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北斗side
“精神科”と聞いた時、胸がドキッとした。
自分でも行かなきゃとは思ってたけど、樹に言われると心に響いた。
樹「今、北斗はトラウマになってるんだと思う…だから…」
北「わかってるから!!!」
樹「…ごめん、」
北「あ、」
また、怒鳴ってしまった。
北「樹、ごめ、」
また、涙が溢れてきた。
あぁ、だめだ、俺。壊れてる。
樹「北斗、俺は大丈夫だから。自分のことを考えろ。今、北斗に必要なのは何か。」
北「俺に、必要なもの…」
樹「行く気になったら、連絡して。」
そう言って樹は帰って行った。
バタン、とドアが閉まる音がした瞬間、俺は壁にもたれかかってゆっくりと深呼吸をした。
考えろ、自分。今、今必要なのは…。
消えかかっていたろうそくが、樹によってつけられた気がした。
樹side
車に乗り、ハンドルを握る。
今までにないほど緊張した。
昨日、北斗からlineが来た時、返したくないと思った。返して、また北斗の心が閉ざされたらと思うと胸が痛んだ。
そんなことをあーやこーや考えてたら、北斗の家の前に着いてしまった。
ドアが開き、オフ姿の北斗が出てきた。
北「…おはよう。」
樹「おはよ。早く乗れ。」
北「はいはい、」
北斗は後部座席に乗り込み、俺に言ってきた。
北「樹、仕事は?」
樹「聞くのそれかよ…オフだよ」
北「ごめんなぁ、オフの日に。」
樹「本当だべ。家で寝たかったなぁ、」
北斗はシュンとした。冗談混じりで言った言葉を北斗は間に受けているようだ。
樹「冗談だよwメンバーの方が大切だ。」
北「…」
樹「…」
会話、続かねぇ。
北「樹、京本は元気なのか?」
樹「あぁ、徐々に回復してってる。」
北「明日、発表なんだってね。あの事故の。」
樹「…あぁ。」
北「怖いな。」
樹「ああ、怖いな。」
北斗の”怖い”と俺の”怖い”は同じじゃない。
北斗の”怖い”は京本が北斗に恨んでるんじゃないかって不安と、SixTONESの絆が無くなったんじゃないかという不安だ。
俺の”怖い”は世間の反応。
きっと、週刊誌やXの情報垢によって事故の詳細はバレるだろう。これらはクソだ。北斗に責任転嫁するに違いない。俺はそれで北斗が叩かれ、SixTONESが壊れるのが怖い。
北「もしかして、ここ?」
樹「ああ、ここだよ。」
北「ここって、京本が入院している…」
樹「ああ、」
樹「北斗、行くぞ。」
北「…うん。」
結果はPTSD(心的外傷後ストレス障害)だった。
聞きなれない言葉かもしれないが、立派な病気。
北斗は1ヶ月の療養の後、活動を再開する。これも、きょもの発表と同じ時にするという。
北「樹、ありがとう。精神科に行こうって言ってくれなきゃ、俺きっと自分のこと責め続けて…」
樹「…大丈夫。しっかり休んで、しっかり寝ろよ。あ、でも毎日連絡はしろ。」
北「はいはい、」
北斗は自分がPTSDとわかって少しほっとしていた。病名があって安心したのだろう。
樹「あとさ、北斗ももう察してるかもだけど」
北「京本に会いに行かないかって?」
樹「そう!」
北「…まだ、行けない。でも、必ず行く。」
樹「…わかった。」
踏み込みすぎたか…
また車に乗り込み、色々な話をしながら北斗の家に向かった。
北「じゃ、またな。」
樹「また。」
少し、北斗の表情が明るくなった気がした。
俺らは、まだ知らなかった。
世間の反応があんなに首を絞めるなんて。