テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
287
31,990
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
朝。
シェアハウスのリビングは珍しく静かだった。
いつもなら朝からツッコミを飛ばしているたっつんが、今日はソファにもいない。
メンバーたちが不思議そうに顔を見合わせる。
「……たっつんさんまだ寝てる?」
「珍しいね〜」
すると階段の方から、じゃぱぱが降りてきた。
でもいつもと少し違う。
「じゃぱぱ、たっつんは?」
ゆあんが聞くと、じゃぱぱは少し困ったみたいに笑った。
「熱出してる」
一瞬で空気が変わる。
「え!?」
「大丈夫なん!?」
じゃぱぱは小さく頷いた。
「さっき測ったら結構熱あった。今日は休ませる」
その言い方が完全に“彼氏”で、みんな一瞬静かになる。
でも次の瞬間。
「看病イベントやん……」
「不謹慎だけど尊い」
「お前ら静かにー」
じゃぱぱのツッコミが飛ぶ。
でも耳は少し赤かった。
⸻
部屋。
カーテンは閉められていて、少し薄暗い。
ベッドの上では、たっつんが毛布にくるまっていた。
「……ん……」
苦しそうに目を開ける。
頭が重い。
するとすぐ隣から、優しい声が聞こえた。
「起きた?」
じゃぱぱだった。
たっつんの額にそっと手を当てる。
「まだ熱いな……」
その手がひんやりして気持ちいい。
たっつんはぼんやりした頭のまま、小さく呟いた。
「……お前、撮影は」
「今日はいい」
「よくないやろ……」
「たっつんの方が大事」
どくん。
熱のせいだけじゃなく心臓がうるさい。
たっつんが顔を背けると、じゃぱぱが少し笑った。
「照れる元気あるなら安心かも」
「うるさい……」
声も少し弱い。
じゃぱぱは優しく笑ってから、水の入ったコップを差し出した。
「飲める?」
「……ん」
身体を起こそうとした瞬間。
ふらっと揺れる。
「わっ」
そのままじゃぱぱが支えた。
近い。
熱でぼーっとしてるせいか、いつもより距離感がおかしい。
たっつんはじゃぱぱの肩に寄りかかったまま、小さく息をついた。
「……しんど」
その瞬間、じゃぱぱの表情が少しだけ切なくなる。
「無理しなくていいよ」
すごく優しい声。
たっつんはそのまま水を飲む。
するとじゃぱぱが、子供をあやすみたいに背中をゆっくり撫でた。
「えらいえらい」
「……子供扱いすんな」
「でも今いつもより素直」
「熱のせいや……」
弱々しい反論に、じゃぱぱがふっと笑う。
そして飲み終わると、またそっと横に寝かせて毛布を直した。
「寝てな」
「……おる?」
たっつん自身、言ったあとで固まった。
完全に無意識だった。
じゃぱぱも一瞬目を丸くする。
でも次の瞬間、とろけそうなくらい優しく笑った。
「うん。いる」
その声を聞いた瞬間。
たっつんは安心したみたいに、ゆっくり目を閉じる。
するとじゃぱぱが、そっと髪を撫でながら小さく呟いた。
「……かわいすぎる」
「……聞こえてる」
「わざと」
「……ばか」
でもその声は、いつもよりずっと柔らかかった。
じゃぱぱはそんなたっつんを見ながら、眠るまでずっと隣で手を握っていた。