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あれから、どれくらいの日々が過ぎただろう。 家の中の空気は、以前とはまるで違っている。
互いの距離に遠慮はなく、でも強い信頼がある。
オールはもう「父親」として振る舞うことをやめた。
モストもまた「息子」という枠を脱ぎ捨てた。
二人は互いを選び合い、そして互いにとって唯一無二の存在になった。
冬のある夜。
窓の外には雪が舞っている。
部屋の灯りだけが柔らかく二人を包む。
モストはウシャンカ帽と黒いマフラーを外し、オールの前で肩越しに笑った。
その視線はもう「父と息子」ではなく、「二人の男」だ。
「……これからも一緒にいよう」
オールの低い声が静かな夜に響く。
「うん」
モストが微笑んで頷く。
二人は言葉を交わす必要はなかった。
手を取り合い、重ね合ったその温もりが、これから先を確かなものにした。
雪は静かに降り続け、二人を包む。
父でも息子でもない、ただの二人──
名前だけが残った。
オールとモスト。
それは、永遠の約束。