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m「さむっ」
なんとなく予感はしていたけれど、ビルから一歩足を出すと思っていたより寒くて思わず体が震えた。
震えを逃がそうと急いでタクシーに乗り込む。
思っていたより早めに仕事が終わった。
今日は今度のmvの衣装の打ち合わせが午後から入っていて、これは長くなるだろうと思っていたのだけれど。
早く家に帰りたい…。
そんなことを思いながら窓の外を眺める。
東京の景色がフラッシュのように切り替わっていく。
なんとなく今は溜まった仕事のメールを返す気にもなれなくてぼーっと外を見つめる。
しばらくそうしていると、スマホが鳴った。
見てみると涼ちゃんからで、
r「今日のご飯はオムライスだよ!帰ってくるの何時ごろになりそう?」
とラインがきていた。
そっか…涼ちゃんは今日もともと早かったんだっけ。きっともう家にいるのだろう。
思わず笑みが溢れる。
m「もうすぐ帰る。オムライス作ってくれてありがと。」
ほんとに早く帰りたい。帰って今日は一緒に食べよう、そう思った。
m「ただいま〜」
トコトコとかわいらしい足音がして、リビングの扉が開かれる。今日はmvの打ち合わせがあるって聞いてたから思っていたより早くて少しの驚きと喜びが胸に満ちた。
r「おかえり、もとき。思ってたより早かったね。オムライス、もうできてるよ。」
そう告げると、子供のように目を輝かせて手を洗いに行った。
r「かわいいなぁ…」
思わず口から声が漏れる。
二人でご飯を食べるのはいつぶりだろうか。普段は元貴も僕も遅くまで仕事をしているし、一緒に食卓を囲むどころか自炊だってあまりしない。何気ない幸せがあとどれくらい続くだろうか、少し感傷的になってしまう。
今日は、外が寒かったからだろうか。
そうだ、インスタントだけれどスープもつけとこう。きっと元貴も寒かったはずだから。
m「スープうまぁー」
やっぱり小学生みたいに勢いよくご飯を口に運んでいく。もぐもぐと小動物みたいに食べる姿が可愛らしくて見ているだけで笑顔になる。やっぱりスープつけてよかったなぁ、と思った。
m「なんかうれしそうだね?いいことでもあった?」
r「ん?いや、おいしそうにたべるなぁって思って。なんか小学生みたい」
m「わんぱくだった?笑お腹空いてたんだよね」
喋りながらも食べる手は休めないあたりほんとにお腹が空いていたのだろう、と頭の片隅で思う。きゅっと端の上がった唇の横にご飯粒が付いていてかわいらしい。普段はすごくしっかりしている分、少し抜けているところがあるのが僕を沼らしていく。
r「ご飯粒、口の横についてるよ」
m「え、どこ?」
r「ここ。」
そう言って指で拭き取りぺろっと舐める。
m「んなっ//」
少し僕が恋人らしいことをするだけでみるみるうちに顔が赤くなっていく。
r「どうしたの?顔赤くして」
m「いや、//スープあったかいから!//」
r「ふふ、そーお?」
やっぱり元貴はかわいいね。
なんとなく今かなって思って、わなわなとしている口を塞いでみる。ぴちゃぴちゃと唇を濡らす音とわずかに漏れ出る声だけがリビングに響いていく。
ぴちゃ、ぴちゃ、くちゅ
m「ん、んあ//んん、もぉ、なんでぇ//」
r「ん?なんでだろうね」
m「んぅ、ふぁっ、んん//」
だんだんと息苦しそうになりながら、やめろと言うように力なく僕の背中を叩く。
それだってあんまりかわいいものだから、到底やめられそうにない。少しいじわるしてしまう僕も案外子供なのかも、と頭の隅で思う。
m「ん、//んぁ、///もぉ、やめぇ、//」
r「ふふ、やっぱり顔、あかいよ?」
m「っんもぅ!ぜんぶスープのせい!!///」