🧹 動物たちの引き出し
魔女と動物を繋ぐ仲人屋が母、フレイヤこと魔女ママに認められたのはつい先日のこと。許可をもらってからあれやこれやと色々と悩んでいました。「セレネ。店っていうかなんていうかさ、なんか建てる?」「建てなくていいんじゃない?仲人なんだから色々なところ行くでしょ?」作るなら事務所みたいなのがいいと思う、と、セレネはいいました。「絶対魔女ママの近くがいいよ。セレネ」「それは知ってるよ。実はさ…」「ん?」「もう、お客さんいるんだ」「ほええええ?え、あ、えええ?」コアは驚いて乗っていた棚から滑り落ちてしまった。「コア?大丈夫?」「いやいや。こっちのセリフ。もうお客さんいるの?」「あ、うん。」昨日、魔女ママにやりたいことを宣言すると、その夜、コアが眠ったころに呼ばれ、あれやこれやと話がまとまり、お得意の千里眼で、近所に住む8歳の少女のパートナーを見つけることになったのです。「それ、ほんと?」コアがげっそりとした声でいいました。「嘘つかないわよ」ツンと口を尖らせると、セレネはふと真顔になった。「と、いうことで仕事です」「でさ、動物はどうするの?」「そりゃ引き取るのよ。何匹か。」「その子がパートナーじゃなかったら?」コアの質問にセレネはにやっとしました。「ママがすでに手を回してるよ」「ほんと?」「だからほんとだってば」「動物いつ引き出すの?」引き出すというのは動物を引き取るということです。「もちろん、今日よ」「そう言うと思ったよ。セレネ。」コアは笑ってセレネの肩に飛び乗りました。「今は朝だ。早く行こう」そう言って二人はほうきを掴んで飛び出した。
1時間後「ふう。とりあえず今いた犬猫すべて引き取ってきたわ」「おつかれさん。セレネ。」
今、保健所に行って今いる犬猫をすべて引き出してきたのだ。おかげで家についたとたん、ほうきがボキッと音を立てて折れた。だから魔女ママは用意していた新しいほうきをくれた。
「名前をつけようか?」「うん!そうしよう!」コアの声は弾んでいました。
ブラック・タンのオスの子犬「ファク」、茶色の子犬のメス、「ララ」、白黒の人に慣れているメスの大人の猫「ポーシー」、オスのキジ白猫、「ケイラ」、同じくキジ白のメス、「セーパー」だ。
「この子達の中にいなかったらどうするつもり?」「別のところに行く。」「そんなてきとうな」「適当じゃないわよ」「まあとりあえずママが地下の小部屋を貸してくれたからさ。そこに行こう」「へーい」
地下に降りていくと、書庫の扉が閉まっていた。そしてその隣に、開いている扉があった。「ここ」そう言ってセレネは中に入った。もちろんコアも後を追った。
「ずいぶんきれいな部屋だね」コアのその言葉通り、中はとてもきれいだった。白い壁が目立っており、思ったよりずいぶん広かった。「セレネ。ここに動物たちを連れてこよう」コアはとっとっとっと階段を登った。
ケージをセットし、それぞれ動物たちを入れて、真新しい首輪もつけた。「お客さんって誰?」「それはあたしにもわかんない。ママに聞かないと」そういうなり、セレネは茶色いノートとペンを持って一階へ上がって行った。
コメント
74件