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【はじめに】
こちらnmmnを取り扱っている作品です。
非常にデリケートな界隈となっております。
スクリーンショット・コピペ等、どのような手段であろうと、**第三者またはSNSへの拡散は禁止**とさせていただきます。
拡散行為を確認した場合、**即刻このアカウントごと削除**いたします。
ご理解頂けると幸いです。
⚠️nmmn⚠️
⚠️fwak⚠️
fwの喫煙描写あり。キス描写あり。
【三枝side】
「俺、煙草吸ってるから。」
彼は毎度そう言った。
恋人というものは、唇を重ね、甘く触れ合うものではないのか。俺には、まだその経験がなかった。
喫煙してるから、と彼は拒み続けた。その理屈の前では、欲望もただの衝動に過ぎなかった。
だがある日、痺れを切らした俺は自ら仕掛けた。
彼の口腔内には煙草の苦く、焦げたような香ばしさが充満していた。舌が一瞬怖気づいたその刹那、彼は躊躇なく俺の口に入ってきた。
子供が美味しいお菓子を夢中で頬張るように、彼は俺を味わったのだ。
【不破side】
あれは、同業の先輩に勧められた一度の煙草がきっかけだった。
最初は咳き込み、何が楽しいのか不思議に思ったものだ。しかし、人は慣れる。
吸うことで得られる微かな安堵と快楽は、次第に身体に沁み込みやがて日常の一部となった。
仕事柄、匂いを纏うわけにはいかず手入れは怠らなかった。だが、それでも苦しかった。
なによりも辛いのは、恋人と唇を重ねられないことだ。
正確に言えばできる。しかし、舌に残る煙草の味はどれだけ洗っても消え去ることはなかった。
「煙草吸ってるから。」
その言葉で拒み続けていた。
なのにある日突然、彼は俺の唇を奪った。
その瞬間、甘さが胸に染み渡る。
どうしてこんなにも甘く感じるのか。美味しい。もっと、欲しい。
【三枝side】
胸が苦しくなり思わず彼の胸板を叩いた。
彼はハッと顔を上げ、唇を離す。
二人の間には銀色の糸が張られ、今交わした行為を静かに映しているみたいで少し恥ずかしくなった。
「急にごめん。」
その言葉を残して俺は部屋を出た。
初めてにしては、悪くなかった。
最初は苦く、怖気づいた味も、次第に痺れるような快楽へと変わっていった。
夏の夕暮れ。ベランダで煙草をくわえる彼を、ドア越しに見つめる。
カチリ、と小さくライターが火花を散らす音。炎を吸い込む横顔に、心臓が小さく弾く。
あれから俺もあっちも、行為について触れないまま。
それでも、俺は忘れられなかった。あの痺れる苦味を、もっと味わいたかった。
煙草を口から離し、ゆっくりと煙を吐き出す。今だ。
椅子から立ち、部屋を抜けてベランダへ向かう。
彼は気付き、低く囁く。
「んぁ、今吸ってるからくさいで?」
言葉を無視して俺は手を伸ばす。
かつて避けていた苦味に、今は触れたくて仕方がなかった。
肩に手を置き、踵を上げる。躊躇いなく唇を重ねると苦く、香ばしい味が口腔に広がった。
長く求め続けた味に、止まることを忘れる。
下手でも、舌を絡ませるたびに感じるその苦味がどうしようもなく愛おしくなる。
驚きの表情を浮かべた彼もやがて理解し、舌を絡め返す。互いの味を味わう不思議な感覚。
唇が離れ、肩で息をして。
「明那、急にどしたん?」
迷いながらも、答えた。
「おれ、ふわっちの口すき。苦くて…おいしい。」
彼は微かに笑い、言った。
「俺も明那の甘い口大好き。」
灰皿に置かれた煙草の音が、ベランダに静かに響く。
互いの顔は近く、吐息は混ざり合い、言葉なくしても心は熱を帯びたままだった。
紫に染まる髪の彼が小さく囁く。
「……また、する?」
「うん、したい。」
苦味と甘味の間で、二つの心臓はひとつのように高鳴った。その夜の匂いと味は、忘れられない記憶として、深く刻まれた。