皆さんこれがラストですよ。
次からは多分テスト明けに出ます。
注意事項は1話へ。
唾切
「…油断させるつもりなら意味は無いよ。」
その声は低く、確信に満ちていた。
四季
「お前が油断するとか無さすぎて笑えねぇわw
…俺はただ本当に、桃太郎と…お前と話したいだけだ。」
軽口に聞こえるが、四季の眼差しは真剣そのものだった。
唾切
「話して何になるんだ?
話したところで何も変わらないじゃないか。」
短く冷たい返答。
積み重ねた不信が滲む。
四季
「…そうかもしれねぇ…
だけど、少しでも話す気があるなら話そうぜ?
俺たち鬼と、お前たち桃の未来を。」
沈黙が流れる。
唾切は驚いた表情をしている。
しかし、その表情はすぐに崩れ去り、沈黙を破った。
唾切
「くくッ…はははッ!!w
鬼と桃の未来だと?笑わせるな!
鬼はいるだけで人間のことを怖がらせる!」
嘲笑と共に吐き捨てる。
その言葉には迷いがないとともに、正しさが四季の胸を貫く。
唾切
「一緒に暮らせると思ったら大間違いさッ!」
四季
「…そうか…」
(…怖がらせる、か…
確かに、鬼は暴走しちまう。
血の制御が出来ないせいでな…
俺も、そこはまだまだだ…)
四季の胸に、鬼としての現実が重く響く。
唾切
「話したいことはそれだけかい?」
四季
「あぁ、それだけだよ。
この一つの解答で、お前が本当に鬼が嫌いなことが分かったよ…
…お前とは、少し分かり合えるかもって思ったんだけどな…」
届かぬ想い。
分かり合う可能性は消え去った。
唾切
「そうか、残念だったな。」
四季
「だから、さよならだ唾切。」指切
〝血蝕解放。銃葬神器。〟
血が弾ける。
戦いの幕が、ついに開いた。
唾切
「さよなら、か…
死ぬのは君の方じゃないかな?」
カパッ…(棺桶開
棺が開く音が響く。
四季
「…やっぱお前は、仲間想いのいいヤツだよなぁ…」
唾切
「…ははッ、どういうつもりだい?」
四季
「仲間を、死んだヤツを想えるのは極僅かだ。
そんな数少ない人材を殺すのは惜しいなって思っただけだ。」
あくまでこれは1人の〝人〟としての意見。
敵を前にしてもなお、四季は感じた想いを直球に伝えた。
唾切
「そうか。仲間を想うなんて当たり前のことだと思うけど?」
四季
「その当たり前を出来るのが凄いことだ。
…俺ら鬼は暴走してその当たり前が出来なくなる。
これこそが桃と人との壁だ…」
唾切
「そうだ。鬼とは一緒に居られない。」
四季
「…そうだよな…
少しでも話せて良かったよ。」
ボワッ…(炎
炎が立ち昇る。
それは四季が背負う血の力の証だった。
四季
「俺は…俺“ら”はこれから、この壁を乗り越えていく。
だから、じゃあなッ!」
ドーンッッ!!!!(銃声
轟音が響き、唾切の悲鳴が重なる。
唾切
「ぐぁぁあぁッ!!!」
そして、唾切の身体が崩れ落ちる。
四季
「……」
(…これで良かったんだよな…
判断は、間違えてない、よな…)
蓬
「…!なんの音だ、?」
暗闇を切り裂く微かな音に、蓬の体が瞬時に硬直する。
突如として戦場の空気は緊張に変わった。
迅
「四季か?」
皇后崎の瞳が鋭く光る。
微かに立ち上る炎の気配を捉え、戦闘の兆しを察知している。
碇
「ぽいなぁ。
あいつ炎纏ってんぞ?」
赤い炎が四季を包む。
それは禍々しい程燃えていた。
迅
「……」
皇后崎は言葉を飲み込み、状況を分析する。
目に映る炎の揺らめきが、本当に一ノ瀬四季から出たものなのかと。
蓬
「、先輩…」
声がわずかに震える。心臓の鼓動が耳にまで響き、緊張が全身を貫く。
四季
「…皇后崎、その桃も殺せ。」
(あの桃も多分唾切と同じ考え。
だから副隊長に上り詰めた、はず…
話し合いの場に、話を聞かないやつはいらない。)
迅
「…!あぁ。」
蓬
「ッ、ちっ…」逃
蓬の足が反射的に動く。逃げる以外の選択肢が頭に浮かばない。
碇
「おい逃げるなよッ!」
四季
「いいよ、逃がしとけ。」
碇
「…ちっ…」
矢颪の瞳が逃げた桃太郎を追う。
捕まえたいという焦りと、今はそれが無理だという現実の板挟みで心が揺れる。
無人
「四季ッ!」
四季
「ぁ、むだ先!」
無人
「唾切はやったのか?」
四季
「あぁ。話は多分聞いてくれてた。
けど…」
無人
「…そうか。
死者は?」
四季
「むだ先のお陰でいないぜ!
やっぱ流石だな!」
無人
「そうか。」安
短い安堵が戦場の空気に染み込む。
無陀野は表情すら変えないが、どこか安心していた。
京夜
「…だのっち!!」
無人
「京夜か。
怪我人は?」
京夜
「だのっちと四季君のお陰で少なめで済んだよ。」
四季
「よかったな!チャラ先!」
京夜
「うん、四季君のおかげだよ。
ありがとね。」微笑
微笑みが、空気をわずかに柔らかくする。
仲間の存在が、胸に静かな安堵を運んできた。
四季
「…ッ、お、おう…」照
迅
「おい四季。」
四季
「なんだ?」
迅
「お前人生がどうのって言ってたよな?」
皇后崎が確認をするように四季に問う。
四季は不思議そうに答える。
四季
「え、言ったけど…」
迅
「お前の武器は銃だろ?
あの炎はなんだ?」
四季
「あぁ…」
水鶏
「炎?」
その場にいなかった者5人が首を傾げる。
四季
「それは鬼神の力だ。」
碇
「鬼神?」
無人
「かつて桃太郎機関を壊滅寸前まで追い込んだ鬼。
それが鬼神だ。」
京夜
「その鬼神が生んだ子供が鬼神の子だよ。」
帆稀
「ぇ、でもそれじゃそこら中にいることになるんじゃ…」
無人
「いや、正確には鬼神の力を受け継いだ鬼が鬼神の子だ。」
従児
「つまり能力を受け継がなかった鬼もいると?」
無人
「そうだ。むしろ受け継がなかった鬼の方が遥かに多い。」
ロクロ
「遥かにってことは鬼神の子は1人じゃないってこと、ですか?」
無人
「あぁ。鬼神の子は昔から必ず8人生まれる。
四季はそのうちの1人、炎鬼だ。」
力を背負うことの意味、責任、未来への重さ。
四季はそれを深く理解する。
8人の鬼神の子と言う数少ない鬼として。
ロクロ
「8人ってことは炎以外の子もいるってことですよね…?」
京夜
「そういうこと。
鬼神の子には、『炎・氷・水・風・雷・土・闇・光』がある。」
無人
「人生が2回目で鬼神の力もある分、お前らより力は明らかに上だ。」
迅
「実力が上とか関係ねぇよ。
頭が使えなきゃ意味ねぇだろ。」
四季
「なッ…、てめぇ喧嘩売ってんなッ?」怒
迅
「だったらなんだ?
こんな事でキレてっとこれからが不安だな。」
四季
「はっ、その喧嘩買ってやるよッ!」
2人の言い合いに無陀野はため息をつく。
無人
「無駄話はするな。
それに四季、皇后崎の言う通りだ。
すぐ挑発に乗るようじゃ、これから先どうなるか分からないぞ。」
四季
「ちっ…わかってますよ~…」
京夜
「まあまあ…とりあえず今日は休みなよ。」
無人
「そうだな。」
京夜
「各自部屋用意するから好きに使ってね~」
四季
「俺も一人部屋だよな?」
無人
「いや、四季には色々先の事を教えてもらう。
だから俺と京夜と同室だ。」
四季
「…まじかよ…」
四季
「…京都の後は練馬…
…神門だよなぁ…」
京夜
「え、四季君たち次練馬行くの?!」
四季
「あぁ、そうだ!」
京夜
「いいなぁ~!
あ、俺も行こっかな~!」
無人
「お前は京都支部の医療部隊だろ。」
京夜
「でも~!」
四季
「真澄隊長だよな!」
京夜
「そうそう!
だのっちが会えるのに俺だけ会えないのは悲しいよ~…」
四季
「まあ来てもいいんじゃね?
チャラ先が来るのも時間の問題だし!」
京夜
「ほんとッ?!」
無人
「……」圧
無言の圧力が、花魁坂と四季の背筋を凍らせる。
四季
「いやガチだって!!
校長先生とかに聞いてみろよ!」
無人
「はぁ…分かった。
そこまで言うなら本当なんだな。」
四季
「おうッ!」
無人
「今日はもう寝ろ。
明日は直ぐに羅刹に帰る。」
四季
「え~ッ!もう帰んのかよ!」
無人
「あぁ。お前に知識がついてたとしても、他の生徒には叩き込まないと行けない。
チンタラしてる時間は無駄だ。」
四季
「…ほんと変わんねぇな~…」
京夜
「まあだのっちだし…」
四季
「はぁ~…じゃあ寝るか~!」
無人
「電気消すぞ。」
四季
「は~い」
朝日が昇り、光が指す。
その光の下で四季たちは羅刹学園に帰ろうとしていた。
四季
「はぁ~…またすぐ帰るとか…
観光してぇよ~…」
京夜
「またいつか来ればいいじゃん?」
四季
「いや~…その気持ちは山々なんだけどよ~…
俺たちずーっと戦ってばっかだぜ?」
京夜
「へぇ~…大変だねぇ…」
四季
「まあでも、将来に向けての経験になるからな!」
京夜
「まあ頑張ろうよ。
四季君の夢叶える為にもさ!」
四季
「おう!」
碇
「おい、チャラ男も来んのかよ?」
京夜
「いつかは羅刹の先生になるからね~。
行くのには早いに越したことはないでしょ。」
碇
「お前強いのかよ?」
京夜
「いや、俺は非戦闘員だから戦いは全くだよ。
でも、俺たちの戦場は仲間の治療。
前線で戦ってる人たちの影で必死に治療をする。
俺がいれば誰も死なないと思ってよ。」
四季
「おぉ、かっけぇなやっぱ!」
京夜
「はは、ありがとう。」
無人
「話は終わったか?
なら早く船に乗り込め。」
京夜
「はーい。」
四季
「あぁ~ッ…さよなら京都ッ!!」
戦場と日常の狭間。
仲間の笑顔、次に控える任務への覚悟。
空気は静かに、しかし確実に次の戦いを告げている。
コメント
5件
やっぱ強い四季かっこいい!!✨️ 唾切とは原作でも分かり合えたら良かったな〜次はいよいよ練馬?!ここまで投稿してくれてありがとっ!!!!!(•ө•)💖
今回もマジ最高でした!✨ テスト頑張ってください(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾