テラーノベル
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雷鳴のような怒号と共に、犬吠埼の扇が振り抜かれた。嵐のような衝撃が広がり、観音埼たちは思わず後退する。
「お前らの“優しさ”も“仲間だ”とかいう言葉も、ぜーんぶうざってぇんだよ!」
「俺がどんだけ一人でいたか、わかんねぇだろ!
剱埼、テメェもだ!
ケンカばっかして、俺の気持ち一度でも聞いたか!?」
沈黙の中で、剱埼がゆっくりと前に出る。
「聞いてたよ。」
犬吠埼が動きを止める。
「……俺は、あんたが吠えるたびに、内心ホッとしてた。
ああ、今日もちゃんと犬吠は“灯ってる”ってな。」
「は?」
「……お前が元気でいる限り、きっと海は迷わねぇって思ってた。」
「……そんなもん、今さら言うなよ……っ」
犬吠埼の声が震える。
「言われたって……今さら戻れねぇだろ……。
どうせ、俺なんて最初からいらねぇって――」
「必要だっつってんだろ!!!」
剱埼の怒鳴り声が、闇を裂いた。
観音埼もまた、力強く言葉を重ねる。
「なぁ犬吠。お前、誰よりうるさくて、誰より騒がしくて……でも、誰よりあったかかった。」
「その光が消えたら、きっと誰かが困る。
だから、帰ってこいよ。」
「……うるせぇ……お前ら、マジで……めんどくせぇ……」
犬吠埼の扇が、ゆっくりと落ちていく。
そして、その背後に浮かんでいた“逆光”の闇が、音もなく砕けた。
扇が光を取り戻し、彼の名が空に浮かび上がる。
犬吠埼
ようやく、全員がそろった。
長く続いた“逆光”の闇は、ゆっくりと終わりへ向かっていく。
だが――
次の瞬間、空の一部が揺れた。
「……あれは……?」
光の向こうに、“何か”が立っていた。
全てを見下ろすように、無数の瞳がきらめく。
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