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#キャラ崩壊
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閉店間際のカフェ。
客はほとんどいない。
潔はカウンターの中で、明日の仕込みについてメモをしていた。
そのとき。
カラン――。
ドアベルが鳴った。
潔「いらっしゃいませ――」
顔を上げた潔が、少しだけ固まる。
潔「……バニー」
バニー「久しぶり」
バニー・イグレシアス。
かつて潔がエージェントとして担当していた選手だった。
潔「……何しに来たの?」
バニー「客として来たら駄目?」
潔「いや」
潔は視線を逸らす。
潔「好きにして」
バニー「相変わらず冷たいね」
潔「普通だよ」
バニーは笑いながら、カウンター席に座った。
バニー「コーヒー」
潔「了解」
潔はいつも通りにコーヒーを淹れる。
カップを置く。
潔「どうぞ」
バニー「ありがとう」
バニーはカップを手に取る。
けれど、コーヒーにはほとんど口をつけない。
視線だけが潔を追っている。
潔は気づいていた。
潔「……何?」
バニー「何が?」
潔「さっきからずっと見てる」
バニー「見てた?」
潔「見てる」
バニーは少し笑った。
バニー「昔から変わらないね」
潔「何が?」
バニー「そういうところ」
潔「……?」
バニー「自分がどれだけ人の目を引くのか、全然分かってない」
潔は困ったように眉を寄せる。
潔「仕事してるだけだけど」
バニー「今は?」
潔「カフェの店長」
バニー「知ってる」
バニーは少し黙る。
そして、ぽつりと言った。
バニー「……エージェント、辞めるって聞いたとき」
潔の手が止まった。
バニー「正直、かなり嫌だった」
潔「そう」
バニー「もっと俺のこと見ててほしかった」
潔は答えない。
バニーは続ける。
バニー「移籍の話をするときも、契約の話をするときも、いつも俺のことをちゃんと見てた」
潔「それが仕事だったから」
バニー「分かってる」
即答だった。
バニー「だから余計に困った」
潔「……」
バニー「仕事じゃなくなったら、俺は潔に会う理由がなくなったから」
潔は少しだけ目を伏せた。
潔「バニー」
バニー「うん?」
潔「俺はエージェントを辞めただけで、別にお前を嫌いになったわけじゃないよ」
バニーが黙る。
潔「でも、今は選手とエージェントっていう関係じゃない」
バニー「分かってる」
潔「だから――」
バニー「分かってるって」
バニーが笑う。
ただ、その笑顔には少しだけ寂しさがあった。
バニー「分かってるけどさ」
バニーはカップを置いた。
バニー「俺はまだ、潔に会いたいんだよ」
潔は何も言わない。
バニー「カフェを始めたって聞いたとき、最初に思った」
潔「何を?」
バニー「……また会える場所ができた、って」
潔が少し困った顔をする。
潔「だからって、仕事の邪魔はしないでよ」
バニー「しないよ」
潔「本当に?」
バニー「たぶん」
潔「信用できない」
バニー「ひどいな」
二人の間に、微妙な沈黙が落ちる。
昔なら、こんな空気にはならなかった。
移籍の話をして。
試合の話をして。
将来の話をして。
もっと普通に話せていた。
けれど今は違う。
潔がエージェントを辞めたことで、二人の間にあった明確な関係は消えてしまった。
それでも。
バニーの中には、消えないものが残っている。
バニー「……潔」
潔「ん?」
バニー「俺、たぶんこれからもここ来るよ」
潔「別にいいけど」
バニー「迷惑?」
潔「客なら歓迎する」
バニー「じゃあ、客として来る」
バニーはそう言って立ち上がった。
会計を済ませる。
そして店を出る直前、振り返った。
バニー「潔」
潔「何?」
バニー「次来たとき、もうちょっと話してよ」
潔は少しだけ考えて、
潔「……暇だったらね」
バニー「それでいい」
バニーは笑った。
カラン――。
扉が閉まる。
潔はその背中を見送る。
潔「……昔より面倒になったな」
カウンターの奥から澪が顔を出した。
澪「店長」
潔「ん?」
澪「……あの人、店長のことかなり気にしてません?」
潔「そう?」
澪「そうですよ」
潔は少し考えた。
潔「まあ……昔からそういうところはあったけど」
澪「昔から?」
潔「うん」
そして潔は、いつものようにカウンターを拭き始める。
ただ――
今日からしばらく、閉店間際になると。
カラン、と鳴るドアベルの音に、
潔「……また来た?」
と思ってしまうようになった。
コメント
1件
第4話、めっちゃ良かった……🥀 バニー、潔のことまだちゃんと手放せてないんだね。「会う理由がなくなった」って言葉に寂しさと執着が詰まってて、逆に潔が「嫌いになったわけじゃない」って言ったときの2人の距離感がすごく切なかった。客として通うって決めたバニー、ずるいなあ。閉店間際のカフェ、これからどうなるんだろう。澪のツッコミも好きだよ🌙