テラーノベル
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店主「その荷物・・・今日も泊まるところを探すのかい?」
〇〇「あぁ・・・それなんですけど、噂のホテルを訪ねてみようかと思ってて」
何度かニュースで見かけた”ハズビンホテル”。
【罪人の更生】という大きな目標を掲げたそのホテルに少し興味があった。
何より、毎日居場所を転々とするよりはどこかに腰を落ち着けたかったというのもある。
店主「噂のって・・・あのハズビンホテルかい?それなら―――」
アラスター「それならば、私がご案内しましょう!」
〇〇「きゃっ!」
私たちの会話が聞こえたのか、もう立ち去ったと思っていたラジオデーモンがひょこりと顔を出す。
〇〇「えっ、と・・・?」
アラスター「あのホテルのオーナーを請け負っているのは、この私なのです」
アラスター「宿泊を希望されるのなら、歓迎しますよ」
笑顔のままそう語る彼は、本当に先程まで生死をかけて戦っていた相手なのだろうか。
いまいち、彼の本心がどこにあるのか分からない。
〇〇「ありがたい、けど・・・その・・・さっきはごめんなさい。関係ない貴方を巻き込んでしまって」
アラスター「謝罪は結構。一部始終は私にも聞こえていました」
アラスター「コートを傷つけられた事は許しがたいですが・・・久々に手応えある相手と戦えて多少は楽しめたものですよ」
そう言いながら、彼は口元に笑みを浮かべたまま不敵に目を細める。
アラスター「私と戦って生きていられる悪魔など、そうそうお目にかかれませんから」
アラスター「存分に誇るといいですよ!にゃはは!」
大げさな拍手の素振りで讃える彼は、まるで1人の舞台俳優のようだ。
アラスター「それよりも、名を知らないと不便ですね。・・・お名前を伺っても?」
〇〇「えと、ありがとう・・・私、〇〇っていいます」
アラスター「アラスターです。紹介などなくとも、私のことはラジオ放送でご存じでしょ?」
差し出された手を取り、軽く握手を交わす。
確かに彼のラジオは宿泊先で何度も聞いていたのでよく知っているが、本人を目の前にしたのはこれが初めてだ。
地獄で恐れられている彼がオーナーと聞くと、ホテル生活に少し不安を抱いてしまう。
アラスター「ここからホテルまでそう遠くない」
アラスター「このまま向かうなら私がご案内しましょう」
〇〇「なら・・・お願いします、アラスターさん」
アラスター「アラスターで結構です。・・・歓迎しますよ、〇〇」
これが、私とアラスター、そしてハズビンホテルとの出会いだった。
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