああ……スパイ大作戦……(亡霊)
目鐘さんがすきです。あの世界軸のもふどぬを妄想しては萌えているので、近いうちに設定だけ盗んだパロ書くかも。
さて、本編ですが、今回からがっつりかぷかぷさせたい(希望)とおもいますので、よろしくお願いします。
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桜の木の下で
暦で春になったとはいえ、寒さがまだ残る三月中旬。細かく言うと、三月十三日のお昼。俺は目の前にある、丁寧にラッピングされたチョコレートとにらめっこしていた。
「うう~~……」
チョコレートを置いて、持って、また置いて。こうして何時間経っただろう。俺がこうなった全ての原因はもふくんのせいにある。遡るのはバレンタインの日。もふくんはいつものように何気なく神社にやってきた。
あの日は今よりもいくらか寒くて、雪が降っていた。もふくんと一緒にカイロで──この頃には二人で一つのカイロを使うのはもう当たり前のことになっていたなあ──あたたまって、もふくんと出会って何度目かの雪にまみれた桜を見て、綺麗だねと優しく笑う語りかけてくるもふくんにに心臓を跳ねさせた記憶がある。その後もたくさん遊んで……って、そうじゃなくて。
日がすっかり沈んで辺りが暗くなった頃、もふくんがそっと鞄から何かを取り出した。俺はバレンタインのことをすっかり忘れていたので、
「それなあに? 今日ってなんかあったっけ」
と言ってしまった。すぐに聞こえた、ははっと小さく笑う声は、馬鹿にしているような雰囲気ではなくて、俺はほっと息をつく。もふくんは優しい、穏やかな声で、こう言った。
「今日はバレンタイン。これは、好きな人にあげるもの」
それで俺は、今日が何の日か思い出した。神様になって随分経っていたから、曜日とか日付の感覚、イベント等の日にちがわかりづらくなっていたのかもしれない。絶対覚えている自信があるものなんて、もふくんの誕生日くらいだ。
それにしても、好きなひとにあげるもの、かあ。……少し胸が痛むのは、仕方ないとおもう。だっていくらまじないをかけたとは言っても、絶対にもふくんが俺のことを好きになってくれるかはわからないし。そもそも彼女とかがいるかもしれない。
そんな俺の女々しい考えは、あるひとつの行動によって吹っ飛んだ。
いきなり、もふくんがその箱を俺に差し出したんだ。
「……え」
「ハッピーバレンタイン、どぬちゃん。……俺の好きな人」
ばか、とか、キザだねとか、言えたことはたくさんあっただろうに、恥ずかしくて恥ずかしくて、そんなことすら言えない。ただ、あ、う、と口をぱくぱくさせることしかできなかった。そんな俺をもふくんはまた笑って、こう付け足す。
「来月のホワイトデーに、返事待ってるから」
その時にこれの感想も聞かせて。そう言って俺の手にラッピングされたチョコレートを手渡して、もふくんは去っていった。
その日から、もふくんとは会えていない。もふくんが神社に来ない、という方が正しいかな。
俺は神社から出られないから、もふくんの家にもいけない。ちゃんと加護はつけているし、神様パワーでどうにかすればもふくんの様子くらいは見られるけど、余計会いたくなってしまうだけだから見ていない。
それに、俺が会いたくないのもあった。
どんな顔をすればいいか、わからないから。それに……まじないのせいだったら。全てまじないのせいで、もふくんはまじないをかけられたから俺に惹かれていて、俺自身には。
自分がかけたのに何をいまさら、とおもうのだけれど、やっぱり苦しいものは苦しい。
もう一回、チョコレートを持ち上げる。春を感じる、寒さにあたたかさを交えた風が、髪を撫でた。感想を教えて。そう言われたけれど、いまの俺がもふくんの想いをまともに受け止められる気がしない。
もふくんがおもっているより、俺はいい子の神様じゃないから。
お返しは、二個用意してある。どちらを渡すか、ずっと迷っている。金平糖と、クッキー。金平糖を渡すなら、全て話さなければならない。クッキーを渡すなら、なにも話さない。このまま生ぬるい、心地よい関係を続ける。
「まだ話したくない、けど。クッキーだと、もふくんを傷つけちゃう」
指で袋越しにチョコレートをなぞる。ぱり、と、包装紙が音を立てた。
「どちらにせよ、これは食べないと、だよね」
もふくんは、俺に合わせてくれると言っている。チョコレートの意味は、あなたとおなじ気持ち。俺がどんな答えを出しても、きっともふくんはそばにいてくれるのだろう。その気遣いが、その勇気が、優しくて、嬉しくて、切ない。
「あーもう! こうなったらやけだ!!」
ラッピングをほどいて、ぱくり、とチョコレートを口に含む。苦くて甘いとろける味が、口内に広がった。
ーー
気がつけば、桜の香りに包まれていた。
ああ、これは夢だ。最近はもう、わかるようになってきた。ここ一ヶ月ほど、どぬちゃんとは会えていないうえに、毎日毎日彼の夢を見ているから。俺の知らないどぬちゃんと色んなことをして過ごす夢を。
でも今日は、いつもと少し違った。夢の中で会うどぬちゃんは、今のどぬちゃんと少し違う。幼くて、とにかく無邪気だ。だけれど、目の前にいるのは俺の知っているのどぬちゃんそっくりだった。
ふとした瞬間に見せた、大人びていて、儚げで、消えてしまいそうな表情。それは俺の記憶の中にあるものだった。
俺たちはいつしかした、会話をなぞっていく。
恋愛成就の桜の木の下にレジャーシートを広げる。いつかどぬちゃんが言った俺としたというお花見の話をしてないよ、と否定したら、してないならしようよ!と言われたのだ。
色んな話をしていると、どぬちゃんがこんな話題を切り出してきた。
「ねえもふくん、桜の木の下って何があるか知ってる?」
有名な話だ。知ってはいたけれど、なんとなくどぬちゃんの話が聞きたくて、
「知らないな」
と嘘をついた。その嘘を知ってか知らないでか、彼は続ける。
「死体があるんだよ」
なんだかそう話す口調が妙にリアルっぽくて、俺は黙ってしまう。どぬちゃんは、ああ、そうだ、彼は神様だった、などと当たり前のことを思わせるような、言葉に表しにくい顔をしていた。彼は俺をしばらく見つめたあと、
「なんてね! もふくんこの話知ってたでしょ」
そう笑って言い当てる。いつもの雰囲気に戻ったどぬちゃんに安心して、俺も笑って話を続けた。
ーー
三月十四日。ホワイトデー。一ヶ月前の今、俺は少し勇気を出した。その勇気の結果がどうなったのか、今日決まる。緊張はしているけれど、それよりも。こうやってどぬちゃんと久しぶりに会えるのが嬉しい。
軽い足取りで長い石階段を上って、赤い鳥居をくぐって。恋愛成就の木の近くにあるベンチのところまで行って、一ヶ月前のように、
「来たよ、どぬちゃん」
そう声をかけた。しばらく待つと、懐かしい声が返ってくる。
「久しぶり、もふくん」
どこからかパッと現れたどぬちゃんは狐耳が垂れていて、どことなく切なげで……。どぬちゃんと最初に出会った日の、夕暮れでの顔を思い出した。
ベンチに腰掛ける。隣をぽんぽん、とたたくと、どぬちゃんが遠慮がちに座った。
「早速なんだけどさ、どぬちゃんの答えをもらってもいい?」
俺は浮わついた気持ちを抑え、なるべく安心させられるように、努めて落ち着いた声で問う。せっかく久しぶりに会えたのだから、しばらく遊んでもよかったのだけれど。そうしてしまうと、もうこの話は出来ない気がしたから。
どぬちゃんは右に左に視線を彷徨わせたあと、こくりとうなずく。
「俺の答えは……」
そう言ってどぬちゃんが差し出したものを見て、俺は目を丸くした。
それは────、だったから。どぬちゃんは続けて、こう言った。
「……話さなきゃいけないことが、あるんだ」
ーー
五話に続く
コメント
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スパイのパロ…!mfdnか!? どちらも気になる、書き方うまいですね!
めっちゃ面白かったです!続き待ってます!